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㊾泣いちゃった

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「それは、そうだな。彼女たちには時には私でも太刀打ち出来ないのだからね」

ぎゃぁァァ、必至に叫び声を口にしなかった自分を褒めたい。
目の端に涙が溢れてしまうわ

「早くその手を離して貰おうか」

衛兵が姿を見せれば、身を震わせ身体の力が無くなって床に跪く2人を衛兵が背後から腕を持ち上げて起き上がらせる

「に、いさまが何故!?」
私は私で貧血気味です。こちらに来るなんて予定、聞いていません!

「あちらに居たら面倒が多いからな」
あ、と察した。社交シーズンは多くの貴族が夜会を開いて人との縁を繋ぐ大事な季節である

この時期なら王城勤め以外の貴族、何時も地方を治めて中々、顔出し出来ない貴族が多く王都へ来ている。

嫁いで家族や友人に会えなかった夫人方は勿論、子の婚約者探しにも打ってつけだ

この時期だけアパートメントを借りる貴族も会いたい貴族には先に手紙を出しておけば済む。
貴族の身の安全と警備上の兼ね合いで王城に居場所を報告義務がある為に王城へ提出しているのでそちら経由での問い合わせも可能だ。


そして義兄である。
学生の身で未だ後見人が居るとは言え既に侯爵。

エルグラムの資産は今をときめくガラスペン風ボールペンやシャンプーで鰻登り、最初に考案したクッション入り馬車の特許もある。

しかも、第二王子の側近で気性は穏やか(に見える)顔良し、頭良し、性格良しに関わらず未だに婚約者は未定…狙われまくりましたのね、向こうで。


今まで侯爵になって引き継ぎの手続きも大量、周りから子どもがどれだけの事が出来るのか、侯爵家を潰すのでは無いかと静観してた家も有り、伯爵令嬢か子爵令嬢、駄目元で男爵令嬢からのお見合いの釣書が来ているのは本館の執事、ジェームスから聞いては居たけれど既に2年、家も落ちついて侯爵と言う立場に相応しい人材なのがバレてしまったのね


「メイリン、直ぐにレンの腕を冷やせ。アンナ、医師を呼べ」

貴族令嬢の柔腕では直ぐに指の痕が付く。例に漏れず私の腕もしっかり指痕が鬱血していた?

義兄出現で動揺して居たら周りも大騒ぎになり、あれよあれよと言う間に義兄の手に寄って館へ移動し、部屋で氷水の用意もされる
「おっお医者様を呼ぶ程ではございませんわ義兄様!冷やせば大丈夫ですわ」

実は義兄はクールな見た目から想像つかないほど家族の大事には敏感で。やはり義母様や義父様が亡くなってしまったから、よね


心配気に覗き込む義兄に大丈夫と微笑んでみたものの内心冷や汗が湧き出た。

事が落ち着いたらそれはそれで不味い。伊達に何年間も義妹をやっていませんもの

あっ、また涙が。
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