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第三章
流れ落ちる純情
しおりを挟む「…わかりました」
そう了承するゼノスの、明らかに落ち込んだ様子。それに胸は痛むけれど、きっとこれは大事なことだ。
王子とわたしの関係は歪であると同時に特別なもの。だけどそれがすべてではない。
彼らにはその先の未来がある。この関係に縛られてほしくはない。
「でも、じゃあ、どうやって…」
「…そうだな、もういっそ」
言いながらわたしはゼノスの上に馬乗りになっていた腰を上げて、床に直接膝をつく。
離れた体にゼノスは一瞬戸惑いながら、それでもわたしから目を離さない。
膝をつくと少しだけわたしの顔の方がゼノスの上になる。先ほどまでとは逆に、今度はわたしがゼノスを見下ろす。
「触れないように、直接あげる」
わたしの言葉にゼノスは一瞬目を丸くし、そして言葉の意味を理解して体を強張らせた。
それからごくりと、唾を呑む。自分より体は大きくても年齢的にはまだ少年といえるゼノスの、だけど突き出た喉仏が立派な男性を主張していた。先ほどまでわたしのお尻の下で固くしていたゼノス自身も。
見上げるゼノスと見下ろすわたしの距離はごく僅か。
だけど、触れないように。その距離を保つ。
「ゼノス、口を開けて」
「…セ、セレナ」
わたしの意図はわかっていても、流石にまだ躊躇する心がゼノスを怖気させる。
ふと思いついてわたしは、自分の肩もとにひっかかったままのもはや意味をなさないべールを手にとって、それでゼノスの目元を覆った。
「…な、にを…!」
「だってわたしもちょっと恥ずかしいし、直接触れるとまた痣が反応しちゃうから…」
ベール越しならまだ、その接触は抑えられるはず。ゼノスの躊躇する顔を押えるのにもちょうど良い。べールは僅かに透けた薄い生地なので視界を完璧に奪えるわけではないけれど、直接見つめ合うよりはいくらか気が紛れる。
わたしだって今から自分が行うはしたない行為に抵抗がないわけではない。だけどおそらくこれが一番まともな行為。のはずだと自分に言い聞かせて。
そうして目元をべールで覆ってそのまま顔を押えこみ、ギリギリまで顔を近づけて口を薄く開く。ゼノスの唇がわたしの吐息で湿った。僅かに開いたままだったその口から漏れる息も体も熱い。
「ゼノス、口。ちゃんと、受け止めて」
「…う、ぁ……」
それからわたしも意を固めて、いったん閉じた咥内で唾液を集める。それをそっと、舌先に乗せて。開いたゼノスの口へと流し込む。ゆっくいりと、少しずつ垂らして。
最初の一滴がゼノスの口に吸いこまれて、その舌で弾けた。びくりと大きく揺れる身体。その目は固く瞑られて、顔は耳まで赤く染まっている。
直接触れてもいないのに、その顔に蠢く痣が赤く色を変えていく。
自身の欲にも、反応するのかこの痣。それとも相手が聖女故か、今試したばかりの唾液が既に何らかの作用を示しているのか。
ノヴァとも唾液を絡め合った記憶はあるけれど、呪いの反応までを見る余裕はあの時のわたしにはなかった。
それからひかれるようにまた数滴、わたしの舌先からゼノスの口内に垂れたところで、ゼノスが一度ごくりと喉を鳴らして呑みこんだ。わたしの唾液を。
反応を見る為にわたしはいったん自分の口を閉じる。だけどゼノスの口は開いたまま。自分の唇を舐める舌先がいやらしくて、途端に急に恥ずかしくなる。
「…どう…? 何か、効果は…」
訊きながら流石にそんなにすぐには現れないかと思い、このまま続けるのか、むしろどのくらい試すのかを訊こうとした時。
べールの下でうっすらと、ゼノスが閉じていた瞼を持ち上げた。その瞳がわたしを見据える。
わたしの腰元に添えられていたはずの手がいつの間にか、わたしの手に重なっていた。
「ゼノス、触れたら、また…」
辛くなる、そう言う前に。ゼノスが少しだけ口元を歪めた。泣き出しそうに、笑い出す直前のように。
「…死にたいのに死ねない苦痛より、こっちの方が、ぜんぜん良いです」
彼が選んだのは痛みより色欲に耐える辛さだとその時悟る。どっちが良いか、マシかなんてわたしにははかれない。
だからゼノスが選らんだならと、わたしはもう止めることはしなかった。
いつの間にかするりとベールが床に滑り落ちる。それを止めることはできない。晒された瞳《め》と瞳《め》で見つめ合う。僅かな明かりにも反射するその琥珀色の瞳はとても綺麗だ。
ゼノスがそっとわたしの手を、徐にその口元へと導く。わたしの手の平にゼノスが唇を寄せた。そっと瞳を伏せて、静かな口づけ。何故だか少しだけ、泣きそうになる。
