33 / 43
救出
しおりを挟む
複数の神官たちに礼拝堂の中に引きずりこまれたレイラは、朦朧とする意識を叱咤して、懸命に数人の神官たちに抵抗しようとした。
「や……め」
こちらは女性一人、対して男性の神官は複数。
力も数も到底かなわない。
しかもお酒の中に、媚薬のようなものが含まれていたらしく、体に全く力が入らなくなっていた。
レイラの頭が現実を前に真っ白になっていく。
どうにかして逃げないといけないのはわかっているが、思考に霧がかかったようで、何の手立ても思いつかない。
「マヤ様は嫌がらせを受けてると泣いていたんだぞ」
一人の神官が、レイラをとがめるように言った。
これは前にも女官が話しているのを聞いたことがあるが、全く身に覚えがない。
そもそも、会ったのはほんの2回ほどしかなく、最近は顔もみていない。
「ご……かい、はな、して」
レイラは呂律の回らない口で何とか言葉をつむぐが、神官たちは鼻で笑った。
「魔族の元にいた女の言葉を信じると思いますか?」
「心だけではなく、体も醜く穢れているのでは?」
「噂では魔王の寝所にはべっていたとか」
「ロ・メディ聖教会では、貞淑を重んじます」
「聖女は清らかなる乙女でなければならないのです」
「それを、私たちが確認して差し上げましょう」
まるで自分たちが正しいと幼子に言い聞かせるように、神官たちは口々に言った。
噂に過ぎないことを彼らはさも見てきたかのように語る。
礼拝堂の左右には小部屋がある。
そこにはソファや机などがあり、休憩が行えるようになっていた。
どうやらそこに向かっているらしい。
引きずられるレイラの視界に、礼拝堂の最奥にある巨大なステンドグラスが入った。
今は太陽が空の頂点に来る時刻。
太陽の強い光を浴びて、ステンドグラスの極彩色は目を開けていられないほど輝いて見えた。
「何をしているのです?」
背後から険しい声が聞こえた。
「っ……シス様っ!」
神官たち全員が弾かれたように礼拝堂の入口を振り返ったときだった。
レイラの目の前で、けたたましい音を立ててステンドグラスが割れ、キラキラと太陽の光を反射させながら、舞い落ちた。
「!!?」
破られたステンドグラスの向こうから入ってきた人影が、ゆっくりとこちらに近づいてくる。
じゃりじゃりと割れたガラスを踏みしめる音が聞こえる。
白銀の髪に、黄金色の鋭い瞳。端正な顔には、いつものように眉間に深いしわが寄手散る。
ラディスだ。
レイラは泣きそうになった。
「お前は……」
レイラの腕をつかんでいた神官が恐怖に震える声を出した。手も震えている。
「下がりなさい!」
シスが走り寄ってくるが、神官たちが、見えない力に上から押し付けられるように次々と地面に倒れる。
「あ……」
「う、あぁ……」
レイラは拘束を解かれて、床に崩れ落ちるところを、ラディスの腕に支えられた。
「魔王、こんなところにまで乗り込んできて、戦争を始めるつもりですか?」
シスの唸るような声が聞こえた。
レイラはゆるゆると顔を上げた。
「姑息な手でレイラをさらっておいて、よく言う」
ラディスの手から、小指の先ほどの小さな小石が床に落とされる。
それを見たシスがはっとした顔をした。
「返してもらう」
レイラは力の入らない腕で、ラディスにすがりつこうとした。
「彼女は私が召喚した聖女です」
「殺そうとしたところを私が助けた。レイラはもう私のものだ。死体の処理をせずに済むとお前も言っていただろう」
「あの時は……知らなかったので」
「死体の処理……やっぱり最低だわ」
絶句していたレイラが我に返ってあきれていると、ラディスが、レイラの力の入らない腕の代わりに、ぎゅっと抱きしめてくれる。
ラディスの体温を感じると、じわじわと心に安堵感が広がっていく。
どうやってここから抜け出すかばかり考えていたのに、ラディスが助けに来てくれた。
まさか彼が迎えに来てくれるなんて、考えもしていなかった。
この世界に来て、彼だけが最初から最後まで、レイラを庇護してくれている。
それが例え、レイラを通じて、誰かに向けた行動だとしても。
「私がこの世界に召喚したのですよ!」
シスが腕を振ると、光の槍が、地面からラディスの体を狙う。
「聖女を返しなさい」
「遅かったな。彼女はすでに俺の眷属だ」
レイラを抱きしめたまま、ラディスは後ろに飛びすさった。
ラディスを狙って、地面から光の槍が立て続けに突き出す。
それをすべてよけたラディスだったが、背後から、光の網のようなものが覆いかぶさってくる。
レイラを不安定に抱きしめたままだったため、反応が遅くなる。
「くっ」
