[完結]禁断の愛と嫉妬

桃源華

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第4話: 嫉妬と策略

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イザベラは、
薄い微笑みを浮かべながら
邸宅の長い廊下を歩き、
やがて豪華な応接室の扉を
ノックした。

部屋の中から
「入れ」と低い声が響くと、
彼女は優雅に姿を現し、
ゆったりとした動作で
アスクにお辞儀をした。

「イザベラ嬢か。
珍しい客だな。」
アスクは椅子に座ったまま、
冷ややかな視線を彼女に向けた。

「お招きいただき光栄ですわ、
アスク様。」
イザベラは微笑みを絶やさず、
そっと手元にある扇子を開いた。
「実は今日は…、
少々気になることを
お伝えしたくて参りました。」

アスクは彼女の表情を
じっと見つめ、
「気になること？」と促した。

「ええ、アスク様。」
イザベラは少し眉を寄せながら、
あえてゆっくりと話し始めた。
「あなたの息子、
ロバート様が最近親しくしている
女性について、少々心配なことが
ございますの。」

「ロバートの相手…」
アスクの表情は険しくなり、
重い溜息を漏らした。
「どうせマリーのことだろう。
私も話を聞いている。」

イザベラはアスクの反応を
確認し、慎重に言葉を続けた。
「アスク様もご存知の通り、
マリーという女性は、
その…
普通の方ではございませんわ。
彼女の素性については
あまり良い噂を耳にしませんし、
彼女の周囲には得体の知れない
影が見え隠れしているようです。」

アスクは視線を鋭くし
「そのようなことは私も知っている。
だが、ロバートは聞く耳を持たん。
何度言ってもあの女の元に
行ってしまうのだ。」
と苛立ちを隠さずに言った。

イザベラは心の中でに
やりとしながら、表情には
慈愛を浮かべ、
「どうか、
私にお任せくださいませ。」
と囁くように言った。
「私がロバート様を正しい道に
お導きできるよう、
お手伝いいたしますわ。」

アスクは彼女の言葉に興味を示し、
少し前のめりになって
「お前に何ができるというのだ？」
と問いただした。

イザベラは静かに扇子を閉じ、
真剣な表情で答えた。
「ロバート様が、
なぜそのような危険な女性に
惹かれてしまったのか…。
彼はきっと、
迷い込んでいるのですわ。
私がそばにいれば、
彼も正気に戻るでしょう。」

「だが、どうやって…」
アスクは疑わしそうに
眉をひそめた。
「あの頑固な息子が
そんなに簡単に心変わりする
とは思えん。」

「ご安心くださいませ、
アスク様。」
イザベラは自信満々に微笑み、
「まずは、少しずつ彼の心に
疑念の種を植えていくつもりです。
そして、彼が私の真心に気付くまで、
寄り添って参りますわ。」

アスクは少し考え込むように頷いた。
「お前の言うことも一理あるな。
しかし、もしこれで何も変わら
なければ、お前も無駄なことに
時間を費やしたことになるぞ。」

イザベラは軽く首を横に振り、
口元に自信を漂わせた。
「ご心配には及びませんわ、
アスク様。私には、
必ずや成功させる覚悟が
ございます。
むしろ、マリーという女性が
ロバート様にふさわしくない
ことを証明してご覧にいれます。」

アスクは少しだけ笑みを浮かべ、
「いいだろう。お前に任せる。」
と短く言い放った。

イザベラはその答えを聞くと、
満足げに微笑んだ。
「ありがとうございます。
必ずやロバート様を正しい道に
導きますわ。
そして、彼が今一度アスク様の
期待に応える立派なご子息と
なるよう、お力添えいたします。」

アスクはゆっくりと立ち上がり、
彼女に冷たい視線を向けながらも、
その目には微かな期待が見えた。
「もしお前がその役目を
果たせるなら、私も少しはお前に
信頼を寄せることができるだろう。」

イザベラは微笑みを絶やさず、
丁寧に礼をしてからその場を
後にした。心の中では、
すでに勝利の計画が
浮かび上がっていた。
「ロバート様…必ずや、
あなたを取り戻してみせますわ。」

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