それからもう片方の手がわたしの唇をなぞっていた。開いた唇の隙間から入り込むゼノスの指先をぺろりと舐めてみる。ゼノスばびくりと腰を揺らした。だけど指はまだそのまま。引き抜こうとする素振りは見せない。
なんとなくその意図を理解して再び咥内に残るゼノスの指先に、舌先で自分の唾液を塗りたくる。その指先を愛撫するように。ゼノスが静かに呻いて目を細めた。
指先で赤く散っていく痣が段々とその量を増やし、ゼノスの息がみるみるはやくなる。
それから指先を伝って零れそうになるわたしの唾液を、ゼノスが今度は自ら舐めとった。その手に塗られたわたしの唾液を余すことなく拭うように、そしてわざとらしく音をたてながら。その音がやけに卑猥で感化されてしまう。お腹の奥が知らず疼いた。
息が上がる。頭も体も熱い。腰がじんと痺れている。
「…効果、ありそう…?」
「…わかりません、まだ…」
ほんの少し前までとはまるで違うゼノスのその表情。赤い舌が艶めかしい。
今度は自分の唾液を纏った指先を、わたしの口元にあてがわれる。だけど無理やり押し込むことはしない。無言でじっとその瞳に見つめられたまま。わたしは自ら口を開いて、その指先を再び咥内に招き入れた。
ぴちゃぴちゃと、いつの間にか唾液は溢れていて、顎や首筋を唾液がつたう。
すかさずゼノスが舌を伸ばした。わたしの首筋から這うように、零れた唾液を綺麗に舐めとって、それからその舌先がわたしの唇の端でとまる。
わたしの言いつけを守るように、唇に触れそうで触れないまま。
そこまでされたら、ここまできたら。もう触れているのも同然なのに。
「セレナは、おれが…気持ち悪く、ないんですか…?」
「…え…? なに、が…?」
何を今さら。口には出さず首を傾げる。
もしかして痣のことだろうか。彼の全身を、それこそ顔や指先まで覆うそれは、彼の本当の肌の色を奪うほどだ。
だけど今は夜だしな。しかも今現在欲情に染まるそれは赤い色。だけどそういえば、彼はこの事実はまだ知らない。わたしにだけ見える赤だ。今言うことでもない気がする。
ただ分かったのは、ゼノス自身は自分を気持ち悪いと思っていること。もしくは誰かにそう言われたか。
それこそが呪いだと思う。
「ゼノス自身が、それを変えなきゃ…わたしの言葉にあまり意味はない気がする。でも、これは…生まれた時からあなたの体にあるものなんでしょう?」
「……」
「もう少しだけ…きっとあと少しだから。それまでは一緒に居てあげて。そうしたらきっと、愛しくなるよ」
いずれこの痣は、わたしの身体へと移るだろう。それならその時、彼の憎んだ痣ではなく、愛した痣なら引き受けやすい。そうすれば、わたしも。それならわたしも。この先苦痛に耐える糧となる。
「……努力します。愛せるよう」
「ふふ、良い子」
素直な返事にわたしは笑って、その頭をそっと撫でた。なんとなくそうしたかっただけ。ゼノスはくすぐったそうに苦笑いを浮かべる。
「…もう少し、もらっても良いですか…?」
「…うん、良いよ」
ぎゅっとわたしの体を抱きすくめたゼノスがわたしの首筋に顔を埋める。まるで幼子のようなその仕草が不覚にもかわいかった。
それからイリオスが言っていた言葉が頭を掠める。
――その呪いのせいで、母を失った。
思わずぎゅっと、抱き締めて。また同情かと自分で嫌気がさす。それでも今だけは気付かないふりをした。彼がそれを望んでいる気がしたから。
ふとゼノスの手が自分の予想から外れた場所で蠢いた時。思わず体がおおげさに反応してしまった。
ゼノスの手があるのは太腿のあたり。スカートの上からそっと、それをたくし上げるように蠢く手。何をしようとしているか理解して、流石に顔を上げて抗議した。
「まって、ゼノス、それは聞いてない」
「でも、ここから…ずっと匂いが…」
「に、匂い…?」
「おれだけ、でしょうか。さっきからもうずっと煽られて…」
わたしの抗議も制止もまったく利かず、するするとスカートがたくし上げられ直接ゼノスの手が肌に触れた。
思わず小さく声をもらす。なんとなく覚えのあるこの感覚。体の奥からむりやり突き上げられる欲情の種。どうして、今日は別にクスリとか、飲んでないのに。
それからはっと自分の指先に、先ほどまではなかった赤い痕があるのが目に留まった。
ノヴァから継いだ呪いの痣は、ノヴァに触れられるとわたしまで欲情するようになった。
だけどさっきまでゼノスに触れられても、そこまでの欲情は示していない。急に、だ。わたしの体の痣に直接触れてないとはいえもしも反応を示すなら、痣の方から相手に吸い寄せられていくはずだ。
つまりは新たに、呪いを継いだということ。おそらく、いや間違いなく、ゼノスから。
――たったあれだけの接触で?
