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私が転生ヒロインですか?
しおりを挟む「っうわぁ!!」
ベットの上で目を覚ましたアリスは困惑した。背中は汗で湿り 冷や汗が止まらないし 動悸が半端じゃない。でも...
私、生きてる?
さっきまで自分は確かにイザベラ様に刺されて
バッドエンド間違えなかったからあの後、確実に死んだはず...
けど刺された部分に手を当てても痛くもなんともない。
一体どうなってるっていうの? ヒロインは死にませんみたいな補正機能発動しちゃったのかな
「お嬢様?お部屋から大きな声が聞こえてきたのですが、大丈夫でしょうか?」
少し慌てた様子で部屋に入ってきたのは
侍女のアンナ。 ...にしては 若いな?
私より一回りは年上だったんだけど 今は私と同じくらいの年齢に見える
「大丈夫 ...だけど、アンナってば若返った?」
「っ!お嬢様が私のこと呼び捨てにっ?」
「えええアンナどうして泣いてるのよ!」
若返った?と聞いただけなのに、そんなにシワ伸ばしでも頑張ったんだろうか それともデリカシーなかったか? ポロポロ涙を流し始めてしまった。
でも、アンナが私のことお嬢様って呼ぶのなんて本当に久しぶり
私は八歳でグロリア男爵家に引き取られてから
お嬢様呼びされていたけど一五歳の時、学園入学を機に私は使用人に対する敬語を、アンナはお嬢様呼びをやめたんだった。
「だってっ お嬢様がこの家に来て一年になりますが、やっと、やっと.... 」
「アンナ今なんて言った?」
「..お嬢様がこの家に来て一年?ですか?」
信じられない話だけどアンナが嘘を言っているはずはないので、私の中に一つの仮説が浮かんだ。
まぁ乙女ゲームに転生してるってだけで私の常識は壊されてるわけなんだけど...
「アンナ?手鏡ってある?」
「はい。こちらに」
恐る恐る手鏡を覗き込むとそこには
少し痩せ気味の少女が映っていた。
...男爵家に来たばかりの頃だと思われる私だった。
金色の髪は肩まで伸びており切りそろえられてはいないが艶はある。緑色の目はアーモンド型の可愛らしいものだった。あれだヒロイン万歳ってやつだ
元からの顔が普通より上くらいの良いラインをさまよっている。
「ごめんなさいアンナ 少し一人にしてもらってもいい?」
「それはもちろん構いませんが 体調が悪いなどではないですか?」
「少し考えたいことがあるの 明日の朝まで ごめんね?」
そう伝えると少し安心したようにアンナは部屋から出ていった。
■□■
姿見で自分の姿を何度も確認するけど 夢でも何でもなかった。
「....私が転生ヒロインねぇ....」
今の所わかっているのは
私は転生したことを思い出して死んだが もう一度 アリスとして時が戻っているということだけ
けどこれも一応可能性 本当のことは分からない
乙女ゲームだからコンティニューってこと?
情報整理するために昔の記憶を頼りに自分の机からノートを取り出し 書き始めた
私は日本では佐藤有咲だった。
大学三年の春休みに車にひかれたんだっけ
あ、そうだア○メイトの帰りだったんだ、
道路の真ん中であの数々をばらまいてしまったと思うと恥ずかしすぎてお嫁に行けないわ
まぁ享年二一歳で私は死んだのだ。
日本のお母さん。私がずっとお母さんに怒られても夜通しやってた乙女ゲームの世界に転生しちゃった。私は元気だよたぶん。刺されたけど。
アリスについて分かっていることは流石に一八年 アリスをやっていただけあって思い出せる限りは分かる
アリスはこの乙女ゲームのヒロインだ。
タイトルは〝TRUE LOVE~マクシミラ恋愛学園~〟
今見返すとタイトル恥ずかしい
内容はごく簡単 珍しい光属性の魔法が使えるヒロインがマクシミラ学園に入学し
問題を抱えた攻略対象達を癒して悪役令嬢断罪してハッピーエンドって感じのゲームだ。
追加でアリスの魔力は巨大で ただのチートって所もある。
ゲームの内容自体は面白くもつまらなくもなかったけど このゲームはなにより絵が非常に良かった
攻略対象の フィン第二王子殿下は確認したとして、他に誰がいたかはいまいち思い出せないな
〝TRUE LOVE~マクシミラ恋愛学園~〟 のエンドは三つルートがある
一つはもちろんハッピーエンド。
ハッピーエンドはヒロインと攻略対象が悪役令嬢という壁を越えて幸せになり 悪役令嬢は断罪され それぞれの攻略対象によって刑は変わるけど大体は平民街に降りろ系だったと思う。
二つ目のバッドエンドはヒロインが悪役令嬢またはその手先によって殺され、悪役令嬢もそのあとを追うように処刑されるものだ。
私が経験したのはバッドエンドルートね..
ていうかバッドエンドに向かうってなかなかの低確率だった気がするのになんで当たっちゃうかな
普通にイザベラ様怖かったわ
三つ目は逆ハーエンド ヒロインが攻略対象全員を侍らせて終わるという微妙なエンドだ。
次は...自分のことを思い出していこうかな
アリスは八歳の時 一人でこの男爵家に引き取られた。その時気がついたのだが私は庶子という事。
母の顔は見たことがなくずっと孤児院で暮らしてきたんだけど 男爵が気まぐれで手をつけて生まれた子が私らしい。
母や私に責任を感じて金銭的援助をしようと探してくれていて ようやくといったところで私はこの男爵家に引き取られた。
普通 旦那の浮気の証の私なんて夫人とその子供は許さないって思ってたけど
夫人と娘の器の大きさは半端じゃなかった。
曰く私の母に迫った男爵は私がお腹にいることを知っていたのに 責任をとらなかったので
その件に関しては許さないと。
だけどそのせいで出来た私に罪は何もないし 男爵家の施しを受ける権利があると
泣けるよね、さすがヒロイン
設定が完璧すぎるよ
でも私は環境の変化についていけなくて、結局学園に入学するまで
男爵家の使用人にも、さん付けして敬語で話して 夫人や男爵、義理妹にも距離を保って生活していた。学園に行くにあたって侍女にまで敬語だとまずいってことで無理矢理直した。
その学園でフィン様と出会って惹かれて 自分にダメだと言い聞かせたところでイザベラ様のあの事件が起きて私は殺された、と。
一連の流れを辿ると私の人生壮絶ね
それにしても今はこれからどうするか考えなきゃいけないんだ
生憎 記憶が戻った私にとって攻略対象達はフィン様含めてビジュアルのおかげ様で
観察対象に早変わりだし
なにより私 イザベラ様の外見一番好みだったわ イザベラ様ならフィン様と並んでも遜色ないんだよね...
...ヒロインの仕事放棄してもいいかな?いいよね?ぐるぐる頭を回らせるがパンクしそうだ。
やっぱり無理!!一人じゃ考えられん!
「アンナー!!!」
「はいっ!!お嬢様っ!」
早いなアンナ 今日から電光石火のアンナって心の中で呼ぶかもしれないぞ。
「私が今から言うのは作り話ですがアンナはしっかり主人公に感情移入して答えてね」
「よく分かりませんが、承知しました!」
とりあえず今まで私に起こった架空のお話に意見してもらうことにした
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