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第ニ章
三話 刺客
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シーキヨは内乱や悪魔の襲撃で大破した。
だが破壊により人々は団結する事を学び、短期間で見事に復興した。賑やかな市場や、一部修復中だが利用可能となった図書館など機械墓地に依存はしつつも、宗教国ではないシーキヨ国として再スタートしている。
「活気が戻って良かった」
レフトは賑わう市場、行き交う人々をみてひと安心した。
悪魔の再来が予測されるがこの団結力があればきっと大丈夫。
そんな想いでいると急に騒がしくなり突如通路が確保された。
どうやら軍のパレードが始まるようだ。ゲリラライブのような展開に人々は盛り上がっている。
「なんだ、機関の人間も参列しているのか」
兵器がずらずらと行進するパレードではなく、復興に功労した者が参列したり、学者たちの奇抜な発明、軍人や国家の人々が着ぐるみで登場するなど、温和な雰囲気のパレードだ。
親子や年配者など様々な人々が集まり楽しんでいる光景は平和そのものだ。
機関のシフやレン、騎士のアルフレッドなども参列し集まってくれている市民に笑顔で手をふっている。
その中に猫の着ぐるみ姿のアレサがいた。
その時レフトは背後に気配を感じた。
「誰だ…」
「おっと…抵抗すると、ここら一帯を焼きつくすぞ。大人しくこっちへ来てもらおうか」
レフトは後ろを向くと剣士らしき人物が立っていた。
ここへ来る途中に襲撃した剣士と似ている容姿の女性がいた。
「…なんだか人気者になったみたいだねえ…」
「フレイムを撃退したようだが私はそうはいかない」
「魔法剣士の集団は奇襲するような組織ではないはずだが…」
「ふっ。貴様がそれを知る必要はない。ここで再起不能にさせてもらう」
路地裏に入り抜刀する剣士。
「我が名はウインド。レフトーラ覚悟」
抜刀した勢いでレフトに斬りかかるウインドウ。
「本当に物騒だな…」
レフトは下にあった棒を手にし、ウインドウの手首を突いた。
「っつ…」
予想できない角度からのカウンター攻撃に怯むウインドウ。レフトは襲ってきた魔法剣士達の剣術は共通していると見切った。
「君たちの剣は見切ったよ」
「ちっ…強いな…だが…」
ウインドウは後退しながら魔力を溜め始めた。
「おいおいっ、こんな狭いとこで魔法は…」
「風よ、引き裂け」
ウインドウはかまいたちのような風魔法を放った。
レフトはすぐに剣を構え魔法を無効化する。
「ムダだ」
「おのれっ何故効かぬのだぁ」
ウインドウは発狂しかまいたちを連発する。
「くっ…キレた…か」
レフトは剣を突き刺し防壁を展開しようとした。
だが魔法が使えない為、防壁は発生せず、無効化し損ねた何発かがパレード方向へ流れ建物を破壊。
突然の建造物破壊に驚きパニックになる市民たち。
崩壊した瓦礫が市民の集まりに落下しそうになるが、突然猫の着ぐるみが拳で全ての瓦礫を粉砕した。
レフトがその方向を見ていた一瞬に、ウインドウはレフトに近づき、ありったけの魔力をぶつけた。
「吹き飛んで砕けろレフトーラっ」
ゼロ距離で炸裂した魔力の衝撃でウインドウの周囲は吹き飛んだ。
「せっかくのパレードが…」
放たれた魔力の半分以上はレフトが吸収した。
そして久しぶりに青白いオーラを纏うレフト。
「…化け…も…の…」
その姿を見て恐怖するウインドウ。
本調子ではないレフトはすぐに魔力を解く。
「…やはり…腕がおかしい…」
レフトの左腕は剣を解して魔力の蓄積ができないだけで、相手が放った魔法は無効化か吸収して己の魔力とすることができた。
それが困難となりつつあり、このまま酷使すれば本当に腕がおかしくなるとレフトは感じた。
「ガクッとくるこの疲労感…」
