夜伽聖女と呪われた王子たち

藤原いつか

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第六章

最果てより

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 修道院の一番端の部屋に、特別な術が施された室内庭園があった。
 大きな窓に囲まれたその部屋では、術で昼間の太陽の光が蓄えられ、常時日の光が部屋いっぱいに溢れている。
 そこで主に育てられているのが、セントポーリア。
 女神の化身といわれる聖なる花だ。
 水生のこの花は綺麗な水と日の光と多湿を好み、どれかひとつでも足りないとすぐに枯れてしまう手のかかる花だった。
 
 花の世話は子ども達の当番制で、今日はサラが水場の確認の為にセレナと一緒にやってきた。
 手伝うと言い出したのはセレナから。最初はシンシアも一緒に来るはずだったが、祭事の準備の為に何やら忙しそうで、サラとふたりでの仕事になった。

 サラに連れられて初めてこの部屋を訪れたセレナは、目の前の光景に息を呑んだ。
 真っ白な花が辺りに溢れ、石造りの煉瓦の花壇から零れんばかりに咲き誇っている。
 祭事に合せて今一斉に開花している時期らしい。式典の間と礼拝堂だけでなく、一般の見学客にも配られるこの花は、まさにセントヴェロニカ修道院の象徴そのものなのだ。

「水の汚れを見て、煉瓦に詰められてる粘土に隙間ができて水が漏れていないかの確認と、それから花の状態を見て報告するの。セレナはあっちの段から見てくれる?」

 流石普段からやり慣れているだけあって、サラは頼もしい様子でセレナに作業を指示する。
 再会した時に泣きながら怒られたその機嫌が、今はようやく落ち着いたようでほっとして、セレナも返事を返して花の傍に身を屈めた。

 以前ゼノスにもらった花だ。今もまだ枯れずに部屋に飾られている。
 そういえばゼノスの体調は安定していると言っていたっけ。表の公式行事とやらに無事に出席できそうでセレナはほっとした。

「セレナ、分らないことがあったら、サラに聞いてね」
「うん、わかった」
「問題がなかったら、水を張り替えておしまい」

 定時の確認ということで、一通りの確認だけで今回は終わりらしい。
 一仕事終えて、抜いた水がまたいっぱいになるまで、ふたり部屋の壁に並んでもたれる。
 
 水の匂いと日の香り。まるで夜とは思えない空間に、セレナは暫し浸った。
 本物とは僅かに違うとはいえ、太陽の温もりを肌に感じることなんてどれくらいぶりだろう。
 まるで夢の中に居るみたいだ。

「…あ、そうだ」
「…セレナ?」

 ふと思い出しように声を上げたセレナに、その膝に頭を預けていたサラもつられるように体を起こす。

 今日のセレナはきちんと外用の服を着込んで防寒着も着てきた。
 以前シンシアに借りたコートは少し豪華過ぎて夜の森では目立つので、ストールを風除けに体に巻き付けて足元はシンシアに誂えてもらった靴。

 それから会えたらと思い持ってきていたものを、ワンピースのポケットから取り出す。
 手の平サイズの小さな箱。サラのその大きな瞳が不思議そうに見つめる。
 以前にゼノスにもらってひとつ食べて残りはとっておいたお菓子を、持ってきていたのだ。

「なぁに?」
「あのね、お礼にと思って持ってきたんだけど…内緒で食べたら、怒られちゃうかな…」

 言いながら蓋を開けたそこに、サラはとても素敵なものがあると瞬時に理解しその瞳が煌めいた。
 そこまでしてからしまったと、セレナはようやく自分の浅はかさに気付く。

 修道院ここにはきちんと集団のルールがある。
 考えなしに持ってきてしまったけれど、自分のせいでサラまで怒られてしまったら申し訳ない。

 だけど目の前に出された甘いお菓子を、幼い子どもが我慢などそうできるものではないのも事実だ。
 責任はセレナにある。いざとなったら自分がきちんと罰を受けよう。

「…みんなには、内緒ね」

 以前会った時、互いの秘密を見せ合った時と同じ言葉をそっと呟いて。
 満面の笑みを浮かべて頷くサラと、小さな甘いお菓子を分け合った。

 可愛らしい見た目のそのお菓子をひとつ、サラの手に乗せる。サラは瞳を輝かせてセレナに礼を言い、お菓子にかじりついた。その様子にセレナも小さく笑って同じように一口かじる。

「あのね、もういっこ、みんなには内緒にしてることがあるの」
「…そうなの? わたしも、聞いちゃ駄目…?」

 さくさくと、軽い音と甘い匂いを漂わせて、サラが笑みを崩さず呟いた。
 セレナも口の中の甘い余韻に浸りながら、サラの言葉に顔を向ける。

 サラはまたさくさくと音を立て、それからふるふると首を振った。セレナには教えてくれるらしい。
 内緒話の続きにセレナはくすぐったそうに笑いながら、サラの言葉に耳を澄ませる。

