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ニ章
第四十八話 三矢の訓え
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不透明な男は正気を失うように剣を振り上げ
まるで未来を見えているかのようにヨツンヴァインの抵抗を避ける。
「があああああああああアアアアアアアアアアアアあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
鼓膜をつんざく叫び声も、アガレズには雑音と化し、届くことはない
どこまで抵抗しても、どこまで暴れても、アガレズはよだれを垂らし、噛みつくように食らいつく。そして、ぶちぶちと抜いた触手剣をさしまくる
「す…すげぇ…っ」
「アガレズ族は元々戦闘能力が高いんだろ…としても、あの少量でここまで…」
態勢がめちゃくちゃになった今、バギーを走らせる必要はない、燃料の無駄だ。
現在キノコ族3人は攻撃範囲外で狂気的で一方的な戦いをただただ傍観している
「…カイム、あの注射器…なんなんだ?」
「ーーあいつがいってただろ、ヨツンヴァインを元にした力を得られる薬だ。本当は一定時間ヨツンヴァイン化するはずなんだが…ならないのは、打ち込んだ量が少量だからか…」
「よくわかんねぇな…それよりも、このあと!
どうすんだよ!」
「あー…」
そう。ヨツンヴァインを殺すことは目的ではない。"ヨツンヴァインを瀕死にさせなんらかの方法でキノコ村へ連れてゆきアデルにぶつける"
が目的だ
この"なんらかの方法"は何一つ計画していない。
ここでアガレズがヨツンヴァインに勝っても、
なんの解決にもならない
「………そのときに、考えるしかないか…」
「……ああ…今は…」
今は巨人と狂人の戦いにただただ熱中していた。
もはやアデルの事など忘れるかの様に
いままで見たことのない巨体が体を振り回し、いままで見たことのない速度でそれを避ける
異次元で、新鮮で、恐ろしかった。
「ウゴあああああああああああああああああああああああ」
怒りが頂点に達したのか、ヨツンヴァインは地面に体を擦り付けアガレズを振り切ろうとする
だがしかし、アガレズはどれだけ地面にこすられようとも、体が大岩に激突しても、巨人からは離れない。そのまま剣を突き刺し続け、ダメージを少しづつ与えていく
「おいあいつ死ぬぞ!…………あいつ、自分の村の平和が何だとかって言ってたよな…」
「だからヨツンヴァインにあんなに執着してるってこと?」
「多分、芯が強いんだ、命を使ってでも…
!!」
そのとき、ハル達に視線が送られてきた
まるで、何かを信じるような
視線の送り主はアガレズだ。体から血を流し、それでも懸命に食らいついている
「…………わかった」
「なにが?」
「アガレズはいまヨツンヴァインの抵抗に耐えて殆ど動けない、だから、その間に俺達がヨツンヴァインを瀕死にさせるんだ!!」
「ーーなるほどな…………いや、そんな事分かるか?」
「わかる…わかるんだよ、なんとなく!!」
そう言いながらカイムは暴れる巨人に向かって走る、それに続きハルたちも
「アガレズ!!!その汚い剣をくれぇ!!!」
「ギャオアス???ギィ、イアイアグググ…!!」
何もわからないが聞こえてはいるみたいだ
3本の触手を引き抜き剣と変貌させる
それを思い切り、ハル達の目の前にむかって投げた。
地面に突き刺さる剣はまるで、「託したぞ」とでも言っているように見えた
「……っし!!あと数分だぞ!!」
