タケノコの里とキノコの山

たけ

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プロローグ

第三話 どこかで見たことが

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ー気が付くと、ボロボロのシェルターが目の前にあった。
「っっっはあ!!!」

その声の主はハル。先程目の前に岩が降ってきたのだが、そこから先の記憶がない。だれかが助けてくれたのだろうか。

「っお!大丈夫だったか!」

女性の声。後ろを振り向くと、どこかで聞いた声がした。

「うおおおお!?」

彼女は確かキノコ軍一級のレイ、キノコ村の長と言ってもいい、そんな人物が何故自分の前にいるのか

ーー助けて、くれたのか

「そ、その、えっとー」

「落ち着けよ、君 名前言えるか?記憶でもなくしたか?」

「ふぁっ ハルですハル、記憶、あります……」

もっと怖い感じの人だと思ってた。蓋を開けてみればこんなたった一人の市民の為に動いてくれる優しい人物だった。

自分がおろおろしている間、一級がいないことでどれだけ戦力が落ちるか、だとしても、この人は無抵抗の市民の命を優先した。格好いい… あれ?
一人…?

「あ、あの子供は!!!!」

「ああ、第2シェルターに送り届けたよ。大丈夫」

「はあっへ…よ、よかった…」

自分でもドン引きする声だ

「あの子は兄妹?ちゃんと守ってあげてね。私にはいつでもあのこの隣に入れるわけじゃないし、君が守って。お願いね」

「あっあっ兄妹じゃないです…なんか目に止まって、見過ごせなくて…」

「…知らない人なのに助けたの?」

「はいまぁ…」

「格好いい!」

ちょっと何をいってるか分からない

「…ふへぇえ?」

「凄く格好いいよ、君 自分の命をかえりみずに、人に捧げた。それがどれだけ難しいことか、私にはわかる
君は 凄く格好いい」

違う…そんなんじゃない。何も遺さずに死ぬのは寂しくて、何かをしようとしたと思いたくて、そのためにあの子供をつかっただけだ。途端に物凄い罪悪感のようなものにかられる。

「あっ……………いえ……」

「よし、落ち着いてきたね。ごめん。そこまで大きな怪我をしてるわけでもなさそうだし、一人で第2シェルターまで行ける?」

「あ、はい」

この会話までに20秒ほどかかっている。一級の20秒を俺が壊してるんだ、やばい

「いっいきます!!」

そういって第2シェルターへ全力ダッシュ。申し訳ない申し訳ない申し訳ない申し訳ない。

…そういえば、足から不自然に血が出ていた。あれはきっと俺を助けて…あそこにとどまって俺と話してくれてたのも、ダメージを受けた足を休ませるためか…?

「ああああ…も~!」

もしこれでレイさんが死んだらどうしよう。俺が殺したことになるのか?

「死ねばよかった…」

なんて、半分冗談でそういった。









「おっらあああああああっ」

キノコ軍二級。パアワが物凄い勢いで剣を振るう。向かう先はタケノコ軍の赤いバッジをつけた男 アデル
「当たりませんよ!」

空中で綺麗に見をひねり、攻撃をかわす。そのついでに、パアワの剣を足でつかみ、床に叩きつける。

衝撃でパアワが転倒する。そこへアデルが、剣を……

の、瞬間。アデルの耳から機械的な音がなる。
通信だ。アデルはパアワへの攻撃をやめ、その場をはなれて通信をおこなう

「こちらアデル、いかが致しましたか?」

『一…一級が、シェルターへきて、それで、皆やられて…!』

声の主はモブのタケノコ軍だ

「やはりそうですか、申し訳ない。それは私の失態です。レイを煽ってしまって…私がやったようなものです。」

『えっえっと…撤退、いたしましょうか!今回はかなりの数のタケノコ軍が、死に…ゔぇぇっ!!!』

不快な音が聞こえる。キノコ軍に殺されたのか、

「やれやれ…今回も程よく殺せたでしょうか。そろそろ…」

アデルはパルクールのようなうごきで民家の屋根に登り、全体を見たあと、叫ぶ


「タケノコ軍、撤退」

その声は静かなようで、圧力のかかった声だった。逆らったら殺すぞ、といっているような、そんな感じ

その場にいた全てのタケノコ軍が手を止め、撤退しようとする

気付けば、一分もたてば街は死体とキノコ族だけになった。

「終わったか……」

ポチっと音をだし、レイと通信。

「こちらパアワ、そっちは終わったか…?」

『ああ、終わった…今回はまあ、前回よか被害をそこそこ減らせたかな』

「そうか、」

ピピピ   
通信が来た。二級、イアンからだ、

「悪いレイ イアンと通信する」

『おけ』




「よお、どうだ?」

『連絡なんて無い。生存確認だ』

「そーかよ」

最低限の会話をして、通信を切る。イアンはとてもクールであまり人と話したがらない

「……………」

市民の泣き声、死体
キノコ軍に入団して、もう何回もみた光景だが、慣れるときは一生こない、戦争が終わったときの、この喪失感は………

目の前の死体に気付く、ついさっき戦争が始まる前、
飲みの約束をしていた人が血まみれで横たわっている

「…………くそったれ」












そのころ、レイは寝転んでいた
一級なので戦争が終わった後は色々しなければいけないことがある。でも、あることが気になって出来なかった

一つ目は先程のハルとか言った少年。あの子の顔に覚えはない、でもなにか、知っている人のような気がする。

体の中に、とてつもないパワーを秘めている、そんな気がする、彼は。

「誰だっけ…うーん」

本当に一切心当たりがない。本当にただの一般市民だ。なぜ彼に既視感があるのか。

「……そうだ」

あの子は自分の命をかえりみずに弱きをを助ける人だった。なら……

「本人が嫌じゃなければだけど…」


そしてもう一つ。足が痛い。さっきの事で足を負傷した。もしかしたらバキバキに折れたかもしれん。全治何ヶ月だろうか?

「ってーーー」

怪我ならいつでもしているが、足は不味いな…

まあ、次の戦争は多分いつものように一年後、大丈夫だろう。

「うーん。ハル、ハルねぇ…しらない~」








こうして、戦争が終わった
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