 白い花々と水の音に囲まれて、柔らかな日差しと甘い匂いと隣りに感じる小さな温もり。
 天国みたいだなと柄にもないことを内心思いながら、小さな小さな幸せがそこにはあった。

「サラの、体の痣、ね。増えてるみたいなの。体もちょっとだけ、痛みが増してて…」

 サラの告白を、少しずつゆっくりと理解して。急速に夢から覚める気配にセレナは思わず息を呑んだ。
 ゆっくりと身を起こし、隣りのサラを覗き込む。
 サラの表情は変わらない。お菓子の最後の一欠けらを口に含んで、そして笑って言葉を続ける。

「サラも、女神さまのところに行けるかなぁ?」

 駄目。そんなの、駄目。
 言葉になる前に、セレナはサラの小さな体を抱き締めていた。

「そんなこと、言わないで……!」
「…セレナ、いたいよ…」

 小さくサラが呟くのに、セレナは腕を解くことも力を緩めることも暫くできなかった。
 それからサラの方が先に困ったように笑いながら、セレナの体を抱きしめ返す。

「誰かに、言わないと…きっと何か、方法が…!」
「いいの、だってご褒美はもう、たくさんもらったから。だからサラは、もういいの」

 ふるふるとセレナは首を振る。
 小さな雫が静かに飛び散った。

「駄目、ぜったい。わたしがそんなの…ゆるさない…!」

 泣きながらそう宣言するセレナに、サラもつられるように一粒だけ涙を零した。
 小さな小さなその雫が、セレナに吸い込まれて消えていく。
 それからぽつりと小さく、サラが言葉を落とした。

「…もうすぐここで行われる祭事でね、サラが任されたお仕事があるの。それをセレナにも、見ててほしい」
「…祭事」
「聖女さまからの加護を、修道院の子ども達の代表として、受け取るお仕事。前はサラのせいで、台無しにしちゃったから…今度はちゃんとやり遂げたい。だからセレナにも、見ていて欲しいの」

 そっと体を離して、セレナはサラの顔をまっすぐ見つめた。
 泣いてはいない。笑っている。

 どうして。セレナには分からない。
 どうして世界はこんなに残酷で理不尽なのか。

 シンシアに言った言葉が自分の胸に爪をたてる。
 “聖女”も、誰も、救ってくれはしない。
 救いたい人が居るのなら――

「見ていて、セレナ。約束」
「…わかった」

 それはおそらく、簡単にしていい約束ではないと解っていた。
 だけどセレナは頷いていた。

「約束する」

 そっと小指を出したセレナに、サラは瞳を丸くする。その様子にもしかしてこの世界には「指切り」は無いのだと気付き慌てて引っ込めようとしたセレナの手に、サラが同じ指を返した。好奇心を滲ませたその瞳に、セレナは苦笑いを返して付け足すように説明する。

「わたしの、遠い故郷ではね…約束する時にこうするの」

 サラは面白そうに相槌を打ちながら、そっと小指を絡ませ合う。指切りの歌は除いてぎゅっと握って、セレナはその時笑っていた。サラが笑い返してくれるから、泣くことだけはもう止めようと誓って。
 そうして胸に誓って指を解く。

「夕食の時も、ふしぎな素振りをしてたよね。他にもないの?」

 目を輝かせるサラにセレナは困ったように考え込み、それからふと思いついたように自分の両手を目の前でぎゅっと握って見せた。

「わたしが、小さい頃からやってた、おまじない」
「おまじない?」
「自分の力ではどうしようもない時に、自分以外のものに力を借りる、気休めみたいなもの。これは、痛みをやわらげる、おまじないなの」

 セレナの説明を聞きながら、サラが見よう見真似でその手を真似る。両手の平を重ねてぎゅっと握って、そっと息を吹きかけながら、セレナは祈りを口にした。

「…痛みが飛んでいきますように。勇気が湧いてきますように…」

 呟いたセレナにサラは一瞬だけその瞳を揺らし、そしてぎゅっとその小さな手をつよく握った。その手にセレナが自分の手をそっと重ねる。
 痛みが無くならないことなんて知っている。
 気休めだ。わかっている。
 でも。

「忘れないでね、サラ。思い出して、わたしもここに居る」

 それでも人は、ひとりでは生きていけないから。

「……うん、セレナ」


 小さな祈りを糧にする。


------------------------------


「…いないみたいだな」

 暗い廊下から食堂を覗き込んだアレスが、後ろに隠れていたエレナにそっと声をかける。
 目当ての人物を探していくつかの部屋を見て回ったが、どうやらここにも居ないようだ。
 もうすぐ夕食の時間。ここに居ないということは別の部屋に居るのだろう。
 だけど生憎これ以上探している時間はない。じきにエレナの迎えにと呼んだ馬車が到着する。