急に身体全体に激しい負荷を感じ膝をつくレフト。
「ちっ…」
だがその隙をウインドウは見逃さずに、鋭い剣をレフトの右肩に突き刺した。
「…レフトーラ、捕らえたぞ…」
「やるじゃないか…」
ダメージを受けたレフトだが表情は笑っている。
刺さった剣を握り、身体から抜くレフト。
その様子に言葉を失うウインドウ。
何かの気配を感じとり、さっとウインドウから距離を取るレフト。
次の瞬間、雷がウインドウの全身を襲った。
「ぐはっ」
白い煙りを出しながら気絶し倒れるウインドウ。
「聖剣技の…雷の審判か……」
そう言うとレフトも気を失った。
暗い。
声がする。
「レフト、剣を持てるのか…」
「はい、先生。ですがこの剣は抜けないですね」
「驚いたな。これで私は逝ける」
「えっ、先生、今なんと…」
「もう用はない、下がれ…その剣は好きに使うがいい」
「ですが…」
「今まですまなかった。私の病は全身を蝕みもう助からないのだよ」
「…そんな…」
「人はいずれ地に帰る。その前にその剣を託す者がいて良かった」
…。
「…夢…か」
レフトは静かな病室で目が覚めた。
全身が鉛のように重く、右肩がずきずきと痛む。
「…最低でも後二人の魔法剣士がいる」
出発してすぐに襲ってきたのがフレイムとか言ってったからおそらく火だろう。
今回の魔法剣士は風。
四属と推測した場合、残るは水と土だ。
「今の状態では何かを守りながら戦うのは困難だな…」
ウインドウの実力は並だが、怒りに身をまかせた、なりふりかまわぬ攻撃を止めるのは結構大変だ。
「…やはりしばらく隠居すべき…か」
コンコンとノックした後に、シフが入ってきた。
「起きられましたか…良かった」
「久しぶり…でもないかな」
「単刀直入に言いますが、すぐに身を隠したほうがいいですよ。あの剣士は最近結成された再生会という危険な武装集団のメンバーです」
「…さそりの次は再生会…ですか…」
「ヘルゲートの科学者が結成したらしくなかなかの精鋭でここのメンバーも何名か襲撃されています」
「なるほどね」
「負傷しているという情報が漏れたらしく申し訳ない」
「えっ…」
「魔術師サナ…覚えていますか」
「ああ、ここに来る途中襲ってきたけど」
「再生会のメンバーらしいです」
「サナはもうしばらく動けないから大丈夫よ」
「…」
本当にこの人は負傷しているのか…
わからないシフだった。
次回へ続く
だが破壊により人々は団結する事を学び、短期間で見事に復興した。賑やかな市場や、一部修復中だが利用可能となった図書館など機械墓地に依存はしつつも、宗教国ではないシーキヨ国として再スタートしている。
「活気が戻って良かった」
レフトは賑わう市場、行き交う人々をみてひと安心した。
悪魔の再来が予測されるがこの団結力があればきっと大丈夫。
そんな想いでいると急に騒がしくなり突如通路が確保された。
どうやら軍のパレードが始まるようだ。ゲリラライブのような展開に人々は盛り上がっている。
「なんだ、機関の人間も参列しているのか」
兵器がずらずらと行進するパレードではなく、復興に功労した者が参列したり、学者たちの奇抜な発明、軍人や国家の人々が着ぐるみで登場するなど、温和な雰囲気のパレードだ。
親子や年配者など様々な人々が集まり楽しんでいる光景は平和そのものだ。
機関のシフやレン、騎士のアルフレッドなども参列し集まってくれている市民に笑顔で手をふっている。
その中に猫の着ぐるみ姿のアレサがいた。
その時レフトは背後に気配を感じた。
「誰だ…」
「おっと…抵抗すると、ここら一帯を焼きつくすぞ。大人しくこっちへ来てもらおうか」
レフトは後ろを向くと剣士らしき人物が立っていた。
ここへ来る途中に襲撃した剣士と似ている容姿の女性がいた。
「…なんだか人気者になったみたいだねえ…」
「フレイムを撃退したようだが私はそうはいかない」