光の網を振り払ったところで、シスが肉薄し、次の瞬間、手に出現させた光の槍でラディスの肩を貫いていた。
「……聖職者のくせに、ずいぶんと攻撃的な」
「あなたに言われたくありませんね」
ラディスが肩を突き刺した光の槍をつかむ。
彼が触れた場所から槍は黒く変色し、光を侵食して黒い槍へと変えていく。
「っ!? 光が汚染させている」
シスが黒く変色していく槍を手放すと、槍は光の粒子になって霧散した。
「近寄るな」
なおも攻撃の意思を示して、手をかざしたシスに、ラディスが鋭く言い放つ。
大きな声ではないが、その場が制止したかと錯覚するほど力のある声だった。
「瘴気の穴の浄化という目的は一致している。心配せずとも、レイラは私の庇護の下、役割を果たす」
「魔族の言葉など、誰が信用できますか」
「魔女……」
ラディスがつぶやく言葉に、シスの表情が凍り付いた。
「500年前、お前たちが召喚し、用が済んだら魔女として皆殺しにした聖女たちの生き残りが、今回の瘴気の穴を生み出している」
シスはぎこちなく首を振った。
「私から見たら、人間の方がよほど残酷で、穢れている。レイラも役目を終えたら殺すのか?」
「何を言っているのです? ……そんな昔のことは資料に」
「そんなことはさせない」
言い捨てると、ラディスはレイラを抱えたまま、ステンドグラスが割れて吹き抜けになった窓の外へ跳躍した。
「待ちなさいっ」
一度の跳躍で礼拝堂の外に出たラディスに、普通の馬の数倍は大きい魔獣の馬が駆け寄ってくる。
ラディスがレイラを抱えたまま、ひらりと馬に飛び乗ると、馬は走り出す。
馬に揺られながら、レイラは血がにじんだラディスの肩に手を伸ばそうとした。
「ケガ……」
「問題ない。しばらく眠れ」
ラディスの大きな手が、レイラの視界を塞ぐ。
こんな風に意識を失ってばかりのレイラは、抵抗しようとしたが、そこで意識は唐突に途切れた。
「や……め」
こちらは女性一人、対して男性の神官は複数。
力も数も到底かなわない。
しかもお酒の中に、媚薬のようなものが含まれていたらしく、体に全く力が入らなくなっていた。
レイラの頭が現実を前に真っ白になっていく。
どうにかして逃げないといけないのはわかっているが、思考に霧がかかったようで、何の手立ても思いつかない。
「マヤ様は嫌がらせを受けてると泣いていたんだぞ」
一人の神官が、レイラをとがめるように言った。
これは前にも女官が話しているのを聞いたことがあるが、全く身に覚えがない。
そもそも、会ったのはほんの2回ほどしかなく、最近は顔もみていない。
「ご……かい、はな、して」
レイラは呂律の回らない口で何とか言葉をつむぐが、神官たちは鼻で笑った。
「魔族の元にいた女の言葉を信じると思いますか?」
「心だけではなく、体も醜く穢れているのでは?」
「噂では魔王の寝所にはべっていたとか」
「ロ・メディ聖教会では、貞淑を重んじます」
「聖女は清らかなる乙女でなければならないのです」
「それを、私たちが確認して差し上げましょう」
まるで自分たちが正しいと幼子に言い聞かせるように、神官たちは口々に言った。
噂に過ぎないことを彼らはさも見てきたかのように語る。
礼拝堂の左右には小部屋がある。
そこにはソファや机などがあり、休憩が行えるようになっていた。
どうやらそこに向かっているらしい。
引きずられるレイラの視界に、礼拝堂の最奥にある巨大なステンドグラスが入った。
今は太陽が空の頂点に来る時刻。
太陽の強い光を浴びて、ステンドグラスの極彩色は目を開けていられないほど輝いて見えた。
「何をしているのです?」
背後から険しい声が聞こえた。
「っ……シス様っ!」
神官たち全員が弾かれたように礼拝堂の入口を振り返ったときだった。
レイラの目の前で、けたたましい音を立ててステンドグラスが割れ、キラキラと太陽の光を反射させながら、舞い落ちた。
「!!?」
破られたステンドグラスの向こうから入ってきた人影が、ゆっくりとこちらに近づいてくる。
じゃりじゃりと割れたガラスを踏みしめる音が聞こえる。
白銀の髪に、黄金色の鋭い瞳。端正な顔には、いつものように眉間に深いしわが寄手散る。
ラディスだ。
レイラは泣きそうになった。
「お前は……」
レイラの腕をつかんでいた神官が恐怖に震える声を出した。手も震えている。
「下がりなさい!」
シスが走り寄ってくるが、神官たちが、見えない力に上から押し付けられるように次々と地面に倒れる。
「あ……」
「う、あぁ……」
レイラは拘束を解かれて、床に崩れ落ちるところを、ラディスの腕に支えられた。
「魔王、こんなところにまで乗り込んできて、戦争を始めるつもりですか?」
