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第ニ章
八話 強さの先に
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ただならぬ雰囲気が漂う訓練場。
「軽いな」
細剣を素振りするレフト。
そのスマートかつ力強い剣舞は訓練生たちの注目の的だ。
「こい、レフト」
一瞬動きが止まり、オメガに向けて剣を構えたレフト。
オメガも訓練用の剣をとり、静かに受けの構えをとる。
次の瞬間、レフトはものすごいスピードでオメガに斬りかかった。その神速の一撃に細剣は耐えきれず折れてしまった。
「ふむ、魔法が使えなくても十分な剣技であるな」
オメガが手にした剣もまた、パキンと折れてしまった。
「…オメガ、何をさせたいんだい…」
「今の一撃見事だった…アレサとゆっくり休んでくれ」
そう言うとオメガは折れた剣を片付けて訓練場を去った。
「ありがとうオメガ」
訓練場を出てすぐにオメガはニナと会った。
「ちょっとオメガ、右腕がバチバチいってるわ。ショートしているんじゃないの」
「レフトの一撃を受けた時の衝撃だろう」
「えっ…どういうことよ…レフトと戦ったの…」
「訓練場で手合わせをしたんだが…」
「ああ、そういうことね…」
「一撃受けて確信した。レフトは悪魔以上の存在になる」
「…」
「…ねえ…それって…」
「だが問題はない、アレサがいる限りレフトは大丈夫だ」
「やーね…力を見定めた…ということかしらね…」
「うむ、申し訳ないとは思ったが…腕の故障だけで済んだようだ」
「はいはい、整備室へ行きましょう」
オメガの腕はバチバチと音を立てながら時々ピクピクと動いている。ニナが寄り添い二人は整備室へと向かった。
シーキヨを後にしたレフト。
見送りにはシフやゼット、そしてレンがいた。
レンはレフトに同行し看護すると機関に申し出たようだが受理はされなかった。
去り際にはさみしそう表情をみせ、少しずつ感情を表に出せるようになったようだ。
そんなこんなで様々な想いがあるシーキヨだが、今後は人がまとまり豊かな国へと発展していくだろうとレフトは感じた。
「道中気をつけないとな。毎回襲われてたら気がもたないわ」
気持ちを切りかえて、レフトは機関の本部を目指した。
再生会なる団体は四人の魔法剣士を撃退してからは大人しいようだ。
捕縛した者たちはタイミングをみて尋問が待っている。
とはいえ身体や精神を攻撃する拷問は禁止されており、事情を伝えれば黙秘は認められるので、手荒なことはされない。
歩いているレフトは突然正面から微弱な魔力を感じた。
「…魔術師…か…」
遠くに魔術師らしき人物がおり、周囲から魔力を集めている。
「またか…」
レフトはまた襲撃されるのかと、やむなく剣を構えるのだが、どうも様子がおかしい。
「戦闘中……なのか…」
直ぐ様、身を隠すレフト。
自重しムダな戦いは避けるように行動する。
「魔術師が四、それと身分の高そうな……三名…」
三名は貴族のような身なりで争いとは無縁に想える。
「追い剥ぎか…仕方ない」
剣に手をかけるレフトだが、突如ものすごい圧を感じた。
「これはっ」
周囲の空気が一瞬で変わるほど、洗練された魔力とも闘気ともとれるそれが魔術師たちを包む。
「悪魔の瘴気と似ているが……」
悪魔以上の存在。
レフトはそう感じた。
そして謎の三人組の一人が魔術師を攻撃する。
突然吹き飛ぶ四人。
「…んっ…いったい何が起こった…んだ…」
レフトは動きが見えなかった。
そして後ろに気配を感じ、ふりかえると三人組の一人がいた。
すぐに身構えたレフトだが…。
「おっと一般人…ではないが魔術師ではないね」
「くっ…」
「びっくりさせてごめんなさいね。どうぞお通りください」
「…」
従うしかない。
「あなたたちはいったい…」
「ただの通行人よ。それよりその剣は…」
レフトの剣を確認しようとするその人物だが、別の人物が駆けつけて…
「帰るぞ…おや、お前は…」
その人物はレフトをみて魔封剣を確認する。
二人は何か言いたそうだが、結局何も伝えず去っていった。
「…世界は…広いな。あの三人……ネズミ以上だ…」
レフトは一気に脱力した。
