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第二話 シャッフル・カット・ドロー。シールドセット、そして挨拶。

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【邪悪な火焔狼】 闇炎鋼/狼・機械・エレメンタル
 パワー・4/ストレングス・2/シールド・2
  Aアクセル(このカードは場に出たターンに攻撃に参加したり、能力を使用したりできる)
  Btブレイクスルー(このカードは二体以上のクリーチャーでなければブロックされない)
 邪悪な火焔狼が死亡した時、あなたのライブラリーから炎オド・カードを手札に加えてもよい。

 わたしのライフは三十七。たった三点。かすり傷だ。シールドだって、まだ二枚ある。問題は、クリーチャーの差だ。わたしの場には【幻の卵】しかないが、蘇我さんの場には二体のクリーチャーがいる。

「ターン終了」

 蘇我さんが言った。

「わたしのターン」

 アップ(横向きになった自分のカードを起こすフェイズ)、プレパレーション(ドロー前のフェイズ。ここで効果を発揮するカードが多くある。何もなければ何もしないフェイズ)を経て、ドロー。

 炎オドのカードを引いた。
 手札は七枚に戻った。手札には追加ドローできるカードがあるが、場には使用できるオドが少ない。ルールで、手札が八枚の場合はターン終了時に一枚捨てなければいけない。わたしのデッキは、オド連携ができないカラーの組み合わせだ。そのぶんほかのメリットが存在するが、今はまだ動けない。

「【炎と水の宝球】、セット。ターン終了」

【炎と水の宝球】は特殊なオド・カードだ。一枚で炎オドか水オドのいずれか一点を加える事ができる。
 蘇我さんが少し思案気な顔をした。

「あたしのターン」

 アップをして、そのままドロー。

「闇オド。マッシブスペル【思考をもぐ手】」

【思考をもぐ手】 闇
 マッシブ/シールド・2
 対戦相手一人を対象とし、その手札を見る。あなたはその中からオド・カード以外を一枚選び捨てる。あなたは四点のライフを失う。

 手札破壊カード。相手の手札を見て、捨てさせる。それ一枚で強力な戦術のカードだ。何せ、相手の手札を見れば相手の状況が知れるし、さらにそこから手札を捨てさせる事で、相手の戦略を混乱させられる。

「どう?」
「対応します。水、炎」

 わたしは二枚のオドを横向きにする。

「クイックスペル、【忘却】」

【忘却】 ①水(①は無オド一点を表し、どのカラーのオドでも支払える)
 クイック/シールド・1
 クリーチャー魔術でない魔術一つを対象とし、それを打ち消す。

 蘇我さんがプレイした【思考をもぐ手】はマッシブスキルと呼ばれ、自分のターンにしか使用できない。対して、わたしがプレイした【忘却】はクイックスペルと呼ばれ、相手、自分のターンを選ばず使用できる。

「オーケー」

 蘇我さんが頷く。【思考をもぐ手】が打ち消され、カードが墓地ゾーンに置かれた。

「スペルを唱えたので【幻の卵】からカウンターを一個取り除きます」
「オッケー」

 蘇我さんが指で丸を作った。今のところ、変なプレイはしていないようだ。わたしは少し安心しながら、【幻の卵】の上に置かれた封印カウンター代わりの六面ダイスを四から三の面を上にして置き直す。

「闇オド、セット。クイックスペル、【血によって贖われよ】」
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