タケノコの里とキノコの山

たけ

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プロローグ タケノコ村とキノコ村

第十六話 闇

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「三級の……ヤミ……!」

終わった という空気が響き渡る

「ほらぁ!さっさと逃げればいいって!」

「……うるせぇ、あいつは上級の中でも雑魚のなかの雑魚だ。」

「わかんねえだろ!そんなこと!逃げるぞ!」

言い合いをしている二人を尻目に ハルは考える。
たしかに死ぬ前提で来た所だが、そりゃ行きたい
この危機から脱出する方法を、考える。





ーー否、考える暇など無かった
 
「邪魔よ…」

瞬間、信じがたい光景が飛び込んできた。タケノコ軍の、三級のヤミが、

新人タケノコ軍を、殺した


「仲間…割れ…?」

「あなたたちの様な新人がいなくだってタケノコ村は回ってゆく。ここにいる時点で、強い私の目の害でしかない」

それが理由なのだろうか。新人タケノコ軍たちも恐怖に凍りつき、次々と殺されていく。

止めるものは 誰もいない


「ひっ………!」

ハルはたじろぐ、いまからこいつと対峙するのか
そんなときでも、キクはいつもの顔をしていた

「………………」

「キク…なんでそんなに落ち着けるんだ?」

「………平常心を失って、戦えんのかよ」

「は…?」

「安心しろお前ら、あいつは雑魚だ。上級にはいってまだすこししかたってない。正真正銘のくそ雑魚なんだよ」

「ほぇ…………いやいやいや!それでも上級に変わりねぇじゃん!そもそも戦うつもりは無かった!お前のせいだろ!」

「お前らが勝手に来たんだろお荷物、さっさと俺をおいてお家にかえれ」

「もうそうしたくなってきた!」

カイムが叫ぶ。自分もそうしたくなってきた

そんなとき、ヤミがタケノコ軍を殺し終わり、こちらを向く

「さぁて…何をしているのかしら?そんなとこで」

「丁度いいなお前、俺と戦え。後の2人は馬鹿で雑魚だから放置してくれ」

優しさの鱗片が見えるように聞こえるが、ハルからすると馬鹿にしているようにしか見えない

「ふぅん…五級のくせ、、、にッ゙!」

「最初に言っておこう。俺は軍に入団して1年もたっていない」

そういった瞬間、ハルとカイムを背後に置き去りにして、二人の間に火花が散った。

「なっ…!!」

凄い としか言いようがなかった。彼の言っていた通り、本当にこの三級は弱いのか

キクはヤミの剣さばきに追い付く、追い付く、

「1年も経ってない?ド素……ッ!」

追い付き、追い越す

キクの剣の先端がヤミの足へ目掛けて飛び込む

「っ!」

ヤミは動揺を隠しながらなんとか回避する。ここでその場にいた全員が確信する


ーーこいつの戦闘センスは、本物だ


「しっねええええええええええええ!」

「キク…キクだな、その名前、覚えてやる」

「が」

流石に総合的な実力は三級が上である。キクの腹にヤミの拳がめり込む。三級になるまで鍛え上げた体は、それ相応の攻撃力があった。

「ふふ…油断したわね」

あまりの痛みによだれを垂らし悶絶するキクをヤミは蹴り飛ばす  

「がっあああああああ!!!」

「キク!!!!!!!!!!!」

ハルの叫びは届かない。ハルはヤミの足元にすら及ばない。このままではいずれ死ぬ。

「……カイム、戦おう」

「…まじか?」

死ぬなら、抗って死ね。


「さあキク…あなたはただじゃあ殺してあげない。いたぶって、いたぶって、限界になるまで生かしてあげる…」

「……しね」

「ーーその態度がうざいってんだよおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」


こめかみに全力の蹴りを与える。キクの精神はそれでも崩れなかった

「ギッあ………っ!

 ……だれが、お前なんかに殺されるかよ…!」

「その!!態度がぁぁ……!」

「はぁぁぁぁぁ!」

苛立ちを抑えるヤミの後からハルが戦いに切りこむ

「!!」

しかし、どれだけ隙をつこうと、彼女は三級であり、上級だった。

「邪魔よ」

「ひっ………!」

ヤミの剣が、ハルの顔へ目掛けて振り上げられる。

恐怖が、支配していた


「ハルッッッ!!!!!!」

カイムが叫ぶ。土煙で状況が見えない。


周りにもタケノコ軍があつまってくる。それは、敗北を意味していた
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