夜伽聖女と呪われた王子たち

藤原いつか

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第九章

禁忌とはじまりの魂たちよ

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 この国では“双子”は、魂と肉体を分けて生まれてくると信じられていた。
 本来人は聖穢セイアイこころを等しく宿し、正しい心と邪な心をあわせもってこそ人とされる。
 けれども双子の場合、一方には聖の気が、もう一方には穢の気がそれぞれ分かたれ、穢れた魂を持つ者はもう一方にとって必ず災厄の種となる。はるか昔から、そう信じられてきたのだ。

 魔力を持つ者は、胎に宿る魔力の気配で双子それを察知することも可能だった。
 望まれない子だ。片方は殺すことになる。災厄を家族に抱えられない。
 特別なクスリを用いて早期の内に流すことが暗黙の掟となっていた。

 だけど生まれ持った魔力には個人差がある。
 魔力を殆ど持たない者も居て、生き方は自ずと決まっていった。魔力の有無は人生を分ける。
 持つ者と持たざる物同士で生活基盤が分かれ、持たない者同士で協力しながら生きていく。
 魔力は生まれ持つ資質ではあるが、その多くは血に継がれる。稀に例外も居るが、王家や貴族の血筋に偏るのも事実だった。
 持たざる者は閉鎖的な場所で閉ざされて生活していくしかない。そうして人の生き方は生まれた時から分かたれていった。

 そんな閉ざされた場所で、災厄を宿した双子が生まれてしまったら。
 ――ふたりとも、生かしておけなかった。
 魔力を持たない両親に、どちらが“ただしい子”なのか判別もできない。魔導師による鑑定にも金が要る。だから。
 ふたりとも諦める他なかったのだ。

『……だから、ごめんなさい。仕方ないの』

 ――なにが、ごめんなのか。仕方ないのか。
 理解できるはずもなかった。

 皮肉なことに、子ども達には両親と似つかない膨大な魔力を宿していた。

 森に捨てられた双子の子どものうち、ひとりは通りがかりの魔導師がその才を見出し連れて帰った。
 ひとりは既に手遅れだった。森に魂をもっていかれた後だったのだ。
 残された体は朽ちて森の贄となった。その膨大な魔力と共に、森に喰われて礎となる。

 そうして分かたれた双子の魂。
 それがすべてのはじまりだった。


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「…っ、セ、レナ…」
「あなたのなかに、まだ残ってるもの…それが…これが、欲しいわ」

 馬乗りになったセレナが体重をかけ、戸惑うゼノスの体を更に押し倒す。
 目の前に居るのはセレナのかたちをした別のモノだ。そう思うのにゼノスの体は思うように拒絶を示せなかった。
 月明かりがセレナの黒髪に煌めいて、その瞳には見たこともない色が宿っている。
 まっすぐ自分を見ているようでいて、だけど自分のなかに見ているのは自分ではない。

 何が引き金になったのか。“彼女”は呼び覚まされてしまった。――くらい呪いの底より。

 ゼノスは知っている。
 “セレナ”、それは“夜伽聖女”に与えられる名前。先の聖女もその名前だった。古い文献で読んだのだ。
 だけどどうして気付かなかったのだろう。それは誰かが与えた仮初の名前だということに。
 本当の、名が。彼女にもあるはずなのだ。
 セレナにも、それを与えられる前の本当の名前が。

「…貴女、は…呪いを、欲しているんですか…?」

 ゼノスはなんとか目の前の相手と自分の知るセレナとを切り離そうと努力する。けれども呪いを宿したままの身は、彼女の体に否応なく反応してしまう。
 そうでなくとも目の前の相手セレナは何故か自分を押し倒し素肌を晒そうとしているのだ。意識がどうしても散らされる。その手を掴むも上手く力が入らない。心も伴っていないのに、急激に熱が溜まっていくのを感じて眉を寄せた。
 今までとは明らかに異なる自身の体の反応に、ただ戸惑い躊躇い臆することしかできない。

「…呪い…? なんのこと? わたしが、欲しいのは…」

 覆い被さるセレナの影で、ゼノスの瞳の色が陰る。
 それを覗き込んでいたセレナの、瞳が大きく見開かれた。そこにようやくゼノスの顔が映る。

「…わたし、は……」

 ふるりと彼女が首を振る。
 悪い夢を振り払うように、取り戻されかけていた正常がまた夜の片隅に追いやられた。一瞬だけ緩められた彼女の放つ異様な気配が、また夜に満ちていく。ゼノスの体に纏わりつきながら。

