夜伽聖女と呪われた王子たち

藤原いつか

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最終章

弱者の剣

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 水面にゆらゆら揺られながら、その懐かしい瞳が自分を見つめていた。
 この世界にくる前と何ひとつ変わらない優しい表情かお。まるで身に滲みついた反射のようにその顔を見ると心の底から安堵する自分が居る。
 
 随分と懐かしいはずのその姿。だけど何故かそこまで感慨に耽る思いはなかった。
 そうだ、おにいちゃんは。ノヴァに似ているから。
 ――違う。ノヴァがおにいちゃんに似ていた。
 初めてこの世界に来た時そう思った。好きだけど決して叶わない恋だった。だから似ているノヴァをぜんぶ許して受け容れて、そして秘密の恋を重ねたりして。自分の傷を慰めたのだ。ノヴァを使って。
 そうして始まった。この世界でのわたしの物語。

『――疲れたろう。かわいそうに…』

 それはおにいちゃんの口癖みたいなもので、ほんの少しのわたしのがんばりに必ずご褒美みたいに甘い言葉をくれていた。
 病気との闘いをすべてに真摯に向き合ってきたわけじゃない。なげやりになってたくさんの人を困らせたこともあった。だけどどんな癇癪にも泣き言にも弱音にも、おにいちゃんは決してわたしを怒ることも見捨てることもしなかった。

『――そろそろ、帰っておいで。寂しいよ』

 懐かしいその声色は当たり前だけれどノヴァとは違う。こうして久しぶりに見ると似ていると思っていたふたりにも当然のように異なる部分は多くあって、どうしてかその違いばかりがやけに目についた。
 解っている。そこまで愚かではない。
 おにいちゃんとノヴァは違う。おにいちゃんは――ノヴァは。
 ちがう人。それでも、だから、好きになった。

『――もう良いんだよ、頑張らなくて』

 その言葉は甘い毒のように、抱えきれずに零してしまった分だけ隙間のできた胸の内にするりと入り込む。埋まった分だけまた零れる心。思わず胸元を握りしめたけれどそこには温もりも感触も何もない。

 自分は今いったいどこに居るのだろう。何を見ているのだろう。だけどそんな思考は曖昧に溶かされていく。全部どうでもよくなって、その微笑みと甘い言葉に手を伸ばしてしまいたくなる。今までずっとそうしていたように。

 ――そうだよね、けっこう頑張った気がする。
 痛いことも苦しいこともつらいこともたくさんあった。
 もうそろそろ休みたい。体も心もくたくただ。何も考えずに眠りたい。
 またつよく抱き締めてほしい。よく頑張ったねっていつものように。

「…本当に…もう、いいの…?」

 呟いた問いにおにいちゃんは微笑んで応えた。決して重なることのないその手が水鏡の向こうで自分へと差し伸べられる。
 “おにいちゃん”の本当の心は最後まで分からなかった。それを確かめることがただ怖くて、ずっと避けて逃げて最後は拒絶して突き放して。なんて身勝手だったんだろう。それなのに笑ってくれた。
 ごめんねもさよならも言えなかった。それだけがただ漠然と、胸に重たいしこりのように残っている。

 ――会えるよ、もう一度。

 誰かが囁く。自分の胸の内側の、ずっとずっと奥の方から。
 会いたい。もう一度名前を呼んで欲しい。
 夜伽聖女セレナではない本当の名前を。この世界にそれを呼んでくれるひとは居ないから。

 だけどそれはもうとっくに、捨てた名前のはずだったのに。
 結局わたしは弱いままなのだろうか。

 ――それで良い。人とはそういうものだから。

 ふと自分の内に響いていた声色がそれまでと異なるものになる。
 耳に心地よい低い声。誰だろう。胸がざわめく。だけど思考は定まらない。

 ――弱く愛しい魂よ。安らかに眠りなさい。

 痛みが這い上がる。恐怖で身が竦む。
 嫌だ、もう逃げ出したい。投げ出してしまいたい。
 この手に必死に掴んでいるものはなんだったっけ。
 全部手離してしまえば楽になれるのだろうか。