 シンシアとアルベルトなら目当ての人物の居場所を知っているかもしれなが、今立て込んでいるようなのであまり手を煩わせたくはない。残念ながら時間切れだ。

「仕方ありません、アレス様。お付合い頂いてしまって、申し訳ありません。またの機会に、致します」

 声音を落として言うエレナの、社交辞令に過ぎない言葉にアレスも僅かばかり胸を痛める。
 おそらく一度無断で城を抜け出したエレナに、その機会はもう二度と無い。今後監視の目も護衛も強化されるだろう。

「…いや。城まで送ってやれずこちらこそ申し訳ない。…三日後、ここでまた」

 本来なら自分が城まで送り届けるべきだとは分かっていた。
 だけどアレスは修道院ここに残ることを選んだ。
 残る理由はいくつかあるが、何よりエレナから明かされた内容が気にかかる。
 はやく、見つけなければ。
 
「…はい。ありがとうございました、アレス様」
 
 最後に別れた時よりも、エレナのその表情かおは随分と洗練されたものになっていた。
 彼女を何が変えたのか。興味があるわけではないが、アレスは不思議な気持ちでエレナと向き合っている。
 ただもう彼女エレナが自分の役割を放棄することはないだろうとそれだけは感じることができた。

 あんなにも彼女を焦がれていた気持ちも、それ故に失望し憎しみにすら近い感情に苛まれた気持ちも。
 今はまるで何も感じない。
 つくづく己の身勝手さに胸が疼く。
 一過性の病熱のようなものだったのか。エレナへの気持ちは。
 最低ではあるが、否定できない。
 じゃあ、今も胸に消えない、これは。

 アレスの自問自答をよそに外で馬の蹄の音がしてアレスの意識が引き戻される。
 扉の向こうから複数の足音が近づいて来て、エレナはそっと白いベールを頭から被った。それからアレスの瞳を見て微笑む。
 
「もしも、アレス様が彼女に会えたら…どうか、伝えてください」

 静かに扉が開けられて、アレスの呼んだ護衛に紛れて見知った顔が居た。エレナの侍女のナナリーだ。
 エレナの名を呼びながら目を赤く腫らしてエレナに駆け寄ってくる。

「清く柔らかな女神さまの加護が、ありますよう…白い泉の果てで、またお会いしましょうと」

 言葉の意味を呑みこめないアレスを置いて、エレナがナナリーに付き添われながら扉の向こうに消えていった。アレスの側近を付けたので城までの道は安全だろう。
 それを見送り、アレスは再び室内へと足を向けた。

 そして今度はあっさりと、目当ての人物を見つけることができた。
 玄関から続く長い廊下の果てに、彼女は居た。

「……っ」

 あまりにも予想外なその登場に、アレスは思わず足を止める。
 長い黒髪が薄暗い廊下にも煌めいて、そしてこちらを振り返った。
 思わず、息を呑む。何故か体が動かない。

 探していた。話がある。訊くべきことも。
 その、瞳が。自分を射抜く。

「…アレス、王子」

 どきりと思わず、体が撥ねた。
 たかだか名前を呼ばれたくらいで、何を。
 そういえば名前を呼ばれたのはそれが初めてだと気付いた時にはもう。

 セレナはアレスに向かって歩き出していた。

「…今。おまえを、探していた」

 ようやく吐き出した言葉に、アレスは半ば混乱していた。
 自分でも分からないのだ。どう彼女に接して良いのか。
 自分はまだ彼女に許されたわけではない。だけど己の責務も果たさねばならない。なのに、なによりも。
 会いたかったと、心が真っ先に思ってしまった。

「奇遇ですね、わたしも」

 そんな自分とはまるで正反対の冷めた声音で、セレナはアレスとの距離をゆっくりと詰めて目の前で歩みを止める。見上げる瞳にアレスはまっすぐ応えた。

 再会はそれどころではなかった。場を取り繕うのに必死だった。
 だからこうして改めて向き合う今が、アレスにとってのセレナとの再会だった。

 こうして対峙するのはあの夜以来。──あれ以来ずっと、胸は痛みに疼いたまま。呪いの痛みは消えたはずなのに。

「あなたを探していました」

 何気ないその一言に、どうして胸が騒ぐのか。この血はとっくに呪いから解き放たれ、もう彼女自身には何の用も無い。ただ後悔と罪悪感のしこりを取り払いたいだけなのだ。
 彼女に一言謝れれば、それで。
 もう彼女に会いたいと思う必要もなくなる。それが望みだ。

「話があります」
「奇遇だな、俺もだ」

 それぞれ核心には触れずに、人の気配と明かりから夜に紛れるように遠ざかる。
 アレスが話ができる場所へと先を促してその隣りに並んだ。セレナからは甘い花の香りがした。
 
 今だけこの場において、夜伽聖女ではないセレナと、呪われた王子でもないアレスの
 関係がふたりを変えていく。

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