17 / 42
第一章
十六話 先にある悪夢
しおりを挟む
レフトたちは墓地を進む。
構成員は作業をしており部外者が侵入しようがお構い無しのようだ。
まるでゾンビのように意識がないように見える。
「…以前来た時とはどこか違う…」
レフトは違和感があった。
最初に侵入した時の感覚に似ており、もしかしたらトラップの可能性がある。
「罠かもしれない、用心しよう」
だが、シフは構成員をみて疑問に思ってしまう。この状況を深く悲しみシーキヨの将来に不安を感じている。
「このままではシーキヨが滅んでしまう」
そんなことを想っているうちに、深部へ到着する。目の前には見るからにここから奥は危険ですよという門がある。
「この先は?」
レフトがシフに問う。
「わからない。幹部の部屋を通り過ぎたのだろうか」
二人は迷ったのかわからないが、とりあえず前進を決断し門の前に立つ。
すると門がいきなり崩れ液体となる。
「…これは門じゃない、モンスターです」
液体はゆっくりと固まり、とかげのような姿を形成する。その形成された鋭い爪が突如シフに襲いかかる。
「…くっ、動きが早い」
奇襲されたシフは手痛いダメージを受ける。左肩から右脇腹にかけての切り傷だ。出血し膝をついてしまう。
とかげはとどめとばかりに再びシフを襲う。
「くっ…避けれない」
死を覚悟したシフの前にレフトが立つ。
とかげは急な行動に動揺して攻撃を中止し距離をとる。
「…レフトさん…すみません」
申し訳なさそうなシフに、
にっこり笑い剣を構え右手に魔力を集中させるレフト。
それを察知し、攻撃を阻止すべく毒液らしきものでレフトを攻撃するとかげ。
毒液による遠距離攻撃と近接は鋭い爪や牙など死角のない強敵だ。
しかし…
毒液はレフトを包む青い魔力の前に消失し、右手を地面に向けると一帯がものすごい勢いで凍結する。とかげは一瞬で凍りつき通路にあるガラスは砕け、周囲は寒い地域のような別世界になった。
「…す…すごい…」
シフは圧倒的なレフトに驚いていた。
とかげは強い。そこらの戦士ではおそらく倒せないだろう。液体化すれば物理攻撃は無効だろうし、ダメージが与えられないからだ。
「このままでよいだろう。いずれ氷は溶けるが、今後人を襲おうとは思わないはずだ」
レフトはこのモンスターが改造モンスターであることや、好戦的でないことを理解していた。
「先に進もう」
シフを起こし奥へ進む。
「ゲーハの実験で造られたのでしょう」
「だろう…カレンといい、あの科学者は逮捕し罪を償わせねばならないね」
走りながら会話していた二人の前に巨大な扉が現れる。禍々しいその扉に鍵穴はなく魔法で封印されているようだ。
「シフ、この先は?」
「主の間でしょうか、墓地にこんな場所があったとは」
奥くまで来た二人。
「墓地というよりは研究所みたいだ。さらに目の前の扉は異界への出入りみたいだ」
恐怖を感じているシフ。
「心配ない、地獄へ繋がろうが凶悪な化け物が現れようが全て倒す。そして戦争を終わらす、それが復興機関の役目だよ」
シフは返す言葉が無かった。
とりあえず扉を押してみるシフ。
すると見た目に反して軽く、簡単に開けられる。
扉を開けて内部へ進むと、広間があり豪華な装飾画などが多数あり奥にはカレン、ゲーハ、そして主らしき人物がいる。
杖を持ち黒いローブ姿から判断できる。
魔法使いだろう。
ゆっくりと近づく二人。
「ようこそ、手荒なことをしてすまない。スコーピオンやレオンは少々扱いにくくてね。私が鋼鉄のさそりを束ねるソサリです」
「シフといいます。こちらは復興機関のレフトさんです」
「噂はよく耳にします。私の邪魔ばかりし、計画をめちゃくちゃにしたあなたはとても強いそうですね」
「えっ…計画ですか?」
シフは問う。
ガタンっと大きな音が響く。
扉が閉められたようだ。
「もう退路は無いです。ここを出るには我々を倒すことです」
複数の相手にシフは怯えている。
未知の戦闘力が恐ろしいソサリ。
精密機械のような剣術のカレン。
狂気の科学者ゲーハ。
この三人を倒すことができるのか。
「くっくっく、復興機関レフトや、いつぞやのお礼をせねばね」
「レフトお願い、大人しく従って。あなたを刺したくないの」
「人気者はつらいとこだねレフトさん」
レフトはシフにガード魔法をかけ下がっててくれと合図し、ゆっくり三人に近づく。
「退路が無いのはあなた方です。集落は機関に抑えられ四将軍は残り二人。私たちはあくまでも使者としてここへ来ました。それを拒否して滅亡が望みならそれもいいでしょう。追い詰められているのはあなた方です」
そういうとレフトは剣を地面に突き刺す。
すると剣から強烈な衝撃波が放たれ三人は吹き飛び、広間の壁や装飾画は粉々になった。
魔力のオーラを纏い戦闘態勢になったレフト。
「くっ、あれは本当に人間か…」
ゲーハは衝撃で頭部から出血している。
「レフト、もうやめて投降して」
カレンは意味がわからない説得をする。桁違いの戦闘力に意識が崩壊したらしい。
