魔女を頼ってみませんか?

なすび

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プロローグ

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 どうもこんにちは。唐突ですが、私は魔女です。名前はフロンタと言います。

 今、私は何をしているかというと、何もしていません。一昔前までは忙しくて、波瀾万丈で、なんかこう、目まぐるしい毎日を過ごしていました。時に穏やかで、優しい日もありました。今は毎日が穏やかです。今日はそんな過去の話をしようと思います。あれは今から大体30年くらい前のこと…。

 当時住んでいた(今も住んでいる)国は、ヴィリ王国という国です。この国には王様をトップとしてその下に貴族、そのさらに下に平民がいます。平民が貴族になることは無く、貴族が平民になることもほぼありません。しかし平民でも王様と肩を並べるくらい偉い存在になれる、そんな役職があります。

 それはです。

 この世界では約半分かそれよりわずかに少ないくらいの人が魔力を持っていて、魔法を使うことができるのです。そして魔法使いにもランクがあり、その最上位が魔女で、その人数は世界中でもせいぜい500人程度なのです。

 7歳だった頃、私はヴィリ王国第3の都市のサントスという町に住んでいました。
私の家庭は両親と私と私のお姉ちゃんの4人の家族でしたが、私のお姉ちゃんはとても勤勉だったため10歳にして推薦で首都ハライアにあるヴィリ王立学校への転校が決まり、1人で家を出て行ってしまいました。そのため3人だけがその家に住んでいました。

 お姉ちゃんがまだ家いた頃、私達は毎年、お母さんの誕生日になると貯蓄していたお小遣いを使って、私たちができる精一杯のお祝いをしていました。お父さんの誕生日は質素なお祝いだった気がしますが、もうよく覚えていません。過去に私はお姉ちゃんに聞いたことがあります。

「お姉ちゃん!なんでお母さんの誕生日だけ祝うの?お父さんの誕生日は?」

 するとお姉ちゃんは決まってこう言います。

「お母さんは私の憧れの人なの」

 そしてあの日、お姉ちゃんが家から出て行く日も、こう言いました。

「これからもお母さんの誕生日だけは祝ってあげてね。卒業して用事が済んだら戻ってくるから」

 用事というのはあの頃の私にはどんなことか分かりませんでしたが、お母さんの誕生日を祝う使命感が生じたのは覚えています。
そしてお母さんの38歳の誕生日がやってきたのです。

 誕生日の1週間前のこと。私はお姉ちゃんに言われたことを思い出し、急いで貯金箱の中を確認します。するとそこにはかろうじて銅貨が4枚あるだけでした。これがどのくらいの価値なのかというと、銅貨5枚で毎年ケーキを買っていましたといえば分かるでしょう。

 ケーキだけでなくプレゼントのことも考えると、どう考えても足りません。つまるところ、安くてクオリティの高いプレゼントを用意する必要があるということです。さてどうしましょう。

 とりあえず家の中にいてもどうしようもありません。家を出て街を歩きます。しかしいつも見慣れた街であり、特にいい発想などは無く気がつけば街の1番北側の門まで来ていました。偶然門番の人がいなかったので、周りの人に見つからないように外に出てみました。そういえば昨日の夜、お母さんがこんなことを言っていました。

「この街から北の方向に少しいったところにひまわりの花畑があるらしいのよ。ひまわりってあんまり見ないから見てみたいなぁ」と。
このことを思い出した私は門からまっすぐ北の方へ向かいました。ひまわりの花畑を目指して。
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