タケノコの里とキノコの山

たけ

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プロローグ タケノコ村とキノコ村

二十一話 再戦

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 次の日 早朝 ハルはシズと会話すらもしていない。
 気まずいから。

 憂鬱な気分で雑草を踏み荒らし、目つきの悪い目で空を仰ぐ。

 今、自分は家にはいない。二人の男とお外にいる。ヤミを 殺すためだ。

「もう完全に俺達さぁ…生きてても死んでてもいいみたいな扱いになってるよな…」

 カイムが言う。そのとおりである。

「もし今回もやばかったら屈辱だが逃げて退団すればいい。市民に戻っても、キノコ軍から武器でも盗んで個人でヤミとかタケノコ軍どもを殺しに行けば良い」

 声を発したのはキク。その声には深い怒り、意味が込められているように感じられた。

「…なんでさ、キクはそんなにタケノコを憎んでいるの?」

「……タケノコ軍がすきなキノコ軍なんていねえよ」

「そうじゃなくて…殺意が湧きすぎてるというか……」

「……あっそ。」

「あっそ…って…」

深堀りを少しでもしようとすると、キクは軽い暴言で話をそらす。こんな事になった事の発端は彼なのだから、それくらい聞いてもいいじゃないかと思うが。それは自分勝手だろうか。

「とにかくよ。やれるだけやる。もうそれだけだろ……」

カイムが言う。そのときキクが反応した

「そうだな、死にたくないなら戦いには加わらないほうがいい。お前達はいらない」

「えっちょ」

キクが全速力で走り出す。急に走り出した動揺と、速すぎるキクのスピードに混乱し、追いつくことはできない。

キクが小さくなり、やがて見えなくなる。

「……おいてかれた…」

「あいつ、俺達が邪魔なんだろうけどよぉ…俺達がいなかったら前、死んでただろうが…」

「………」

そうなのだろうか。キクは、自分たちの命を想ってこの行動を取った。そう思ってしまった。

ー彼の行動の原動力は、過去の何がそうさせてい
 るのだろうか
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