「ちっ…何故このような者が復興機関にいるんだ」
ソサリの杖は衝撃で折れ、なんとか耐えた、そういった感じだ。
「これ以上は怪我じゃすまない」
レフトはさらに魔力を強めた。
嵐のような衝撃波が周囲を徹底的に破壊する。三人はレフトに近寄ることすらできない。ゲーハは薬品を投げるが空中で分解され自分の腕にかかる。悲鳴をあげ右腕を失うゲーハ。
「…悪夢だ…」
シフはガタガタと震えていた。
次回へ続く
構成員は作業をしており部外者が侵入しようがお構い無しのようだ。
まるでゾンビのように意識がないように見える。
「…以前来た時とはどこか違う…」
レフトは違和感があった。
最初に侵入した時の感覚に似ており、もしかしたらトラップの可能性がある。
「罠かもしれない、用心しよう」
だが、シフは構成員をみて疑問に思ってしまう。この状況を深く悲しみシーキヨの将来に不安を感じている。
「このままではシーキヨが滅んでしまう」
そんなことを想っているうちに、深部へ到着する。目の前には見るからにここから奥は危険ですよという門がある。
「この先は?」
レフトがシフに問う。
「わからない。幹部の部屋を通り過ぎたのだろうか」
二人は迷ったのかわからないが、とりあえず前進を決断し門の前に立つ。
すると門がいきなり崩れ液体となる。
「…これは門じゃない、モンスターです」
液体はゆっくりと固まり、とかげのような姿を形成する。その形成された鋭い爪が突如シフに襲いかかる。
「…くっ、動きが早い」
奇襲されたシフは手痛いダメージを受ける。左肩から右脇腹にかけての切り傷だ。出血し膝をついてしまう。
とかげはとどめとばかりに再びシフを襲う。
「くっ…避けれない」
死を覚悟したシフの前にレフトが立つ。
とかげは急な行動に動揺して攻撃を中止し距離をとる。
「…レフトさん…すみません」
申し訳なさそうなシフに、
にっこり笑い剣を構え右手に魔力を集中させるレフト。
それを察知し、攻撃を阻止すべく毒液らしきものでレフトを攻撃するとかげ。
毒液による遠距離攻撃と近接は鋭い爪や牙など死角のない強敵だ。
しかし…
毒液はレフトを包む青い魔力の前に消失し、右手を地面に向けると一帯がものすごい勢いで凍結する。とかげは一瞬で凍りつき通路にあるガラスは砕け、周囲は寒い地域のような別世界になった。
「…す…すごい…」
シフは圧倒的なレフトに驚いていた。
とかげは強い。そこらの戦士ではおそらく倒せないだろう。液体化すれば物理攻撃は無効だろうし、ダメージが与えられないからだ。
「このままでよいだろう。いずれ氷は溶けるが、今後人を襲おうとは思わないはずだ」
レフトはこのモンスターが改造モンスターであることや、好戦的でないことを理解していた。
「先に進もう」
シフを起こし奥へ進む。
「ゲーハの実験で造られたのでしょう」
「だろう…カレンといい、あの科学者は逮捕し罪を償わせねばならないね」
走りながら会話していた二人の前に巨大な扉が現れる。禍々しいその扉に鍵穴はなく魔法で封印されているようだ。
「シフ、この先は?」
「主の間でしょうか、墓地にこんな場所があったとは」
奥くまで来た二人。
「墓地というよりは研究所みたいだ。さらに目の前の扉は異界への出入りみたいだ」
恐怖を感じているシフ。
「心配ない、地獄へ繋がろうが凶悪な化け物が現れようが全て倒す。そして戦争を終わらす、それが復興機関の役目だよ」
シフは返す言葉が無かった。
とりあえず扉を押してみるシフ。
すると見た目に反して軽く、簡単に開けられる。
扉を開けて内部へ進むと、広間があり豪華な装飾画などが多数あり奥にはカレン、ゲーハ、そして主らしき人物がいる。
杖を持ち黒いローブ姿から判断できる。
魔法使いだろう。
ゆっくりと近づく二人。
「ようこそ、手荒なことをしてすまない。スコーピオンやレオンは少々扱いにくくてね。私が鋼鉄のさそりを束ねるソサリです」
「シフといいます。こちらは復興機関のレフトさんです」
「噂はよく耳にします。私の邪魔ばかりし、計画をめちゃくちゃにしたあなたはとても強いそうですね」
「えっ…計画ですか?」
シフは問う。
ガタンっと大きな音が響く。
扉が閉められたようだ。
「もう退路は無いです。ここを出るには我々を倒すことです」
複数の相手にシフは怯えている。
未知の戦闘力が恐ろしいソサリ。
精密機械のような剣術のカレン。
狂気の科学者ゲーハ。
この三人を倒すことができるのか。
「くっくっく、復興機関レフトや、いつぞやのお礼をせねばね」
「レフトお願い、大人しく従って。あなたを刺したくないの」
「人気者はつらいとこだねレフトさん」
レフトはシフにガード魔法をかけ下がっててくれと合図し、ゆっくり三人に近づく。
「退路が無いのはあなた方です。集落は機関に抑えられ四将軍は残り二人。私たちはあくまでも使者としてここへ来ました。それを拒否して滅亡が望みならそれもいいでしょう。追い詰められているのはあなた方です」