「わたしが欲しいのは、彼だけ」

 そのに宿る決意の色。ゼノスはぞくりと背筋が凍るのを感じ、咄嗟に腹の上にセレナを乗せたまま後ずさる。だけどすぐに本棚に行き当たり逃げ場を失った。
 “セレナ”は今度こそ迷いなく、ゼノスに胸元へと這い上がってくる。じわりとそこに熱が誘導される。触れる肌を求めるように。互いの呪いが共鳴する。
 今までセレナに触れてきたのとはどこか違う、言いようのない感覚に眩暈がした。

「…ッ」

 “彼女”の説得を諦めたゼノスは、部屋を出る為に自身にかけていた防護の魔法を解き、同時にこの状況を回避する為の魔法を素早く脳内で展開する。
 城には魔法を制限する為の結界と魔法感知の魔法があわせて施されている。決められた場所での決められた魔法以外は禁止されているのだ。特に相手への捕縛と攻撃魔法は固く制限されている。
 その一切の権限を持つのは王族と高官、騎士団の上官と神官の管理職のみ。規則ルールを破る者への処罰は重い。
 だけどこれは非常事態だ。言い訳はいくらでもたつ。
 なにより結界の術者のひとりはゼノスだ。大事おおごとけるならこの部屋だけに別の結界を張り、切り離す方法もある。一切の感知を避けて。

「すいません、セレナ」

 一言零すのと同時に、床にはゼノスを軸として魔法陣が浮かび上がり光を放つ。その光景にようやく“セレナ”の動きが止まった。
 とにかく、彼女の動きを止めなくては。なるべく傷つけずに、できるだけ意識を残したまま穏便に。
 可能なら情報を引き出したい。セレナの内から這い出てきた彼女の正体が、一体何者なのか――呪いに関する情報は、今のゼノス達にとって最も得たい情報だ。

 冷静に判断し魔法を発動したように思えていて、その実その胸中は冷静ではいられなかった。
 だから油断していた。城の中でゼノスの魔法を凌ぐ者はそう居ないという過信があった。

「…それ、は…わたしには、効かないわ」

 魔法が効かない相手が居るなど。
 ゼノスが想像できるはずもなかったのだ。

「……!」

 セレナの瞳に、光が宿る。それはゼノスの下から浮かび上がる光と同じ色。
 まるで吸い込まれていくかのように。消えていく光の色。
 思わず目を瞠る。
 魔法は確かに発動しているはずだ。捕縛の魔法。空気は確かにゼノスの魔力を伝えている。
 だけどセレナは意に介せず、再び動き出しゼノスに手を伸ばした。

「…まさか…! どう、して…」
「…異なる世界を、生きているから…」

 さらりと、セレナの黒髪がゼノスの頬を掠める。
 覆い被さるようにその両手がゼノスの頬を捕えて離さない。
 動けなくなったのは、ゼノスの方だった。

 知らず息が上がり鼓動が速くなる。
 頭が、心臓が、指先が。上手く動かない。体はいつのまにか震えていた。
 欲情ではない。呪いではない。これは――

「あなたにわたしは、捕まえられない」
 
 ゆっくりとその顔が自分へと落ちてくる。
 触れる寸前吐息が唇を濡らした。
 
 ふと、場違いにも思い出したのは、セレナと出会ったあの日のこと。
 はじめは兄に言われて仕方なくだった。一度きり会ってしまえば、それで終わる関係のはずだったのに。それ以上も以下も、なにも求めてなんかいなかった。

 自分の姿を自ら晒して、まっすぐ自分と向き合ってくれた。触れることを拒まずに、受け容れてくれた。そんな相手は初めてだった。異なる世界からきた少女。
 唇は駄目と、頑なに。触れたくても触れられなかったそれ。
 あの時にはもうきっと、ゼノスのなかはセレナのことでいっぱいになっていた。
 許された時は本当に嬉しくてうれしくて幸せで。あのまま死んでも良いとさえ思った。
 だけどきっともう自分は、彼女にまた触れる為に生きるんだと思った。彼女なしでは生きられないとさえも。

 何かを繋ぐように守るように、それでも手を伸ばした彼女の小さな手。
 それ以外のすべてを差し出して。受け入れて。穢されて。
 できるならもう二度と…例え一生、この身に呪いを宿したままでも。
 もう二度と彼女セレナを傷つけることだけは。したくないと誓ったのに。
 
「…だ、めです…セレナ、それは……!」

 ざわざわと、体に残る呪いが彼女へと引き寄せられて体を這う感覚に体が熱で炙られる。
 求めているのは彼女の体なのか心なのか。ずっとそれが分らなかった。それでも良いから傍に居たかった。

 触れた唇は、どうしてか。
 ただ苦しくて胸が潰れてしまいそうだった。

 再び月の光と移す琥珀きん色の瞳から涙が零れた。セレナはその瞳を見つめながらゼノスの下腹部に手を這わせる。それから探り当てた帯革ベルトを外す金属音に、思わずゼノスの体がびくりと撥ねた。咄嗟に首を振り抵抗しようとするのに体はやはり動かない。
 その間にも自分の意思を置いて自分の欲が外気に曝け出されるのを感じて、すべて拒むようにかたく目を瞑った。必死に頭の中で思いつく限りの魔法を紡ぐけれど、どれひとつとして彼女の動きを止めることは叶わない。
 心とは裏腹に炙り出される熱と欲を、彼女の手が闇のなか蠢いて導いて。
 セレナが僅かに浮かせた自らの腰を、ぴたりとその入り口に宛がった。
 思わずゼノスの喉が震える。やめてくれと、声にならない言葉がそこで潰れた。

 心と体が引き千切られそうだった。
 いっそ本当に、そうなってしまえたら良かったのに。
 
「…おいで、わたしのなかに。ひとつになって、今度こそ…」
 
 ずぷり、と。彼女の内側なかへと沈んでいく。
 腰と喉の奥が痺れるように震えて漏れる声を抑えるがやっとだった。
 必死に歯を食いしばり息を詰め、僅かながら動いた指先が床を掻く。爪が割れて血が滲む痛みも今は感じない。与えられる快楽に

 やめてくれ。
 セレナと同じ顔で。同じ声で。
 初めて会った時と同じような台詞を吐かないでくれ。

 いっそ今だけでも浸りたくなる。だけど残酷な現実はそれを許さない。
 自分の上で自ら腰を揺らし、ゆっくりとでも確実に、その体を使ってゼノスを導いて押し上げるその体。求めてやまないはずのそれ。だけどこんなことは微塵も望んではいなかった。
 なのに体は正直に、快楽の一番深くを目がけて突き上げられる。
 耐えられるはずもない最果てで、そのすべてを持って行かれる。奪われるように、為す術もなく。

「…ッ、ぅ、あ……! セレナ……!」

 ここに居ないひとの名を呼んで。無理やり導かれる果てに呻くように息を漏らす。抗いようのないそれは苦痛そのものだった。

 泣きながらゼノスはそのすべてを譲り渡してしまった。
 自分の内《なか》から引き剥がされる、痛みと快楽と呪いの根源。今まで自分を苦しめていたもの。
 そのすべてから、今。解放される。自分でも望まぬまま。

 それを受け止めてセレナは笑っていた。涙を零しながら月の光に照らされて。
 愛しいひとの名前をその唇が紡ぐのを、ゼノスは濡れた瞳で呆然と見つめていた。

「…どこに居るの……ルシウス…」

 小さく呟きを零してその瞳から、みるみる光が失われていく。
 それと同時に自身の体に魔力の戻る気配を感じてゼノスは息を呑んで拳を握る。
 動かせる。彼女に支配されていたこの場から、彼女の存在が消えていく。おそらくその目的を果たしてまた眠りにつく為に。
 セレナの濡れた瞳がゆっくりと閉じられ意識が離れていくのを感じ、咄嗟にゼノスは身を起こした。倒れかけたセレナの身体を寸でのところで抱きとめる。

「…っ、セレナ…!」
「……ぁ、…れ、ゼノ、ス…?」

 焦点の定まらない視界がようやく自分の顔を写し、安堵と共に涙が滲んだ。
 もとに戻った。いつものセレナだ。
 それを実感してゼノスは、ぐちゃぐちゃの感情のままその体を強く抱き締める。加減などしていられずに、腕の中で小さな声が上がるもすべて押し込めてゼノスは泣いた。

 まだ体は繋がったまま。セレナは状況を理解できずにゼノスにただ抱かれたままだ。
 触れるだけで歓喜した欲は、呪いは。もうこの身にないのだと嫌でも感じた。ただふたつの体の境界が、夜に溶けているだけの体。かさむ熱はひとり彷徨うだけ。