シスの唸るような声が聞こえた。
レイラはゆるゆると顔を上げた。
「姑息な手でレイラをさらっておいて、よく言う」
ラディスの手から、小指の先ほどの小さな小石が床に落とされる。
それを見たシスがはっとした顔をした。
「返してもらう」
レイラは力の入らない腕で、ラディスにすがりつこうとした。
「彼女は私が召喚した聖女です」
「殺そうとしたところを私が助けた。レイラはもう私のものだ。死体の処理をせずに済むとお前も言っていただろう」
「あの時は……知らなかったので」
「死体の処理……やっぱり最低だわ」
絶句していたレイラが我に返ってあきれていると、ラディスが、レイラの力の入らない腕の代わりに、ぎゅっと抱きしめてくれる。
ラディスの体温を感じると、じわじわと心に安堵感が広がっていく。
どうやってここから抜け出すかばかり考えていたのに、ラディスが助けに来てくれた。
まさか彼が迎えに来てくれるなんて、考えもしていなかった。
この世界に来て、彼だけが最初から最後まで、レイラを庇護してくれている。
それが例え、レイラを通じて、誰かに向けた行動だとしても。
「私がこの世界に召喚したのですよ!」
シスが腕を振ると、光の槍が、地面からラディスの体を狙う。
「聖女を返しなさい」
「遅かったな。彼女はすでに俺の眷属だ」
レイラを抱きしめたまま、ラディスは後ろに飛びすさった。
ラディスを狙って、地面から光の槍が立て続けに突き出す。
それをすべてよけたラディスだったが、背後から、光の網のようなものが覆いかぶさってくる。
レイラを不安定に抱きしめたままだったため、反応が遅くなる。
「くっ」
光の網を振り払ったところで、シスが肉薄し、次の瞬間、手に出現させた光の槍でラディスの肩を貫いていた。
「……聖職者のくせに、ずいぶんと攻撃的な」
「あなたに言われたくありませんね」
ラディスが肩を突き刺した光の槍をつかむ。
彼が触れた場所から槍は黒く変色し、光を侵食して黒い槍へと変えていく。
「っ!? 光が汚染させている」
シスが黒く変色していく槍を手放すと、槍は光の粒子になって霧散した。
「近寄るな」
なおも攻撃の意思を示して、手をかざしたシスに、ラディスが鋭く言い放つ。
大きな声ではないが、その場が制止したかと錯覚するほど力のある声だった。
「瘴気の穴の浄化という目的は一致している。心配せずとも、レイラは私の庇護の下、役割を果たす」
「魔族の言葉など、誰が信用できますか」
「魔女……」
ラディスがつぶやく言葉に、シスの表情が凍り付いた。
「500年前、お前たちが召喚し、用が済んだら魔女として皆殺しにした聖女たちの生き残りが、今回の瘴気の穴を生み出している」
シスはぎこちなく首を振った。
「私から見たら、人間の方がよほど残酷で、穢れている。レイラも役目を終えたら殺すのか?」
「何を言っているのです? ……そんな昔のことは資料に」
「そんなことはさせない」
言い捨てると、ラディスはレイラを抱えたまま、ステンドグラスが割れて吹き抜けになった窓の外へ跳躍した。
「待ちなさいっ」
一度の跳躍で礼拝堂の外に出たラディスに、普通の馬の数倍は大きい魔獣の馬が駆け寄ってくる。
ラディスがレイラを抱えたまま、ひらりと馬に飛び乗ると、馬は走り出す。
馬に揺られながら、レイラは血がにじんだラディスの肩に手を伸ばそうとした。
「ケガ……」
「問題ない。しばらく眠れ」
ラディスの大きな手が、レイラの視界を塞ぐ。
こんな風に意識を失ってばかりのレイラは、抵抗しようとしたが、そこで意識は唐突に途切れた。
0
お気に入りに追加
101
あなたにおすすめの小説
追放された聖女の悠々自適な側室ライフ
白雪の雫
ファンタジー
「聖女ともあろう者が、嫉妬に狂って我が愛しのジュリエッタを虐めるとは!貴様の所業は畜生以外の何者でもない!お前との婚約を破棄した上で国外追放とする!!」
平民でありながらゴーストやレイスだけではなくリッチを一瞬で倒したり、どんな重傷も完治してしまうマルガレーテは、幼い頃に両親と引き離され聖女として教会に引き取られていた。
そんな彼女の魔力に目を付けた女教皇と国王夫妻はマルガレーテを国に縛り付ける為、王太子であるレオナルドの婚約者に据えて、「お妃教育をこなせ」「愚民どもより我等の病を治療しろ」「瘴気を祓え」「不死王を倒せ」という風にマルガレーテをこき使っていた。
そんなある日、レオナルドは居並ぶ貴族達の前で公爵令嬢のジュリエッタ(バスト100cm以上の爆乳・KかLカップ)を妃に迎え、マルガレーテに国外追放という死刑に等しい宣言をしてしまう。