謎の三人組。
そして討たれた魔術師たちは身体の一部が欠除していた。
次回へ続く
「軽いな」
細剣を素振りするレフト。
そのスマートかつ力強い剣舞は訓練生たちの注目の的だ。
「こい、レフト」
一瞬動きが止まり、オメガに向けて剣を構えたレフト。
オメガも訓練用の剣をとり、静かに受けの構えをとる。
次の瞬間、レフトはものすごいスピードでオメガに斬りかかった。その神速の一撃に細剣は耐えきれず折れてしまった。
「ふむ、魔法が使えなくても十分な剣技であるな」
オメガが手にした剣もまた、パキンと折れてしまった。
「…オメガ、何をさせたいんだい…」
「今の一撃見事だった…アレサとゆっくり休んでくれ」
そう言うとオメガは折れた剣を片付けて訓練場を去った。
「ありがとうオメガ」
訓練場を出てすぐにオメガはニナと会った。
「ちょっとオメガ、右腕がバチバチいってるわ。ショートしているんじゃないの」
「レフトの一撃を受けた時の衝撃だろう」
「えっ…どういうことよ…レフトと戦ったの…」
「訓練場で手合わせをしたんだが…」
「ああ、そういうことね…」
「一撃受けて確信した。レフトは悪魔以上の存在になる」
「…」
「…ねえ…それって…」
「だが問題はない、アレサがいる限りレフトは大丈夫だ」
「やーね…力を見定めた…ということかしらね…」
「うむ、申し訳ないとは思ったが…腕の故障だけで済んだようだ」
「はいはい、整備室へ行きましょう」
オメガの腕はバチバチと音を立てながら時々ピクピクと動いている。ニナが寄り添い二人は整備室へと向かった。
シーキヨを後にしたレフト。
見送りにはシフやゼット、そしてレンがいた。
レンはレフトに同行し看護すると機関に申し出たようだが受理はされなかった。
去り際にはさみしそう表情をみせ、少しずつ感情を表に出せるようになったようだ。
そんなこんなで様々な想いがあるシーキヨだが、今後は人がまとまり豊かな国へと発展していくだろうとレフトは感じた。
「道中気をつけないとな。毎回襲われてたら気がもたないわ」
気持ちを切りかえて、レフトは機関の本部を目指した。
再生会なる団体は四人の魔法剣士を撃退してからは大人しいようだ。
捕縛した者たちはタイミングをみて尋問が待っている。
とはいえ身体や精神を攻撃する拷問は禁止されており、事情を伝えれば黙秘は認められるので、手荒なことはされない。
歩いているレフトは突然正面から微弱な魔力を感じた。
「…魔術師…か…」
遠くに魔術師らしき人物がおり、周囲から魔力を集めている。
「またか…」
レフトはまた襲撃されるのかと、やむなく剣を構えるのだが、どうも様子がおかしい。
「戦闘中……なのか…」
直ぐ様、身を隠すレフト。
自重しムダな戦いは避けるように行動する。
「魔術師が四、それと身分の高そうな……三名…」
三名は貴族のような身なりで争いとは無縁に想える。
「追い剥ぎか…仕方ない」
剣に手をかけるレフトだが、突如ものすごい圧を感じた。
「これはっ」
周囲の空気が一瞬で変わるほど、洗練された魔力とも闘気ともとれるそれが魔術師たちを包む。
「悪魔の瘴気と似ているが……」
悪魔以上の存在。
レフトはそう感じた。
そして謎の三人組の一人が魔術師を攻撃する。
突然吹き飛ぶ四人。
「…んっ…いったい何が起こった…んだ…」
レフトは動きが見えなかった。
そして後ろに気配を感じ、ふりかえると三人組の一人がいた。
すぐに身構えたレフトだが…。
「おっと一般人…ではないが魔術師ではないね」
「くっ…」
「びっくりさせてごめんなさいね。どうぞお通りください」
「…」
従うしかない。
「あなたたちはいったい…」
「ただの通行人よ。それよりその剣は…」
レフトの剣を確認しようとするその人物だが、別の人物が駆けつけて…
「帰るぞ…おや、お前は…」
その人物はレフトをみて魔封剣を確認する。
二人は何か言いたそうだが、結局何も伝えず去っていった。
「…世界は…広いな。あの三人……ネズミ以上だ…」
レフトは一気に脱力した。
謎の三人組。
そして討たれた魔術師たちは身体の一部が欠除していた。
次回へ続く
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