 ――もう傷つかなくて良い。もうこわいものは何もないのだから。

 本当に?
 それなら…それなら、わたしは。
 また失う前に…傷つく前に、わたしは。


 ------------------------------


 “秘密の庭”は城の地下にある特別な神殿の俗称だ。
 関係者以外立ち入りは許されていないどころかその存在を知っている者自体限られている。

 女神の加護を受けるのもこの場所だった。王族と高位の神官の一部のみがその道を繋げることができる。
 王子たちの中でもその部屋に入室できるのは国王陛下よりその権利を継いだイリオスのみだった。ノヴァも儀式の際は同伴として入室は可能だったがその権利を継いだわけではない。エレナも然り。
 
 そうしてイリオスが与えられた権限でその部屋へと繋がる長い廊下を歩いていく。その後ろに見慣れたローブに身を包むゼノスを引き連れて。最近は部屋から出歩くことも増えたゼノスだが未だその格好が標準装備のようなものだ。呪いはなくなっても対人スキルが上がるわけではない。

「…城の中に、こんな所があったんですね…」

 薄暗い廊下は水と土の匂いがした。人工的な青白い明かりがぼんやりと灯るも光源は見当たらない。深い森を思わせる空気がそこにある。
 ぽつりと漏らしたゼノスの言葉はやけに冷静で一切の熱を感じないものだった。イリオスもあえて何も返さず前だけを見て歩く。
 そうしてやがて目の前にはひとつの扉が現れた。イリオスが無言で扉の定められた場所に手を翳し小さく呟くのと同時に浮かび上がる紋様。王子固有の証印が扉にあった王家の紋章と重なりそれが淡い光を放ち扉をなぞった。

 予想よりも軽い音と共に扉が開かれ一筋の風と柔らかな光が零れるそこへ、イリオスに続いてゼノスも足を踏み入れる。室内とは思えない空気が自分に絡みつくのがわかった。

「…イリオス殿下? それに、ゼノス殿下も」

 許可もなく入室した自分たちに一番に聞こえたのはルミナスの声だった。
 まさか彼も自分たちがここまで押しかけるとは思っていなかったのだろう。重たそうな装飾の衣装を翻し振り返るその表情かおが驚きと戸惑いに歪んでいる。
 そんなルミナスにイリオスが視線だけで応え、歩みは止めずその横を通り過ぎ部屋の中央へと進んだ。その先にはこの国の国王陛下と次期国王候補が居る。ふたりとも一様にこちらを視界に認めて。
 止めるべきだとルミナスも解ってはいた。だけど今の彼にそれはかなわなかった。ふたりがここへ来た理由が分かっていたからだ。

「…大事な儀式の途中で申し訳ありません、――陛下」

 静かな熱のない声音で非礼を詫び、それでもイリオスは止まらない。ゼノスがその後に続き、そして目当ての人物の前で先に足を止めた。
 その人物は儀式用の真っ白な正装を身に纏いいくつもの煌めく装飾品が室内と同じ淡い光を宿している。金色の髪がさらりと揺れて顔を上げ、そしてその碧のをまっすぐ目の前で自分を見下ろすゼノスに向ける。
 ゼノスにノヴァのその表情は読めない。セレナの現状を知ってなお、呼ばれていると解っていてそれでも。この場を選んでここに居るその人物。

「……お久しぶりです、ヘルメス・ノヴァ」
「……ゼノス王子…」

 国において最も重要で特別な儀式の最中であるふたりの間に空けられていた距離を、そこに血の通ったふたりの王子が埋めていた。
 イリオスがゼノスを庇うようにライナスの前に立ち一時の猶予を乞う。決してその目を逸らさずに。

「少しだけ時間を頂けませんか。ヘルメス・ノヴァと話をさせてください」
「…今自分たちが何をしているのかわかっているのか」
「解っています。すべての責任は僕がとります」

 思えば兄弟達のなかでイリオスが一番ライナスと似ていた。ノヴァもそれに近いものがあるが、その血を濃く継いだのはイリオスと言っても過言ではない。
 だからこそライナスはその血と資質を認めこれまで彼に後継者として接してきた。この国を背負い導く者として。
 それが今目の前に立つイリオスは、ライナスの期待をまるで裏切るかたちだ。
 そもそも先に裏切ったのはライナスの方ではあるけれど。
 その期待がずっとイリオスを縛り付けていたことをライナスは知っている。
 だけれど最後にライナスがノヴァを選んだことをイリオスがどう思っているのかは知らない。