「魔法剣士の集団は奇襲するような組織ではないはずだが…」
「ふっ。貴様がそれを知る必要はない。ここで再起不能にさせてもらう」
路地裏に入り抜刀する剣士。
「我が名はウインド。レフトーラ覚悟」
抜刀した勢いでレフトに斬りかかるウインドウ。
「本当に物騒だな…」
レフトは下にあった棒を手にし、ウインドウの手首を突いた。
「っつ…」
予想できない角度からのカウンター攻撃に怯むウインドウ。レフトは襲ってきた魔法剣士達の剣術は共通していると見切った。
「君たちの剣は見切ったよ」
「ちっ…強いな…だが…」
ウインドウは後退しながら魔力を溜め始めた。
「おいおいっ、こんな狭いとこで魔法は…」
「風よ、引き裂け」
ウインドウはかまいたちのような風魔法を放った。
レフトはすぐに剣を構え魔法を無効化する。
「ムダだ」
「おのれっ何故効かぬのだぁ」
ウインドウは発狂しかまいたちを連発する。
「くっ…キレた…か」
レフトは剣を突き刺し防壁を展開しようとした。
だが魔法が使えない為、防壁は発生せず、無効化し損ねた何発かがパレード方向へ流れ建物を破壊。
突然の建造物破壊に驚きパニックになる市民たち。
崩壊した瓦礫が市民の集まりに落下しそうになるが、突然猫の着ぐるみが拳で全ての瓦礫を粉砕した。
レフトがその方向を見ていた一瞬に、ウインドウはレフトに近づき、ありったけの魔力をぶつけた。
「吹き飛んで砕けろレフトーラっ」
ゼロ距離で炸裂した魔力の衝撃でウインドウの周囲は吹き飛んだ。
「せっかくのパレードが…」
放たれた魔力の半分以上はレフトが吸収した。
そして久しぶりに青白いオーラを纏うレフト。
「…化け…も…の…」
その姿を見て恐怖するウインドウ。
本調子ではないレフトはすぐに魔力を解く。
「…やはり…腕がおかしい…」
レフトの左腕は剣を解して魔力の蓄積ができないだけで、相手が放った魔法は無効化か吸収して己の魔力とすることができた。
それが困難となりつつあり、このまま酷使すれば本当に腕がおかしくなるとレフトは感じた。
「ガクッとくるこの疲労感…」
急に身体全体に激しい負荷を感じ膝をつくレフト。
「ちっ…」
だがその隙をウインドウは見逃さずに、鋭い剣をレフトの右肩に突き刺した。
「…レフトーラ、捕らえたぞ…」
「やるじゃないか…」
ダメージを受けたレフトだが表情は笑っている。
刺さった剣を握り、身体から抜くレフト。
その様子に言葉を失うウインドウ。
何かの気配を感じとり、さっとウインドウから距離を取るレフト。
次の瞬間、雷がウインドウの全身を襲った。
「ぐはっ」
白い煙りを出しながら気絶し倒れるウインドウ。
「聖剣技の…雷の審判か……」
そう言うとレフトも気を失った。
暗い。
声がする。
「レフト、剣を持てるのか…」
「はい、先生。ですがこの剣は抜けないですね」
「驚いたな。これで私は逝ける」
「えっ、先生、今なんと…」
「もう用はない、下がれ…その剣は好きに使うがいい」
「ですが…」
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「…そんな…」
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…。
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出発してすぐに襲ってきたのがフレイムとか言ってったからおそらく火だろう。
今回の魔法剣士は風。
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「なるほどね」
「負傷しているという情報が漏れたらしく申し訳ない」
「えっ…」
「魔術師サナ…覚えていますか」
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