それだけゼノスの痣が濃いのか異質なのか。
だけどひとつだけ分かったこと。
この継いだ痣は、それぞれ本人にしか、反応しないのだ。
「ちょ、ちょっと待って、ゼノス、…っぁ、」
「…セレナ?」
ゼノスがわたしの首筋に唇を寄せたまま言葉を発する。背筋にぞくりと刺激が走り、思わず体が過度に反応し声が漏れた。
どれだけ痣は増えたのか。確認したくてもそれはできない。ゼノスは痣が引き継がれることを知らない。それに知らせたくない。なのでその場でそれを確認することは適わない。
ぽつぽつと増える火種に漏れる息をなんとか抑えながら、ゼノスから離れようと試みるも本人がそれを許さない。
「…匂いが…強く、なりました」
すん、と鼻を鳴らしながらもその手はじわじわと確実に距離を詰め、とうとう内腿へと到達する。
明らかに互いの欲情を刺激し合っているのだと今さらながら理解した。
せめて匂いという表現はやめてほしい。恥ずかしい。そう思っていた矢先。
下着の上からゼノスの指が、わたしの部分に触れた。
びくりと体が飛び上がる。待って、と。それは言葉にならない。声にならない悲鳴を上げて、その肩にしがみつく。
「…セレナも…感じて、いるんですか…?」
「……っ」
わかりきっているくせに、わざと問うなんて意地が悪い。ゼノスはもっと優しいひとだと思っていたのに。
答えを返さないわたしに、自ら確認するように下着の隙間からゼノスの指先が入り込んで恥部をなぞった。くちゅりと、濡れた音を響かせながら。
顔から火が出るほど恥ずかしい。触れられるのが初めてなわけではないのに。
指が、動かされる。水音が部屋いっぱいに響いてそれだけで頭がどうにかなりそうだった。快楽だけはさっきからもうずっと、音もなくこの身に増え続けている。
ゼノスの首にしがみつきながらいやだと首を振るけれど、ゼノスは止めようとはしない。さっきと言っていたことが違う。だけどこれだけ体を暴かれて、反応しておいて。本気で嫌だという説得力は皆無だ。
ゼノスは更に指先で何度か割れ目を撫で上げたあと、ゆっくりとぬかるみに指を沈めた。つぷりと、その指先が容易く呑み込まれていく。
それに応えるように自分の内側から蜜が溢れてゼノスの手首へと滴り落ちた。そのままぽたりと、床に落ちる気配。「もったいない」とゼノスが零した呟きは、わたし耳には届かず。わたしはただ必死に歯を食いしばり身を固くすることしかできなかった。
それから何の断りもなく増やされた指に内側を埋める感触が増し、無意識に腰ががくがくと震える。ゼノスの息をつく気配と、わたしの息を詰める気配。先に動いたのはゼノスだった。
ゆっくりとわたしの内から指を引き抜いたゼノスは、あっという間にわたしの体を抱き上げて目の前のソファへと座らせる。それからスカートの裾を再び捲り上げて暗がりにわたしの素足を晒した。
その琥珀色の瞳が、うっとりをそれを見つめて。咄嗟に閉じようとするわたしの脚を両手で抑え込む。抵抗はもう形だけ。既に体に上手く力が入らない。
自分の脚の間に体を捻じ込ませ頭を埋めようとしているゼノスの意図は明らか過ぎて、流石にその頭をがしりと掴んだ。ゼノスが僅かに顔を上げて、わたしの顔を見上げる。位置も場所も譲らずに。
「待って、そんなとこ、嫌だ…!」
「…唇以外なら、くれると。そう言ってくれました」
「そ、そうだけど…! でもそんなところ、見られたことないし、ましてや舐めるなんて…っ」
「…初めて、ということですか…?」
「…っ、」
思わず顔を背けたわたしは、ゼノスがわたしの反応にどんな顔をしていたかは分からない。だけど次に聞こえてきた声は、どこか子どものような純粋さと無邪気さを孕んだものに聞こえた。
「じゃあ、おれが…その初めては、もらいますね」
それだけ言ったゼノスは、わたしの拒否を容易く退けて。
脚の間に顔を埋めわたしの秘部を指先で割って押し広げ、そこから溢れる蜜をその舌先で絡みとった。
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