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【本編】守るために
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黒い国、四将校の一人フレイ。
軽鎧で長剣を使う女剣士だ。
「お覚悟」
アイに襲いかかるフレイ。
急襲に動ずことなくフレイの斬撃にカウンターを合わせるアイ。
「…ぅう…ぐっ…」
いきなり重い一撃を受けたフレイ。
「勝負はついたわ。市民を解放しておとなしくここから撤退しなさい」
自分たちの上官が負傷したことでざわつく兵士たち。相変わらず黒い国の兵士たちは士気が低いようだ。
「…フレイ…相手の実力を見極めないといつか死ぬよ…これは自業自得だよ」
ポイっと回復薬をフレイに渡すライト。
「さて…急襲申し訳ありません。これはこの者の独断です」
「ライト、時間稼ぎはムダよ」
アイは密かに動き出す兵士たちを見逃さなかった。
「なるほど…一筋縄ではいかないようだね」
ライトは兵士を撤退させる。
館を包囲していた兵士は南大門まで後退していった。
「ひとまずここは引かせてもらいます。クロス殿や他の将校はわかりませんが私は争いを望んでいない」
ライトはライトなりの考えがあるようだ。
撤退を始めるライトとフレイ。
その時、コロコロと鉄の球体が二人めがけて転がってきた。
「くっ…」
球体を確認すると突然フレイを蹴り飛ばすライト。
次の瞬間その球体は爆発しライトは直撃を受けた。フレイは直撃こそ避けられたが爆破によるダメージは受けた。
舞い上がった砂ほこりがおさまってくる。
爆心地は地面がえぐれておりライトは即死、フレイは右腕が吹き飛んで気絶している。
「ふぉふぉ、敵前逃亡は死罪に値する。クロス様の意志に逆らう者は死あるのみじゃ」
高貴な服に身をつつみ、手榴弾を持った老人がゆっくりとフレイに近づく。
「…う…ぁが…」
恐怖で怯えるフレイ。
「フレイよ、君はもう戦えないじゃろう」
身動きがとれないフレイの口に何やら火薬の筒みたいなものを突っ込む老人。
「うぅー…」
必死に抵抗するフレイだが、老人は倒れているフレイの腹を踏みつけた。
勢いで反り返る身体を手榴弾で殴る。
ぐったりとしたフレイ。
ニタニタと笑いながら小型の機械を取り出す。
「お疲れさん」
その瞬間、アイは猛スピードで老人の手元から機械を奪った。
一瞬の出来事に状況がわからない老人。
「ふぉ?」
そしてその老人の腹部に一撃を入れるアイ。
「ふぐぉ…ぐぅ」
悶絶し老人はその場に倒れた。
急展開に兵士たちは逃亡。
西と南エリアの兵士は皆、南大門を通過し大陸へ散っていった。
これを好機とみた白い国は、兵士を南大門へ集結させて一気に黒い兵士を追い払った。
「アイ様、もうお休み下さい。後は我々が」
コトはスルと同様にスッとアイにかけより支える。
外の様子を把握していたユウが館から車椅子を持ってきた。スルとコトが支えゆっくりと座るアイ。
「みんなありがとう。私のわがままを聞いてくれて。本当にありがとう」
「さあいこう。中で休もう」
スルは車椅子を押しアイの部屋へ向かう。
コトはお手伝いたちを集め周囲のチェックと片付けを指示している。
投降した兵士や老人とフレイは軍が連行していった。
「ねえ、スル」
「ん、どうしたの」
「私、あの三人を知っているわ」
「えっ」
「四将校とか言ってたけど、あれはクロスの家の使用人たちよ」
「コトさんみたいな方々?」
コクりと頷くアイ。
「クロスの家は代々優秀な人が多くて、とても身分が高い名家なの」
「…」
「ただ他人を蹴落としたり、軍との癒着の疑いなど名家ではあるけど悪い噂が多数あったの」
「なるほど」
「そんな噂を鎮火したり、名家の影となっていたのがあの三人よ」
「クロスが出世して私兵にしたのだろうか」
「そんなとこね。スカウトとか言ってたし。温厚なライト、無口なフレイ、元医者のサンダー」
「あの老人はサンダーというのね」
「うん、医務室や自分の部屋に籠っているのが多くてよくわからない老人だったわ。まさか火薬に詳しいとは…」
「アイ、身体は大丈夫?」
「…」
「かなり身体に負荷がかかっていると思う。ムリしてそうな気がする…」
アイはうつむいている。
その様子から気持ちを察し、追及をやめるスル。
部屋に到着し中に入る二人。
「ありがとうスル」
自力で車椅子から普通の椅子へ移動し座る。
「ひとまず防衛したからしばらくは安全だと思う。ちょっと兵士案内所へ行ってくるね」
部屋を出てため息をつくスル。
「…ムチャしすぎだよ…」
スルはアイがムリして戦っていたのを見抜いていた。ようやく歩行ができるかという時にムリをすると生涯歩けなくなるかもしれない。