 ライナスは僅かな思案の後にふ、と息を吐きイリオスから視線を外す。

「……良いだろう。君が私に何かを乞うのは初めてだ。ただし、許すのはここまでだ」
「…承知しました」

 座っていた椅子から立ち上がり、ライナスは極めてその感情を表には出さずに扉へと足を向ける。静かな部屋にはその足音だけが響いていた。
 ライナスは背を向けるゼノスにも言葉を発せずにいるノヴァにも意識を向けることはせず、緊張を纏うふたりの横をすり抜け扉の前で足を止める。それから柔らかでいて独特な部屋の空気をその冷たい声音が鋭く裂いた。

「――ノヴァ。儀式は途中とはいえ“女神”は君の血を覚えている。途中で投げ出すことなど許されない。“女神”を裏切ればその報いを受けるだろう。君は何の為にここまで来たのか…それを決して、忘れないように」

 ライナスの言葉にノヴァは呼吸を止めてその瞳を揺らす。それをゼノスは目の前で見つめながら固く拳を握りしめた。
 ノヴァがセレナと秤にかけて選んだもの。それが今ここにあるのだと感じて。

 それからライナスは扉の前で立ち尽くしていたルミナスを一瞥する。

「控えの間に居る」
「――承知しました」

 答えて頭を下げるルミナスが、休憩として使われる控えの部屋へとライナスを案内する為に扉を開けた。ちらりと残る王子たちに視線を向けるもその場に留まることはできずにライナスの退出を確認してから自分もその後に続き扉を閉める。

 部屋に落ちる沈黙に、イリオスが握っていた拳をゆっくりと解く。それから顔を上げ振り返り扉の傍の長椅子に座っていたもうひとりの当事者に声をかけた。

「――エレナ。君にも大事な話がある。巻き込んでしまって申し訳ない。場所を移そう」

 最後の儀式の参加者であるエレナが、自分の名を呼ばれてびくりと肩を震わせる。
 王子たちの突然の訪問とただならぬ空気に思わず詰めていた息をはっと吐き出しエレナはイリオスの言葉にこくりと頷いた。そんなエレナにイリオスは温和に微笑む。

 イリオスはその場のすべてを無言でゼノスに託しエレナの傍へと歩み寄り扉の外へ促した。
 彼女にはすべてが終わる前に返さなければならないものがある。
 エレナも大人しくそれに従い立ち上がる。
 ふたりを残しイリオスとエレナが部屋を後にする。
 
 そうしてようやくふたりになった室内でゼノスが先に口を開いた。目深に被った重たいローブの下からゼノスのものとは思えないような鋭い眼光がノヴァを射抜く。
 時間が無いことは承知だ。前置きも確認もすべて置く。

「…どうしてここに居るのですか」

 ゼノスが一番知りたいのはそれだ。
 セレナが唯一求めるその相手が――ノヴァが。セレナを差し置いて選んだもの。

「あなたが望んだものは、何ですか」

 それが知りたい。でなければ自分は進めない。
 彼女の心をこの目の前の相手から奪い返せない。

 ゼノスの琥珀色の瞳が燃えるように揺らめいて表情を失くすノヴァを映す。ふたりがここへ乗り込んできた意味も目的も解っていて、ノヴァはそれでも立ち上がることができなかった。

「…僕の望みは」
 
 ――どうして。
 他人ゼノスに訊かれずともずっと自分の内で何度も問いかけていたそれ。
 ルミナスにセレナが危険な状況だと聞いてから。自分の名をずっと呼んでいると知ってから。
 ノヴァの心を侵しているのはただひとつの感情だ。

「この国の王となり、母を巻き込み苦しめた、この国を壊すことです。そして――」

 ――母は。父を愛していた。
 母が最期に呼んだのは父の名だった。自分ではない。ずっと傍に居た自分では。

 国に呪いの研究を要請され父と母は繋がりを持つことになった。
 この国の為に母は呪いをその身に受け容れた。
 呪いとは――自分だ。
 この呪われた身でなければ母は父を諦めず、もしかしたら別の結末があったのではないかと、そう思う自分が居た。
 自分が生まれてこなければ、母はもっと。
 幸せになれたのではないか。最期、愛する人の隣りでその生涯を、終えることも叶ったのではないか。

 だけど自分のせいでそれは叶わなかった。
 だからこそ、自分がそれを望めるはずもなかった。
 愛する誰かに巡り会えただけでも奇跡なのに、その最期を望むことなど。母を差し置いてそんなことできるわけがない。

