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2.  アレクとなった俺、人前に出る

―― 国王と対面する ――

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 アベル宰相は、俺の全身を、上から下までなめまわすようにみて、
「問題ないな。少し痩せたくらいか……」
 つぶやいた後、厳しい表情になった。
「くれぐれも蘇生魔法で甦ったことは、口にせぬように……このことは、我々と第二王子のニコライ様だけが知っていることだ。……蘇生魔法に偏見を持つ者たちは、多い。死んだ身体に魔物が乗り移って甦ると考えている輩もいるのでな。尋ねられたら、あくまでも、回復魔法によって治ったと答えよ。……よいな?」
 宰相は踵をかえし、俺たちを先導するように、前に立って歩き始めた。

 俺たちは、部屋を出て、広い通廊に出た。 
 大理石のような光沢を持つ見あげるほどの高い壁。下を見ると、明るいグレーの四角い石のパネルが、床全体に、隙間なくはめこまれている。
 廊下の中央に赤紫の細長い絨毯が敷かれ、突き当りにある扉の前まで続いていた。
 通廊の突き当り、俺の身長の二倍はあろうかという高さの扉は、少しだけ開いていて、隙間から魔法で生成したらしい柔らかな光が漏れている。

 宰相は、部屋に入る前に、一瞬立ち止まった。
 あとについて歩く俺たちも、止まる。
 宰相はふりかえり、一度うなずくと、力強く扉を開け放った。
 八人の男女が、室内にいた。

 中央の贅をこらした椅子に座っているのが、国王にちがいない……。
 王の前には、あざやかな深紅の絨毯が敷かれている。細長く伸びた絨毯の両側に、向かいあうようにして六人の男女が立っている。
 王子と王女達だろう。
 王の隣に、ひとまわり小さな椅子に座っている女性が、たぶん、王妃だ。微笑んでいるが、眼は笑っていない。

「アレク様を、お連れしました」
 宰相が、膝をつき、頭をさげた。俺達も、それにならってひざまずいた。
 国王は小さくうなずくと、俺の方を向いた。鋭い眼だった。食い入るように、俺の顔を見ている。
「アレク、身体の方は、もう大丈夫か? 目の前で倒れたときは、死んだかと思ったぞ!」
 俺は、驚いてアリア達を見た。アリアも、イリアもびっくりした顔で、首を左右に振っている。
「覚えていないのか? 無理もないか。暴漢に襲われたあと、腹を押さえて宰相の部屋に入ってきた。宰相と話をしていたわしの目の前で、そなたは倒れたのだ」
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