複雑な心境のアイを何とかしてあげたいと心から思うスルであった。
軽鎧で長剣を使う女剣士だ。
「お覚悟」
アイに襲いかかるフレイ。
急襲に動ずことなくフレイの斬撃にカウンターを合わせるアイ。
「…ぅう…ぐっ…」
いきなり重い一撃を受けたフレイ。
「勝負はついたわ。市民を解放しておとなしくここから撤退しなさい」
自分たちの上官が負傷したことでざわつく兵士たち。相変わらず黒い国の兵士たちは士気が低いようだ。
「…フレイ…相手の実力を見極めないといつか死ぬよ…これは自業自得だよ」
ポイっと回復薬をフレイに渡すライト。
「さて…急襲申し訳ありません。これはこの者の独断です」
「ライト、時間稼ぎはムダよ」
アイは密かに動き出す兵士たちを見逃さなかった。
「なるほど…一筋縄ではいかないようだね」
ライトは兵士を撤退させる。
館を包囲していた兵士は南大門まで後退していった。
「ひとまずここは引かせてもらいます。クロス殿や他の将校はわかりませんが私は争いを望んでいない」
ライトはライトなりの考えがあるようだ。
撤退を始めるライトとフレイ。
その時、コロコロと鉄の球体が二人めがけて転がってきた。
「くっ…」
球体を確認すると突然フレイを蹴り飛ばすライト。
次の瞬間その球体は爆発しライトは直撃を受けた。フレイは直撃こそ避けられたが爆破によるダメージは受けた。
舞い上がった砂ほこりがおさまってくる。
爆心地は地面がえぐれておりライトは即死、フレイは右腕が吹き飛んで気絶している。
「ふぉふぉ、敵前逃亡は死罪に値する。クロス様の意志に逆らう者は死あるのみじゃ」
高貴な服に身をつつみ、手榴弾を持った老人がゆっくりとフレイに近づく。
「…う…ぁが…」
恐怖で怯えるフレイ。
「フレイよ、君はもう戦えないじゃろう」
身動きがとれないフレイの口に何やら火薬の筒みたいなものを突っ込む老人。
「うぅー…」
必死に抵抗するフレイだが、老人は倒れているフレイの腹を踏みつけた。
勢いで反り返る身体を手榴弾で殴る。
ぐったりとしたフレイ。
ニタニタと笑いながら小型の機械を取り出す。
「お疲れさん」
その瞬間、アイは猛スピードで老人の手元から機械を奪った。
一瞬の出来事に状況がわからない老人。
「ふぉ?」
そしてその老人の腹部に一撃を入れるアイ。
「ふぐぉ…ぐぅ」
悶絶し老人はその場に倒れた。
急展開に兵士たちは逃亡。
西と南エリアの兵士は皆、南大門を通過し大陸へ散っていった。
これを好機とみた白い国は、兵士を南大門へ集結させて一気に黒い兵士を追い払った。
「アイ様、もうお休み下さい。後は我々が」
コトはスルと同様にスッとアイにかけより支える。
外の様子を把握していたユウが館から車椅子を持ってきた。スルとコトが支えゆっくりと座るアイ。
「みんなありがとう。私のわがままを聞いてくれて。本当にありがとう」
「さあいこう。中で休もう」
スルは車椅子を押しアイの部屋へ向かう。
コトはお手伝いたちを集め周囲のチェックと片付けを指示している。
投降した兵士や老人とフレイは軍が連行していった。
「ねえ、スル」
「ん、どうしたの」
「私、あの三人を知っているわ」
「えっ」
「四将校とか言ってたけど、あれはクロスの家の使用人たちよ」
「コトさんみたいな方々?」
コクりと頷くアイ。
「クロスの家は代々優秀な人が多くて、とても身分が高い名家なの」
「…」
「ただ他人を蹴落としたり、軍との癒着の疑いなど名家ではあるけど悪い噂が多数あったの」
「なるほど」
「そんな噂を鎮火したり、名家の影となっていたのがあの三人よ」
「クロスが出世して私兵にしたのだろうか」
「そんなとこね。スカウトとか言ってたし。温厚なライト、無口なフレイ、元医者のサンダー」
「あの老人はサンダーというのね」
「うん、医務室や自分の部屋に籠っているのが多くてよくわからない老人だったわ。まさか火薬に詳しいとは…」
「アイ、身体は大丈夫?」
「…」
「かなり身体に負荷がかかっていると思う。ムリしてそうな気がする…」
アイはうつむいている。
その様子から気持ちを察し、追及をやめるスル。
部屋に到着し中に入る二人。
「ありがとうスル」
自力で車椅子から普通の椅子へ移動し座る。
「ひとまず防衛したからしばらくは安全だと思う。ちょっと兵士案内所へ行ってくるね」
部屋を出てため息をつくスル。
「…ムチャしすぎだよ…」
スルはアイがムリして戦っていたのを見抜いていた。ようやく歩行ができるかという時にムリをすると生涯歩けなくなるかもしれない。
複雑な心境のアイを何とかしてあげたいと心から思うスルであった。
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