 たったひとつの、繋がりだった。自分で思うよりもずっと。それに縋っていた自分が居たんだと初めて気づく。
 それを失くしてようやく。他人になって、ようやく。
 自分に彼女を繋ぎとめる術のない無力さに、ただ泣くことしかできなかった。


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『――駄目だよ、セレナ。この森では長くは生きられない』
『…でも…まだ、生きてるのに…』
『連れて帰ってどうする気だい。くだらない家族ごっこでもする気? 付き合わされる赤子が可哀そうだ。楽に死なせてやった方が良い』
『……』
『きみもはやく、慣れた方が良い。ここはそういう場所なんだ。望まれぬ行き着く場所。ぼくも、きみも。そうだろう?』
『……でも』

 そっと、腕の中で。ひとつの命がまた潰えるのを、彼女は最後まで見つめていた。哀しそうに、悔しそうに。
 もともとたない命だったのだ。この森に捨てられた瞬間から、命の灯は削られている。
 そうしてこの森に住まうモノたちのにえとなる。
 やがてカタチをもったモノは最期に残った感情のまま、“外”で人を襲う。それ以外のすべてを忘れる異形のモノとなって。

『わたしは、望んでいるわ。捨てられた命が、生きることを』

 魔力も魔術も万能ではない。その中でも最たるものが“命”の領域だ。
 だから自分はその分野は好まない。一番難解で一番単純。そして一番誰もが望むものだからだ。
 一番厄介で面倒くさい。関わらないに限る。

『この森での生き物は、もはやぼく達だけだよ。それも普通からは大分外れた、ね。増やさない方が良い。面倒なだけさ、赤ん坊なんて』
『…だからあなたは、わたしを抱かないの…?』

 セレナの言葉の意味を、はじめ理解できなかった。
 彼女がこの森にきて数か月。正気と肉体を保てる人間はごく稀だ。流石王家が差し出しただけある。
 “聖女”の名を冠され国の為に犠牲となった偽りの乙女。
 はじめはただの気まぐれだった。条件を満たせぬのなら、約束を反故にすべて壊すつもりだった。この森もこの国も。
 なのにどうしてか彼女は、こうして自分の傍に居る。
 聖女でもない彼女は、いったい何者なのか。面白いから傍に置くことにしただけなのに。

『…自分で何を言っているか、分かっているの?』
『…分かっているわ』
『べつにぼくは、慰めの為にきみを寄越せと言ったわけじゃないよ。きみだって嫌だろう、こんなぼくに――』
『嫌だったら…! こんなこと、口にするわけ、ないでしょう…!』

 そう叫んだ彼女の顔は、耳まで赤く染まっていた。まるで昨日口にした果実のように。
 女性である彼女からそれを口にするのはよほど勇気のいることだっただろう。
 胸が痛かった。彼女がなにを求めて欲しているのか、解ってしまうから余計に。
 そして愛しくて堪らなかった。決して口にはしないと決めていたのに。必死に平静を、保ってきたのに。
 触れたら最後だと、自分でわかっていたから。

『…おそらく。ぼくとの子は、望めないよ。ぼくはもう、ただの人ではないから』
『…いつもそうやって、諦めてばかり。そんなの、やってみなければ、分からないわ』

 そこまで言わせたら、もう。
 彼女の意を汲む以外の選択はなかった。
 ぼくの心の袂を掴む、きみの手が震えていて。
 引き返せないところまで来てしまったんだなとようやく覚悟を決める。

 ちがう、きっと。
 彼女がぼくを連れてきてくれたんだ。
 気付いたらもう、触れてしまっていた。


『…なら、やってみて。生きる為の本能を、とうに諦めたこのぼくの…欲をきみが、呼び覚まさせてみて』


 ――けっきょく、最期まで。
 セレナの望みは叶えてあげられなかったけれど。

 ぼくは何度でも思い出すんだ。
 初めてきみを抱いたあの日を。

 ただのぼくときみとして、求め合ったあの日を。
 きっとずっと、忘れないだろう。

 ぼくのものだというしるしをきみに灼きつけ、ふたりで境界を越えた夜。
 いまぼくはどっち側に居るのだろう。たったひとりで。


 きみだけは失いたくないと初めて泣いた。
 きみだけは失いたくないと初めて泣いた。


 置いていかないで、セレナ。
 ぼくらはきっと、同じ場所にはいけない。

 だから、きみの魂だけは。
 繋ぎ止めておきたかったんだ。


 ――もう一度だけ。きみに会いたい。
 会って訊きたいことがある。


 世界が終わる前にまた
 あの果実の木の下で。


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