「キク!カイム!脚だ!足を狙おう!この状態のまま立ち上がれなくするんだ!」
「っしゃぁ!!急げ!!」
3人はヨツンヴァインの体へ登り右脚に向かって走る
そのとき、急に巨人が揺れだし、ハルたちは体制を保てなくなる
「おおおおお!?」
グラグラと足が震え、世界が回る
何をしようとしているのか察したヨツンヴァインは地団駄を踏み3人を振り落とそうとしたのだ
だがしかし、まだだ。このチャンスをまだ…終わらせてはならない
「進めぇえぇーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!」
この勝負で、アポロ族の平和が決まる。
この勝負で、アデルと決着をつける材料を作れる
この勝負は…運命の戦いだ。
「おおおおおああああああ!!!!!!しねぇええええええ!」
揺れる巨体にしがみつきながらも、右足のアキレス腱にあたる部分へざくりと剣を突き刺し、引き抜き、また突き刺す。
「ぎぃぃぃぃ!!!!」
硬い装甲とも言える皮膚に亀裂が入る。だがそれだけでは変わらない
「みんな!!手伝ってくれ!!」
「ああ!」
「早くしろ!」
緊迫した状況、ハルの叫びに一瞬で反応する。互いの考えが手に取るように分かる。阿吽の呼吸で3本の剣を先ほど入れた亀裂部分に思い切り突き刺した
「ぎぅぅぁぁっ!!」
「ぎゃははは!!!もっと悲鳴あげやがれゃァァ!!」
「おい!どっちが敵かわかんねーぞ!!せーーの!!」
…そう、カイム達は沢山の傷を付けるのではなく、一つの傷を集中狙いするやり方に変更したのだ。
ーー小さな傷はだめでも、一つの深い傷なら
「いっけぇええええええええええ!!!!」
「ギィあああああああああああああああああああアアあアあアあアあアあアあアあアあアあアあアあアあアあ有ああああああああああいああいああいああああ
どれだけ暴れても、後ろのアガレズが力任せに制御している。できるだけ3人が動きやすいように
3人が同時に剣を押し込む。ヨツンヴァインの神経に届くように、ヨツンヴァインの足が使えなくなるように
3本の剣が、ヨツンヴァインの体内へ届いてゆく、ゆっくり、ゆっくりと、ここまでの努力が、思いがーーー届いてゆく
「うおおおおおおおおおおお!!!!!!」
その瞬間。深く突き刺した剣の先からプチリと気色悪い音がする
ヨツンヴァインの脚から血が吹き出し、暴れる。
しかし右足には力が入らないのか殆ど暴れない
彼らの戦いは…3本の剣となり届いたのだ
「っしゃあああああああ!!!!」
まるで未来を見えているかのようにヨツンヴァインの抵抗を避ける。
「があああああああああアアアアアアアアアアアアあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
鼓膜をつんざく叫び声も、アガレズには雑音と化し、届くことはない
どこまで抵抗しても、どこまで暴れても、アガレズはよだれを垂らし、噛みつくように食らいつく。そして、ぶちぶちと抜いた触手剣をさしまくる
「す…すげぇ…っ」
「アガレズ族は元々戦闘能力が高いんだろ…としても、あの少量でここまで…」
態勢がめちゃくちゃになった今、バギーを走らせる必要はない、燃料の無駄だ。
現在キノコ族3人は攻撃範囲外で狂気的で一方的な戦いをただただ傍観している
「…カイム、あの注射器…なんなんだ?」
「ーーあいつがいってただろ、ヨツンヴァインを元にした力を得られる薬だ。本当は一定時間ヨツンヴァイン化するはずなんだが…ならないのは、打ち込んだ量が少量だからか…」
「よくわかんねぇな…それよりも、このあと!
どうすんだよ!」
「あー…」
そう。ヨツンヴァインを殺すことは目的ではない。"ヨツンヴァインを瀕死にさせなんらかの方法でキノコ村へ連れてゆきアデルにぶつける"
が目的だ
この"なんらかの方法"は何一つ計画していない。
ここでアガレズがヨツンヴァインに勝っても、
なんの解決にもならない
「………そのときに、考えるしかないか…」
「……ああ…今は…」
今は巨人と狂人の戦いにただただ熱中していた。
もはやアデルの事など忘れるかの様に
いままで見たことのない巨体が体を振り回し、いままで見たことのない速度でそれを避ける
異次元で、新鮮で、恐ろしかった。
「ウゴあああああああああああああああああああああああ」
怒りが頂点に達したのか、ヨツンヴァインは地面に体を擦り付けアガレズを振り切ろうとする
だがしかし、アガレズはどれだけ地面にこすられようとも、体が大岩に激突しても、巨人からは離れない。そのまま剣を突き刺し続け、ダメージを少しづつ与えていく
「おいあいつ死ぬぞ!…………あいつ、自分の村の平和が何だとかって言ってたよな…」
「だからヨツンヴァインにあんなに執着してるってこと?」
「多分、芯が強いんだ、命を使ってでも…
!!」
そのとき、ハル達に視線が送られてきた
まるで、何かを信じるような
視線の送り主はアガレズだ。体から血を流し、それでも懸命に食らいついている
「…………わかった」
「なにが?」
「アガレズはいまヨツンヴァインの抵抗に耐えて殆ど動けない、だから、その間に俺達がヨツンヴァインを瀕死にさせるんだ!!」
「ーーなるほどな…………いや、そんな事分かるか?」
「わかる…わかるんだよ、なんとなく!!」
そう言いながらカイムは暴れる巨人に向かって走る、それに続きハルたちも
「アガレズ!!!その汚い剣をくれぇ!!!」
「ギャオアス???ギィ、イアイアグググ…!!」
何もわからないが聞こえてはいるみたいだ
3本の触手を引き抜き剣と変貌させる
それを思い切り、ハル達の目の前にむかって投げた。
地面に突き刺さる剣はまるで、「託したぞ」とでも言っているように見えた
「……っし!!あと数分だぞ!!」
「キク!カイム!脚だ!足を狙おう!この状態のまま立ち上がれなくするんだ!」
「っしゃぁ!!急げ!!」
3人はヨツンヴァインの体へ登り右脚に向かって走る
そのとき、急に巨人が揺れだし、ハルたちは体制を保てなくなる
「おおおおお!?」
グラグラと足が震え、世界が回る
何をしようとしているのか察したヨツンヴァインは地団駄を踏み3人を振り落とそうとしたのだ
だがしかし、まだだ。このチャンスをまだ…終わらせてはならない
「進めぇえぇーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!」
この勝負で、アポロ族の平和が決まる。
この勝負で、アデルと決着をつける材料を作れる
この勝負は…運命の戦いだ。
「おおおおおああああああ!!!!!!しねぇええええええ!」
揺れる巨体にしがみつきながらも、右足のアキレス腱にあたる部分へざくりと剣を突き刺し、引き抜き、また突き刺す。
「ぎぃぃぃぃ!!!!」
硬い装甲とも言える皮膚に亀裂が入る。だがそれだけでは変わらない
「みんな!!手伝ってくれ!!」
「ああ!」
「早くしろ!」
緊迫した状況、ハルの叫びに一瞬で反応する。互いの考えが手に取るように分かる。阿吽の呼吸で3本の剣を先ほど入れた亀裂部分に思い切り突き刺した
「ぎぅぅぁぁっ!!」
「ぎゃははは!!!もっと悲鳴あげやがれゃァァ!!」
「おい!どっちが敵かわかんねーぞ!!せーーの!!」
…そう、カイム達は沢山の傷を付けるのではなく、一つの傷を集中狙いするやり方に変更したのだ。
ーー小さな傷はだめでも、一つの深い傷なら
「いっけぇええええええええええ!!!!」
「ギィあああああああああああああああああああアアあアあアあアあアあアあアあアあアあアあアあアあアあ有ああああああああああいああいああいああああ
どれだけ暴れても、後ろのアガレズが力任せに制御している。できるだけ3人が動きやすいように
3人が同時に剣を押し込む。ヨツンヴァインの神経に届くように、ヨツンヴァインの足が使えなくなるように
3本の剣が、ヨツンヴァインの体内へ届いてゆく、ゆっくり、ゆっくりと、ここまでの努力が、思いがーーー届いてゆく
「うおおおおおおおおおおお!!!!!!」
その瞬間。深く突き刺した剣の先からプチリと気色悪い音がする
ヨツンヴァインの脚から血が吹き出し、暴れる。
しかし右足には力が入らないのか殆ど暴れない
彼らの戦いは…3本の剣となり届いたのだ
「っしゃあああああああ!!!!」
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