 だからひとりで去る道を選んだ。傍に居るわけにはいかなかったのだ。

 ──そう、真に消し去りたいのは。
 この国でも呪いでもない。
 
「…セレナに僕を、殺してもらうことです…」

 誰かを愛してひとりで死ねるのならそれだけで良かった。もう充分だとさえ思った。
 自分の命など惜しく無い。これまで一度もおそれたことなど無い。
 こわいのは、自分だけが生き残ることだ。母を失ったあの瞬間のように。

 生き続けることは何かを失い続けるということだとノヴァは思う。それが一番おそろしい。大切なものをまた失うことがノヴァはおそろしくて堪らなかった。セレナを初めて抱いたあの日から。
 失わない為に、奪われない為に。自分の身を捧げることで守れるのならそれ以上のものはない。
 未来など無くても幸せだったのだ。

 ――貴女セレナが生きていてくれるなら。
 

「…本当に…よく似ていて嫌になります。それでもセレナは、あなたを求めているのに」

 ノヴァの答えにゼノスは泣き笑いのように表情かおを歪めてその瞳を揺らす。
 嫌でも思い知るのは彼もまた自分と同じように彼女を愛しているのだということ。
 そのすべてを捧げて身を焦がして。
 愛を乞い永遠を願う。それが人の本能だ。
 
 だから自分たちの歪んだ思いの行先はおそらく互いが一番よく知っていた。
 永遠などいらない。彼女を縛り付けるものなど何も。
 ただその心の一欠けらに自分を刻み付け彼女の中で永遠にできればそれで良かった。

「それが本当にあなたの望みなら、おれが叶えて差し上げます。ヘルメス・ノヴァ」

 静かに言い捨てたゼノスのその手には覚えのある気配の剣が握られていた。
 ノヴァの身にも絡むその気配とよく馴染んだその剣に“女神の加護”が与えられていたことに気付くには遅過ぎた。
 それ以外の武器はこの部屋に持ち込めない。武器に加護を与える為には手順を踏み清めた武器でないと扉を越えることはできない仕組みだ。
 加えてこの空間には膨大な魔力を要する結界が張られていて魔法や魔術は一切使えない。剣を取り出す為の魔法を発動させた気配は微塵も感じなかった。
 だとすればゼノスは初めからその剣を忍ばせていたことになる。こうして使う為に。その重たいローブはその為か。

 ようやくそれに気付いてノヴァは微かにわらった。
 そこにゼノスの相応の覚悟と強い意志を感じたのだ。
 ゼノスは年齢でいうなら年下だが、自分にここまでの気概はない気がした。

「…お顔に似合わず、大胆ですね」

 軽口を忍ばせたノヴァの言葉に触れることはせず、ゼノスは鞘から引き抜いた刀身の先をノヴァの喉元にひたりと据えた。
 アレスとは違い剣など普段は全く触れずとも、必要最低限の扱いは心得ている。この距離なら決してしくじりはしない。

「もしくはおれが…彼女の命を絶ちます。これ以上苦しまないよう…あなたを守る為になど、もうこれ以上抗う必要のないよう…その瞳に最期に映すのがおれで、そして最期おれの名前を呼んでくれるのなら…おれだってすべてを捨てられる」

 その言葉に。
 ノヴァの顔色がさっと変わった。
 無表情という表情を捨てて、滲みだす本性がゼノスと対峙する。

 自分の望みはそんなことではない。
 例え自分以外の誰かにその体と心を許しても、彼女が生きていてさえくれればそれで良かった。それがすべてだった。

「…そんなことは、させません」
「今更守れる気でいるんですか、セレナを見捨てたあなたが」
「…セレナを、守る為です。その想いだけは誰にも負ける気も譲る気もありません」
「セレナを置いて、いったくせに」

 ぎり、と。ゼノスが歯噛して顔を歪める。
 その瞳に宿る激情はまっすぐ目の前の相手へと向かっていた。悔しさともどかしさ、そして醜い嫉妬の混じる瞳で。

「あなたが居る限り、セレナのすべては手に入らない。それなのにあなたが居なくなったら…その想いは永遠になってしまう」

 その泣き顔は何故か美しく鮮烈で、ノヴァの胸の奥を焼いた。抉るようなその痛みが強くノヴァの内側に刻まれる。
 似ていると言っていた。確かにそうかもしれない。抑えきれないこの感情は、だから互いにぶつかるしかない。彼女が選ぶのはただひとりだ。だけどもう、自分は―――


「あなたの為になど、死なせない。セレナはおれがもらいます」


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