そういうとレフトは剣を地面に突き刺す。
すると剣から強烈な衝撃波が放たれ三人は吹き飛び、広間の壁や装飾画は粉々になった。
魔力のオーラを纏い戦闘態勢になったレフト。
「くっ、あれは本当に人間か…」
ゲーハは衝撃で頭部から出血している。
「レフト、もうやめて投降して」
カレンは意味がわからない説得をする。桁違いの戦闘力に意識が崩壊したらしい。
「ちっ…何故このような者が復興機関にいるんだ」
ソサリの杖は衝撃で折れ、なんとか耐えた、そういった感じだ。
「これ以上は怪我じゃすまない」
レフトはさらに魔力を強めた。
嵐のような衝撃波が周囲を徹底的に破壊する。三人はレフトに近寄ることすらできない。ゲーハは薬品を投げるが空中で分解され自分の腕にかかる。悲鳴をあげ右腕を失うゲーハ。
「…悪夢だ…」
シフはガタガタと震えていた。
次回へ続く
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
ファンタジー/ストーリー5
雪矢酢
ファンタジー
この作品には転生系の要素はございません。
また、ループなどの構成を排除したシンプルで分かりやすい内容を目指しています。
◇作品紹介◇
作中最強の主人公や個性豊かなキャラクターが活躍するシンプルなお話です。
物語は最終章へ突入、滅びの運命に抗った者たちや世界の行方を見届けよう。
(内容紹介の詳細はお手数ですが第一期をご覧下さい)
※誤字脱字は可能な限りチェックしており不備は修正いたします。修正により本編内容が変更することはございません
表紙:イラストAC yumazi様より
ファンタジー/ストーリー3
雪矢酢
ファンタジー
注意!
この作品には転生系の要素はございません。
第一期から読むほうがより作品を楽しめます。
隙間時間で読める、謎は残さない、読者に結末を委ねない後味の良い作品を目指しております。
◇作品紹介◇
魔法剣士が主人公のお話です。
ファンタジーをベースに、強い主人公や個性豊かなキャラクターが活躍するシンプル構成でわかりやすいエンターテイメント風な物語です。
組織から離れた主人公の活躍にご期待下さい。
(内容紹介の詳細はお手数ですが第一期をご覧下さい)
※誤字脱字は可能な限りチェックしており不備は修正いたします。修正により本編内容が変更することはございません。
表紙:イラストAC arayashiki様より
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
ファンタジー/ストーリー2
雪矢酢
ファンタジー
転生しないファンタジー作品です。
第一期から読むほうがより作品を楽しめます。
謎は残さない、読者に結末を委ねない、後味の良い作品です。
◇作品紹介◇
魔法剣士が主人公のお話です。
ファンタジーをベースに、強い主人公や個性豊かなキャラクターが活躍するエンターテイメント風な物語です。
シンプルな構成でわかりやすいお話です。
(内容紹介の詳細はお手数ですがシーズン1をご覧下さい)
※誤字脱字は可能な限りチェックしており不備は修正いたします。修正により本編内容が変更することはございません。
表紙:イラストAC ガジャマル様より
ファンタジー/ストーリー4
雪矢酢
ファンタジー
この作品に転生系の要素はございません。
第一期から読むほうがより作品を楽しめます。
隙間時間で読める、謎は残さない、読者に結末を委ねない後味の良い作品を目指しております。
番外編には挿し絵を入れてみましたので、ぜひご覧下さい。
◇作品紹介◇
魔法剣士が主人公のお話です。
ファンタジーをベースに主人公や個性豊かなキャラクターが活躍するシンプル構成です。分かりやすいエンターテイメント風な物語をお楽しみ下さい。
神に匹敵する力を持つ魔法剣士の活躍にご期待下さい。
(内容紹介の詳細はお手数ですが第一期をご覧下さい)
※誤字脱字は可能な限りチェックしており不備は修正いたします。修正により本編内容が変更することはございません
表紙:イラストAC yumazi様より
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
完結【R―18】様々な情事 短編集
秋刀魚妹子
恋愛
本作品は、過度な性的描写が有ります。 というか、性的描写しか有りません。
タイトルのお品書きにて、シチュエーションとジャンルが分かります。
好みで無いシチュエーションやジャンルを踏まないようご注意下さい。
基本的に、短編集なので登場人物やストーリーは繋がっておりません。
同じ名前、同じ容姿でも関係無い場合があります。
※ このキャラの情事が読みたいと要望の感想を頂いた場合は、同じキャラが登場する可能性があります。
※ 更新は不定期です。
それでは、楽しんで頂けたら幸いです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる