魔の鴉がやってくる。『雨宿りの女』

安田 景壹

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『雨宿りの女』5

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 十文字が一階を調べている間に、麻來鴉はまず能見の体に治癒の魔術を施した。エオとシゲルのルーンが刻まれた二つの指輪を両手の指に嵌め、呪文をかけて肉体の生命力を促進させるのだ。この術は結界のような役割も果たすため、邪気が魂の抜けた体に入り込む事もない。
 能見の体に毛布をかけると、麻來鴉は二階へ上がった。仏間のちょうど真上に当たる部屋のドアを開ける。
 能見晶子の私室だ。自分と同い年の少女の部屋に無断で入る事が少しだけ気になったが、麻來鴉は迷わず足を踏み入れた。
 カーペットの床は埃ひとつ立たなかった。勉強机はプリントもノートも綺麗に整頓され、余計な物は何一つない。白い洋服箪笥の上では古びたウサギとアニメのキャラクターのぬいぐるみが仲良く寄り添い、二人の間には写真立てがあった。
 能見晶子と、女性が写っている。二人とも親し気だ。女性のほうには会った事がないが、その顔には見覚えがあった。
「能見晶子の母親だ」
 十文字が部屋に入ってきた。
「能見里穂りほさん。お墓は青梅だ。ここからだと車で一時間はかかるな」


 十文字の手には霊園のパンフレットや、石材店との契約書類があった。
「ありがとう。十文字、車で来てる?」
「ちょっと先の駐車場に止めてある。急がないとな」
 麻來鴉はもう一度、能見親子の写真を見た。晶子はまだ幼い。中学生にもなっていないくらいだ。
幸せそうな二人。麻來鴉に見せた憎悪や怒りは微塵も感じられない。能見晶子は、本来こうやって笑うのか。
 写真に写っているのは二人だけ。おそらくは再婚前の写真で、元夫とは別れたあとだろう。
「元夫、失踪したって話だったけど」
「ああ。お前が潜っている間に、少し調べたよ」
 階段を下りながら、十文字が答える。


「どうやって?」
「俺にも伝手はある。昨今は古い新聞記事だって契約すればネットで閲覧出来るしな」
 そう言って、十文字はスマートフォンを振って見せる。
葦谷あしや行男ゆきお。元々は東京で旅行会社に勤めていたらしいんだが、里穂さん……旧姓は喜納きのう里穂さんと結婚してからすぐに、実家の不動産屋を継いだ。子どもも生まれて、しばらくは順調にやっていたんだが、晶子が六歳の時に、経営に失敗して不動産屋は倒産。両親もすでに亡く、行男はかなり追い詰められた」
 少し、というわりにはかなり詳細に、十文字は話し続ける。
「里穂さんが晶子を連れて逃げたのは、会社が倒産してから一ヶ月後の事だ。そのあと、行男も姿を消すが、数日後に交通事故の被害者として見つかった」
「交通事故?」
「ああ。里穂さんが亡くなったのも交通事故だ。偶然の一致かね?」
「いいえ」
 十文字が顔をしかめる。


「行男の交通事故の加害者は?」
「記事だと、警察が駆け付けた時にはすでに車を捨てて逃げていたらしい。その後はわからない」
「消されているかもね。呪いに関わってしまったのだから」
「呪いだと?」
 天使様にお願いした。悪霊と化した葦谷行男は、そう言っていた。行男が、あの天使様という怪物と関わったのは、精神的に追い詰められていた倒産から妻子が逃走するまでの一か月間のどこかで間違いないだろう。
「葦谷行男はどん詰まりになった己の状況を打破するために、経緯はわからないけど天宿りの怪物と契約した。代償は、娘の命。けど、実際にはまず自分の命が奪われてしまった」
「怪物は、どうして行男の命を奪ったんだ? 普通、悪魔や鬼はどんな内容であれ、自分と人間が交わした契約を守るよな。代償も、取り決め通りにしたがるだろう?」
「約束を交わさせる。約束を守り、守らせる事は、悪魔や鬼たちの力を強めるからね。人間は、自分が力を借りてしまった魔物たちを恐れ、約束を守ろうとしたり、あるいは逃げるために反故にしようしたりとする。そういった恐怖の感情が、悪魔や鬼の力になる」
 でも、と麻來鴉は続ける。


