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第三話 蘇我瑞葉のプロローグ

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 フリープレイも何戦かやればさすがに疲れる。気付けば、時刻は十五時前になっていた。

「お腹空いたな……」

 蘇我さんがぼそりと言った。そういえば、今日はまだお昼を食べていない。

「本千葉さん、ご飯食べに行かない?」
「うん。いいよ」
「というわけで、ご飯食べるのでいったん抜けます! 帰ってくるかはわからん!」
「おー。お疲れー」
「今日はありがとう。またね、本千葉さん」
「今度はシールド(買ったパックから出たカードでデッキを組んで対戦する遊び方)でもやろう」

 カード屋で出会った三人の男性がそれぞれ言葉をかけてくれる。初めて会って対戦した人たちだというのに、何だか温かい。

「ありがとうございます。また」

 一礼して、わたしは蘇我さんに続いてエレベーターへと向かった。

「初カード屋、どうだった?」

 エレベーターの中で、蘇我さんがわたしに言った。

「……結構良かった。初めての人でもフレンドリーだったし」
「メヒコたちねー。まあ昔はともかく、今はカードゲーム全盛期だし、フレンドリーな人多くなったよ。あの三人はかなりフレンドリーな部類だけど」
「蘇我さんは、何でメヒコさんたちと知り合ったの?」
「んー。大学に通い始めた時にさ、家から近くて定期圏内で彼方ノ国を扱ってる店がここだったのよ。で、大会出たらあの三人組の面子と三連続で当たってさ。その時の大会二十人くらい参加者いたのに、そんな事ある?って感じだったけど、ま、そっからの縁よ。カード屋面子との出会いなんてそんなもん」
「そうなんだ。ところで、蘇我さんってどこ住んでるの?」
「新子安」

 一階に到着。エレベーターのドアが開いた。

「さて。何食べる?」
「あんまり川崎詳しくなくて……。どういう店があるの?」
「カレー、ラーメン、一人焼肉、居酒屋、焼きそば」
「濃いな」

 今、十五時過ぎだ。今から食べたら、夕飯いらないな。

「……じゃあ焼きそばでどう? 噂の」
「いいよ。大食いチャレンジはやらないけどね」

 蘇我さんは男の子のような笑みで言った。
 焼きそば屋はカード屋から少し歩いた位置にあった。カウンター席だけの粋な造りの店に入り、中盛りのソース焼きそばを注文する。

「はい。中盛りお待ちどう」
「ありがとうございます。いただきます」

 食べる。美味しい! ソースの香りが最高だ。トッピングの天かすも嬉しい。

「美味しい……」

 箸の勢いが止まらない。思わずむせる。

「はは。水飲みな。うまいよね、ここ」
「うん。美味しい」

 思えば、ソース焼きそばを食べるの久しぶりな気がする。縁日にはこの一年行っていないし、カップ麺は太るから避けているし。
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