「王太子殿下の仰せに従います」
(やっと・・・アホ共から解放される。私がやっていた事が若作りのヒステリー婆・・・ではなく女教皇と何の力もない修道女共に出来る訳ないのにね~。まぁ、この国がどうなってしまっても私には関係ないからどうでもいいや)
表面は淑女の仮面を被ってレオナルドの宣言を受け入れたマルガレーテは、さっさと国を出て行く。
今までの鬱憤を晴らすかのように、着の身着のままの旅をしているマルガレーテは、故郷である幻惑の樹海へと戻っている途中で【宮女狩り】というものに遭遇してしまい、大国の後宮へと入れられてしまった。
マルガレーテが悠々自適な側室ライフを楽しんでいる頃
聖女がいなくなった王国と教会は滅亡への道を辿っていた。
【完結】女神の使徒に選ばれた私の自由気ままな異世界旅行とのんびりスローライフ
あろえ
ファンタジー
鳥に乗って空を飛べるなんて、まるで夢みたい――。
菓子店で働く天宮胡桃(あまみやくるみ)は、父親が異世界に勇者召喚され、エルフと再婚したことを聞かされた。
まさか自分の父親に妄想癖があったなんて……と思っているのも束の間、突然、目の前に再婚者の女性と義妹が現れる。
そのエルフを象徴する尖った耳と転移魔法を見て、アニメや漫画が大好きな胡桃は、興奮が止まらない。
「私も異世界に行けるの?」
「……行きたいなら、別にいいけど」
「じゃあ、異世界にピクニックへ行こう!」
半ば強引に異世界に訪れた胡桃は、義妹の案内で王都を巡り、魔法使いの服を着たり、独特な食材に出会ったり、精霊鳥と遊んだりして、異世界旅行を満喫する。
そして、綺麗な花々が咲く湖の近くでお弁当を食べていたところ、小さな妖精が飛んできて――?
これは日本と異世界を行き来して、二つの世界で旅行とスローライフを満喫する胡桃の物語である。
最強幼女のお助け道中〜聖女ですが、自己強化の秘法の副作用で幼女化してしまいました。神器破城槌を振り回しながら、もふもふと一緒に旅を続けます〜
黄舞
ファンタジー
勇者パーティの支援職だった私は、自己を超々強化する秘法と言われた魔法を使い、幼女になってしまった。
そんな私の姿を見て、パーティメンバーが決めたのは……
「アリシアちゃん。いい子だからお留守番しててね」
見た目は幼女でも、最強の肉体を手に入れた私は、付いてくるなと言われた手前、こっそりひっそりと陰から元仲間を支援することに決めた。
戦神の愛用していたという神器破城槌を振り回し、神の乗り物だと言うもふもふ神獣と旅を続ける珍道中!
主人公は元は立派な大人ですが、心も体も知能も子供です
基本的にコメディ色が強いです
【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。
藍生蕗
恋愛
かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。
そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……
偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。
※ 設定は甘めです
※ 他のサイトにも投稿しています
私が美女??美醜逆転世界に転移した私
鍋
恋愛
私の名前は如月美夕。
27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。
私は都内で独り暮らし。
風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。
転移した世界は美醜逆転??
こんな地味な丸顔が絶世の美女。
私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。
このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。
※ゆるゆるな設定です
※ご都合主義
※感想欄はほとんど公開してます。
聖女業に飽きて喫茶店開いたんだけど、追放を言い渡されたので辺境に移り住みます!【完結】
青緑
ファンタジー
聖女が喫茶店を開くけど、追放されて辺境に移り住んだ物語と、聖女のいない王都。
———————————————
物語内のノーラとデイジーは同一人物です。
王都の小話は追記予定。
修正を入れることがあるかもしれませんが、作品・物語自体は完結です。
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる