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第二話 シャッフル・カット・ドロー。シールドセット、そして挨拶。

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「ライフは十一。ターンエンド」

 蘇我さんが宣言する。
 わたしのターンだ。

「アップ、プレパレーション、ドロー」

 フェニックスは墓地にいる。何とか場に戻さないと。そのためにはスペルを同じターン中に計四つ唱える必要がある。
 引いたのは【女神の選択】。

 ここは慎重になる必要がある。というのも、今わたしの場にあるオドは四つ。このデッキはオド連携ができないので、このターンに追加で置けるオドは一つ。

 フェニックスを返すために必要なスペルは四つ。コストが1のスペル・カードをあと三枚引くか、あるいはコスト1が二枚、コスト2を一枚引ければ、この【女神の選択】と合わせて四つのスペル詠唱を達成できる。

 いくらゲームが苦手なわたしでも、分の悪い賭けだというのはわかる。引いたカードが噛み合わなければ達成は不可能だ。仮に全てスペル・カードを引いたとしても、コスト2のカードを二枚引いてしまったら、このターン中に四つのスペルを唱える事はできない。

 幸い、ライフはまだある。手札にはオドとクリーチャーがあるから、一ターン耐えられれば次のターンに使えるオドは六枚になる。コスト2のスペルを二枚引いても唱え切れる。

ここは……

「水オド、セット。フル使用。【凍れる炎のワイバーン】」

 わたしはクリーチャーを出した。

【凍れる炎のワイバーン】 水水水炎炎/ワイバーン
パワー・4/ストレングス・5/シールド・5
F(フライング)(このカードはF(フライング)を持たないクリーチャーにはブロックされない)
 スペル連携:凍れる炎のワイバーンが攻撃するたび、あなたの手札からコスト3以下のスペルを一枚、コストを支払わずに唱えてもよい。

 このクリーチャーも強い。最低でも、一ターン攻撃を凌いでくれる。

「ターン終了」

 わたしは宣言する。
 蘇我さんがターンに入る。

「オド連携。炎、鋼」

 手札から二枚のオドが出された。これで蘇我さんの場には連携したオドの組み合わせが三つできた。ほかに、闇オドが一つ。歯車トークンが二つ。

「闇二つ、鋼三つ、炎一つ。【鉄鋼てっこう大蛇おろち】」

【鉄鋼大蛇】 闇闇鋼鋼鋼①/機械・蛇
 パワー・6/ストレングス・6/シールド・10
 鉄鋼大蛇が場に出た時、Fを持たない全てのクリーチャーに一点のダメージを与える。
 鉄鋼大蛇はFを持つクリーチャーをブロックしてもよい。

 壁役だ。これで蘇我さんは少なくとも一回はF持ちクリーチャーの攻撃を防ぐ事ができる。

「これでターンエンド」

 わたしは頷き、自分のターンに入る。

「アップ、プレパレーション――」
「本千葉さん。プレパレーション中にスペルを撃ちたいんだけど、いい?」

 蘇我さんが手を挙げて言った。

「あ、うん。大丈夫」
「ありがとう。それじゃ、炎――」

 蘇我さんの手札からカードが出る。

「【死の賭けデッドプール】」

 えらく物騒な名前のカードを、蘇我さんは宣言した。
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