「でも、天宿りの怪物は違う。彼らは人間よりもはるか上の階層に住んでいて、そこで独自の社会やルールを設けて暮らしている。妖精や、鬼や、悪魔よりも人間に近くなく、人間よりも上位の存在である自負を持ってこちらに干渉してくる。だから彼らは人間との約束を守らない。人間が昆虫と約束しないように、彼らも人間と約束しない。彼らは強力で、正体が知れず、悪意のままに人間に接触する。楽しんでいるんだよ、自分の力で人間を壊すのを」
「楽しむ? お前の言う通りなら、連中は人間よりも上の存在だっていうんだろ。そんな奴らが下等な連中を痛めつけて何が楽しいっていうんだ」
「言ったでしょ。虫みたいなものなんだよ。ミミズを結んでみたり、トカゲの頭をもいだりするのと一緒。上位の存在は、下等なものどもを壊す事が根本的に楽しくてしかたないんだ」
 記憶の中で天使が嗤っている。
「じゃあ、何だ。天宿りの怪物、天使様はあくまでも遊んでいるだけだっていうのか? 壊れかけた家族で?」
「蟻の巣穴に水流し込んだ事ない?」
「するか、そんな事」
「よかった。わたしもないよ」
 敵は高い次元からこちらを見下ろす存在だ。憑依した者の精神を操り、異界を造り出し、こちらの攻撃を物ともしない。


 考え方の転換が必要だった。いつも通り、魔術による攻撃で殲滅するのではない。あれを一個の呪霊として捉え、祓わなければならない。
「十文字、天使を祓う方法を知っている?」
「おいおい。急に何だ」
「……いや。やっぱり駄目だな。相手は本物の天使じゃないし」
「一体何を言っているんだ?」
「いや……わたしさあ、モンスターみたいなのを倒すのは得意なんだけど、怨霊だの悪霊だのを祓うのは苦手なんだよねえ……ましてや相手は天使でしょ? 自称だけど」
「今さらそんな事を言うのか!? 何も打つ手がないのか?」
「うーん……考えてるんだけどねえ。相手の本質が見えてこないんだよ。雨、水に関連する属性で、水を媒介にして人間に憑りつく。姿形は歪な天使。名前はない。名前がないって事は、何者でもないって事だ。いくらそれらしい姿をしていても本物の天使じゃない。本物ではない以上、仮に天使を祓う術があったとしても、効果はない」


 ロジックの問題だ。まるで虫のような外見を持つウイルスがいたとして、それは虫ではないから殺虫剤で打ち倒す事は出来ない。ウイルスを倒すには、そのウイルスに効く医療薬が必要なのだ。
 まして、今回の敵には明確な名前がない。〝天宿りの怪物〟や〝天使様〟は固有名詞ではなく、アレを呼ぶために便宜上呼称している呼び名に過ぎない。
名前は、その物の本質を決定づける。これはいわゆるしゅの考え方だ。石は石と名付けられているからこそ、石として存在する。アレは存在するくせにその名がない。名がないモノはこの世に存在し得ないというのに、だ。これはつまり、アレがこの世の理からさえ外れた規格外の存在であるか、やはり名前は存在していて、それを麻來鴉が知らないだけか。


「せめて葦谷行男が最初にどうやってあれと接触したかがわかればなー」
「そんなもの、決まっているじゃないか」
 十文字が言った。顔はこちらではなく、ガラス戸の外に向けられている。
 庭に降りるためのガラス戸には、すでにいくつもの水滴がついていた。
「雨か」
「娘の晶子が雨に降られた時に憑りつかれたんだ。父親の時の事象をなぞったと考えるのが自然じゃないか?」
「確かに、ね」
 雨は勢いを増している。急にひどい降り方だ。庭の土が跳ねてガラス戸に茶色い斑点がついた。
 泥は次々とガラス戸に跳ねる。――ピタ。ピタ。ピタ。次第に、斑点の数が増えていく。まるで、雨のように、泥が、空から――


「っ!?」
「おい、泥が空から降ってきてないか!?」
 十文字に答えるより先に、麻來鴉はガラス戸を開けて庭へと飛び出した。
 空の色は火炎のようにおどろおどろしい赤に染まっていた。地の底で蠢くマグマのように燃え滾る空。そこに、見覚えのある刻印があった。魄気を地の底に戻す、麻來鴉の魔術の証が。
イアーのルーン……なんで」
 夕日の燃える空に、哄笑が響き渡った。
 空に、顔が浮かんでいた。巨大な顔が。波打った白髪。灰色の肌。象形文字のような左目と、右側の三つの目が麻來鴉を嘲笑ってる。
「お前は……」
 何故、ここに。幻術? いや、それとは感触が違う。逃げ切れていなかった。いや、だとしても術が大き過ぎる……。
 初めから? 異界に潜った時ではなく、もしや、この家に足を踏み入れた時から――
 巨大な顔の、天使の唇が不気味に動いた。


「は サイ 師 ロ」
 破砕しろ――
 この言葉は。
「おい、麻來鴉!」
 家の中から十文字の怒鳴り声がした。
 異様な気配に麻來鴉が振り返ると同時に、とてつもない家鳴りがした。能見邸は歪んでいた。まるで絞り途中の雑巾のように、屋根も柱もへし折られている。十文字が必死の形相で何かを叫んでいるが、家鳴りが激しすぎて聞こえない。
 この異様な光景を前に、麻來鴉の頭はひどく冷静だった。
「十文字!」
 叫び、麻來鴉は家の中に飛び込む。
 夕焼け空で、天使が哄笑を上げている。
 その直後、何かが爆発でもしたかのような重厚な破砕音が異様な赤色の空に響き渡った。




 ――灰色の部屋にいる。
 能見家のリビングだ。雨に濡れた能見晶子が怒りに震えている。能見惣一が顔を強張らせて何かを言う。声は聞こえない。
 晶子の激情が爆発する。まるでサイレント映画だ。能見惣一の手が瞬発的に動いて、晶子の頬を叩く。驚きと痛みとで、晶子の動きに空白が出来るが、それも一瞬の事だ。晶子の右フックが惣一の顎を強打した。
 ――なるほど。なかなかどうして、いい一撃だ。
 麻來鴉は光闇分かたれた過去の情景の影で一連の流れを眺めていた。
「人間は――」
 隣に、誰か立っていた。十文字ではない。魂を抜かれた能見惣一でもない。
「人間は繰り返す生き物」
 頬のこけた、生気のない女性。


「能見……里穂さん」
 仏間の水たまりから繋がっていた異界の浜辺で出会った時と同じ。彼女の肉体はすでに滅び、ここにいるのは擦り切れた魂だけだ。
 麻來鴉は自身もまた、曖昧な状態である事に気が付いた。この空間で自己を認識する麻來鴉が、まだ肉体を保ったままだという保証はない。ここはモノクロの白昼夢の中で、思考する麻來鴉でさえ、夢の一部かもしれないのだ。
「人間は繰り返す」
 能見里穂は言った。
「繰り返してしまう」
「何を?」
 麻來鴉は夢幻の中に踏み入った。
「悪い事を、全部」
 能見里穂の手に、木製の十字架が握られている。


「前夫は、いい人でした。一生懸命な人でした。私たちを幸せにしようとしてくれました。私たちを幸せにしようと頑張ってくれました」
 麻來鴉は辛抱強く待った。このモノクロフィルムの世界では、麻來鴉の自由などない。
「でも、最後に悪い事をしました」
 ぽつり、と。
 天井から水滴が落ちた。
「あの人は、アレを呼びました。たくさん雨が降った、あの夜に」
 ざあっと、地面に雨粒がぶつかるのが聞こえる。

      ………

 次の瞬間、麻來鴉が立っていたのは、能見宅の居間ではなかった。もっと古くて、狭い家だ。相変わらずモノクロの世界。洋服箪笥、その上にはプラスチックの大きな箱があり、その中にも服が仕舞ってある。かと思えば、子供服は床に脱ぎ散らかされたままだ。何かの書類や、請求書らしい封筒、土地や財産に関する書籍が部屋の隅にぶちまけられている。
 奥に部屋が見えた。中にベッドがある。誰かが眠っている。顔が見える。小さな、女の子。
 ――能見晶子。幼い頃の。
 では、ここはおそらく――……


 そこで麻來鴉は、木の板の床に描かれた。不可解な模様に気が付いた。
 円の中に、X状に交差する二本の線。区分けられた四つの領域にヘブライ語の単語が一語ずつ。これは天使を呼ぶための魔法陣だ。
 ワルツを踊る男女の人形が、棚の上で回り続けている。
 そして、レインコートを着た男が、魔法陣の前で何かをぶつぶつと唱えている。
 能見里穂は、床にへたり込んで、呆然とその光景を見ている。
「イイイイイイイ・アアアアアアア・ウウウウウウウウ・エエエエエエ」
 まるで意味を為さない呻き声のようだが、これは呪文だ。魔法陣に描かれているのは四方に対応した黄、赤、青、緑の単語。かつて《黄金の夜明け団》と呼ばれた魔術集団が開発した儀式だ。
「ありがとうございます……ありがとうございます……天使様……天使様のおかげです」
 男の声が聞こえた。人間だった頃の葦谷行男の声が。


「天使様のおかげです。天使様のおかげでお金が元に戻りました。これで会社が生き返ります。これで家族三人暮らしていけます……」
 雨音が強くなる。外から……ではない。中だ。魔法陣に雨が降り注いでいる。雨粒の一つ一つが繋がり、ぼやけた人型となり、やがて翼が生えて鮮明になる。
奇妙な笑みを浮かべた天使が、そこに立っていた。
 偶然出会ったのではない。
行男は自ら天使を呼び出していたのだ。
「お礼を差し上げます。お礼を差し上げます……」
 フードを脱いだ行男が恍惚とした表情で天使の足元に跪く。
「オレ居ヲ差しアゲマス……尾レイを叉し挙ゲまス……」


 天使が面白可笑しそうに行男の言葉を繰り返す。
「何、お礼って……ねえ、どういう事?」
 口を開いたのは、里穂だ。里穂の顔面は蒼白だった。
「お礼だよ。天使様に奇跡を起こしてもらったんだ。ちゃんとお礼をしないと罰が当たるだろ」
 至極当然の事のように、行男が答える。
「尾レイはナン出須か? 俺イ葉ナんデ須可?」
 行男は陶然と天使の顔を見た。
「天使様が望まれるものを、何でも――」
 途端に、溶けた灰が固まったような天使の指が、ある一点を指差した。
 指の先で、小さな娘が眠っている。


「やめて!」
 悲痛な叫びが聞こえたその時には、すでに行男が寝室へ向かっていた。
「やめてよ! ねえ、お願い! わたしたちの子どもでしょ!?」
 行男の顔は笑っていた。
「里穂、あの子は天使様の元で暮らすんだ。大丈夫、ずっと一緒だよ」
「行男さん!」
 里穂の制止を振り切って、行男は眠っている晶子の体を抱え上げる。
 麻來鴉には何も出来ない。これは過去の再生。録画を見ているようなものだ。すでに結末は決まっている。
 ただ、生身でもないのにひりつく緊張感が、身動ぎひとつ許さない。
「……おとうさん?」


 行男の腕の中で、晶子が目を覚ました。
「晶子、お前は幸せだ。天使様に選ばれたんだ」
異様なものを感じる。目の前の光景に、ではない。この過去の再生でしかない空間内に生じている気配。霊能の者が持つ特有の予感が働いている。
 何か、何かがおかしい――
「てんしさま……?」
「そうだ。お前はこれから、天使様にお仕えするんだ。天使様がうちを守ってくれる。そして晶子は、その天使様に仕える。ずっと一緒だ。お父さんとお母さんと晶子は、ずっと一緒なんだ」
 戸棚のガラス戸が不意に軋んだ。気が付くと、里穂の姿が見えない。
 行男は、天使に向かって抱きかかえた晶子を差し出す。
「いや。やだよ……おかあさん!」


 晶子は母親に助けを求めるが、灰色の手がすでにその体へと伸びている。
「あああああっ!」
 突然、雄叫びを上げて、里穂が行男の背中に体当たりする。晶子の小さな体が床に投げ出された。呻き声が聞こえる。行男の背中に刺さった包丁が見える。
「晶子!」
 額や膝を打って泣き叫ぶ晶子を抱きかかえ、里穂は玄関へ向かって駆け出し、次の瞬間、何かとてつもなく強い力で吹っ飛ばされた。
 天使は、笑って見ているだけだ。


「里穂ぉお……」
 自分の血で真っ赤に汚れた行男の手が、里穂に、その腕の中の晶子に向かって伸ばされる。
「渡せ……天使様に、晶子を……」
「緒れ衣ハなん出巣カ? オ玲は何デ栖カ?」
 異様な力の高まりを感じる。過去の光景の中にいるというのに、まるでその場所に実際に立っているかのような緊張――
 誰だ。これは。一体誰が……
「――や、めて」
 小さな口が動いた。


「オ令歯奈んデ素伽? 折いハ――」
「やめて!」
 晶子の口がそう叫んだ瞬間、それまで沈黙していたコンロが点火され、たちまち炎の渦となって天使へ襲いかかる!
「天使様ぁっ!」
 天使を飲み込んだ炎は、あっという間に床に、壁に燃え広がる。行男が喚き散らしながら炎の中に飛び込む。その後ろで、何とか立ち上がった里穂が、晶子を連れて玄関へと急ぐ。
 炎が、全てを埋め尽くしていく。三人の家族が暮らしていた小さな家の、全てを。
 ――聞こえる。雨音が。
 天使の嗤い声が。

「――――あれは、欲しいな」

      ………
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