6 / 41
第一章
五話 目覚め
しおりを挟む
「…ぅん……やだ、寝ちゃったのかしら…」
ムクリと起き上がるアレサ。
だが隣りにいるはずのレフトがいない。
「…レフト…」
寝ぼけていた意識が覚醒する。
「あれ、レフトどこっ」
昏睡状態であったレフトが突然消えた。家の中を探すがどこにも姿は確認できない。
落胆するアレサ、その時玄関のドアが開きレフトが入ってくる。
「心配かけたねアレサ」
「レフト…」
アレサは駆け寄りレフトに抱きつく。
そんな彼女を優しく抱きしめる。
アレサは泣いていた。
しばらく二人だけ時間が止まったようであった。
「どこ行ってたのよ…」
「ごめん、外の空気を…」
何気ない会話の二人。
だがアレサはレフトの変わったオーラにすぐ気付いた。
「…腕が完治したようね」
「そうらしいわ」
急に冷静になるアレサ。
涙を払い、真剣な眼差しをレフトに向ける。
「おそらく今のあなたは悪魔以上の存在よ」
「…そうなの?」
「今まで感じたことのない、より洗練された魔力…」
「えーっ、何それ」
「…」
レフトの応答に沈黙するアレサ。
「よくわからないけど、力が暴走した時は…アレサ、頼むよ」
「…いや、私はそんなこと……」
「ごめん、ちょっと嫌な言い方だったね」
「私こそごめんなさい。今までこんな魔力は感じたことがないから…」
「そこまで強化されたとは感じないのだけど…まあ確かにみなぎる魔力は感じるよ。今、魔封剣を持つのは正直怖いって気持ちはあるね」
「…そうね、なんかそれはわかるわ」
「アレサ聞いてほしいのだけれど」
「何を?」
「…すべきことが終わったら隠居しよう」
「…レフト…」
「今はどうしてもこの力を失うわけにはいかない。だけどいつかきっと…」
「大丈夫、同じこと想っているわ。前に伝えた通り、私は人としてあなたと生きたい」
二人は久しぶりにお互いを確かめ合い今後について話した。
「そうだ、どのくらい寝てたのかな…」
「ああ、五年ちょいよ」
「えっー」
「ホープの言う通りだったわね」
「…道理でか…」
「何かあったの?」
「うん、目覚めて歩こうとしたら…無理だった…」
「…当たり前よ…だってずっと寝たきりだったのよ」
やれやれといった感じで、支度を始めるアレサ。
「どうしたの?」
「身体の汚れは看病していたから大丈夫だろうけど…」
「ありがとう」
「さっきの言葉は訂正するわね」
「えっ訂正?」
「悪魔以上というか、戦闘はまだムリね」
「…リハビリか」
「ええ、少しずつ初めていきましょう」
眠っていたことで身体をつくり直さねば前線に到底立てない。
それはアレサはもちろん、レフト本人もよくわかっていた。
「アレサ、本当にありがとう」
「うふふ、これからはきびしくいくわよ」
「…はぃ…」
精神世界から脱出し、左腕を征したレフト。
これからアレサのきびしいリハビリ?が始まる。
次回へ続く。
ムクリと起き上がるアレサ。
だが隣りにいるはずのレフトがいない。
「…レフト…」
寝ぼけていた意識が覚醒する。
「あれ、レフトどこっ」
昏睡状態であったレフトが突然消えた。家の中を探すがどこにも姿は確認できない。
落胆するアレサ、その時玄関のドアが開きレフトが入ってくる。
「心配かけたねアレサ」
「レフト…」
アレサは駆け寄りレフトに抱きつく。
そんな彼女を優しく抱きしめる。
アレサは泣いていた。
しばらく二人だけ時間が止まったようであった。
「どこ行ってたのよ…」
「ごめん、外の空気を…」
何気ない会話の二人。
だがアレサはレフトの変わったオーラにすぐ気付いた。
「…腕が完治したようね」
「そうらしいわ」
急に冷静になるアレサ。
涙を払い、真剣な眼差しをレフトに向ける。
「おそらく今のあなたは悪魔以上の存在よ」
「…そうなの?」
「今まで感じたことのない、より洗練された魔力…」
「えーっ、何それ」
「…」
レフトの応答に沈黙するアレサ。
「よくわからないけど、力が暴走した時は…アレサ、頼むよ」
「…いや、私はそんなこと……」
「ごめん、ちょっと嫌な言い方だったね」
「私こそごめんなさい。今までこんな魔力は感じたことがないから…」
「そこまで強化されたとは感じないのだけど…まあ確かにみなぎる魔力は感じるよ。今、魔封剣を持つのは正直怖いって気持ちはあるね」
「…そうね、なんかそれはわかるわ」
「アレサ聞いてほしいのだけれど」
「何を?」
「…すべきことが終わったら隠居しよう」
「…レフト…」
「今はどうしてもこの力を失うわけにはいかない。だけどいつかきっと…」
「大丈夫、同じこと想っているわ。前に伝えた通り、私は人としてあなたと生きたい」
二人は久しぶりにお互いを確かめ合い今後について話した。
「そうだ、どのくらい寝てたのかな…」
「ああ、五年ちょいよ」
「えっー」
「ホープの言う通りだったわね」
「…道理でか…」
「何かあったの?」
「うん、目覚めて歩こうとしたら…無理だった…」
「…当たり前よ…だってずっと寝たきりだったのよ」
やれやれといった感じで、支度を始めるアレサ。
「どうしたの?」
「身体の汚れは看病していたから大丈夫だろうけど…」
「ありがとう」
「さっきの言葉は訂正するわね」
「えっ訂正?」
「悪魔以上というか、戦闘はまだムリね」
「…リハビリか」
「ええ、少しずつ初めていきましょう」
眠っていたことで身体をつくり直さねば前線に到底立てない。
それはアレサはもちろん、レフト本人もよくわかっていた。
「アレサ、本当にありがとう」
「うふふ、これからはきびしくいくわよ」
「…はぃ…」
精神世界から脱出し、左腕を征したレフト。
これからアレサのきびしいリハビリ?が始まる。
次回へ続く。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
ファンタジー/ストーリー3
雪矢酢
ファンタジー
注意!
この作品には転生系の要素はございません。
第一期から読むほうがより作品を楽しめます。
隙間時間で読める、謎は残さない、読者に結末を委ねない後味の良い作品を目指しております。
◇作品紹介◇
魔法剣士が主人公のお話です。
ファンタジーをベースに、強い主人公や個性豊かなキャラクターが活躍するシンプル構成でわかりやすいエンターテイメント風な物語です。
組織から離れた主人公の活躍にご期待下さい。
(内容紹介の詳細はお手数ですが第一期をご覧下さい)
※誤字脱字は可能な限りチェックしており不備は修正いたします。修正により本編内容が変更することはございません。
表紙:イラストAC arayashiki様より
ファンタジー/ストーリー5
雪矢酢
ファンタジー
この作品には転生系の要素はございません。
また、ループなどの構成を排除したシンプルで分かりやすい内容を目指しています。
◇作品紹介◇
作中最強の主人公や個性豊かなキャラクターが活躍するシンプルなお話です。
物語は最終章へ突入、滅びの運命に抗った者たちや世界の行方を見届けよう。
(内容紹介の詳細はお手数ですが第一期をご覧下さい)
※誤字脱字は可能な限りチェックしており不備は修正いたします。修正により本編内容が変更することはございません
表紙:イラストAC yumazi様より
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ファンタジー/ストーリー4
雪矢酢
ファンタジー
この作品に転生系の要素はございません。
第一期から読むほうがより作品を楽しめます。
隙間時間で読める、謎は残さない、読者に結末を委ねない後味の良い作品を目指しております。
番外編には挿し絵を入れてみましたので、ぜひご覧下さい。
◇作品紹介◇
魔法剣士が主人公のお話です。
ファンタジーをベースに主人公や個性豊かなキャラクターが活躍するシンプル構成です。分かりやすいエンターテイメント風な物語をお楽しみ下さい。
神に匹敵する力を持つ魔法剣士の活躍にご期待下さい。
(内容紹介の詳細はお手数ですが第一期をご覧下さい)
※誤字脱字は可能な限りチェックしており不備は修正いたします。修正により本編内容が変更することはございません
表紙:イラストAC yumazi様より
ファンタジー/ストーリー
雪矢酢
ファンタジー
◇作品のコンセプト◇
転生しない、話が複雑になる要素や構成は排除、誰でも謎が解けるわかりやすいシンプルな構成、ちょっとした隙間時間で読めるように文字数を調整、文章を読むのが苦手な方でも読書習慣が身に付くような投稿方法を考えてみました。
筆者の自己満足ではなく、読む側、書く側が楽しめるモヤモヤしない後味スッキリの作品です。
◇作品内容◇
文明が崩壊してしまった世界。
人類はどのように生きていくのか。
そして文明は何故滅びてしまったのか。
魔法やモンスター、剣などのファンタジーをベースにしつつ、機械、近代兵器が登場する独特の世界観、圧倒的な強さの主人公などの個性的なキャラクターたちが登場し活躍します。
「復興機関」という組織に所属する主人公を中心に話が進みます。
通勤、通学中や暇つぶしなど隙間時間にさっさと読める、一話1000文字~3000文字程度で連載していく長編です。
バトルや人間模様、ギャクにシリアスな謎解きなど、思い付く要素を詰め込んだエンターテイメント風な物語をお楽しみ下さい。
※誤字脱字はチェックしており不備は修正いたします。修正により本編内容が変更することはございません。
表紙:イラストAC まゆぽん様より
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる