俺達がチートであることを知られてはいけない。

無味

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第六章

発明家

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「そんなに退屈だったなら、どうしてあそこから出なかったんですか?」
俺はフロイント機能でシュピッツ達を呼び、皆で教会に待機していた。
「出なかったんじゃない、出られなかった。」
すっかり酔いは覚めたらしいヴィッツは、そう返した。オルクスがそれに補足する。
「あの洞窟は一人だと出られない仕組みになっている。」
ヴィッツは小瓶を眺めながら答えた。
「そうそう、誰か入ってきたら僕は一緒に出てあげるのー。」
「貴様が抜け出すのに利用しているだけだろう。」
「そういうの全部、オル君のせいだからねー?」
「ちょ、ちょっとストップ…喧嘩はやめてくれ。」
放っておくとすぐにでも銃を取り出しそうな雰囲気なので、慌てて止める。
(仲が良いんだか悪いんだか…)
「あ、そうだ…ヴィッツさんの職業は何ですか?」
「僕は発明家、ある程度の武器なら簡単に改造できる。さっきの銃もそれだよ。作った武器を売ることもあるよ…フェイ嬢とかね。」
「あ、あの時の…。」
俺達に使っていたあの銃だろうか。言われてみればヴィッツのそれと少し似ている。
「そうだ、オル君、君なら知っているだろうけど…『バグ』のこと、聞いた?」
「ああ。エアモルデンにもよく現れる。」
「バグ?」
俺が尋ねると、ヴィッツは俺に向き直った。
「そう、僕らには何の通知もこないけど…明らかに規則を違反している者が時々現れるんだ。有り得ない力を持ってね。」
「貴様が気がつかないだけでフライハイトにもいるな。」
シュティレは資料らしき物を取り出し、目を走らせると頷いた。
「はい、確認しています。」
「いつの間に…。どうして教えてくれなかったの?」
「この件は内密にと…お兄様から。」
ヴィッツはにこにこと笑ったまま頭をかいた。
「僕、余計なことをしちゃった感じかなー。」
「その通りだ。」
俺でも分かるくらいオルクスが怒っている。
『彼もヨシュカだからいいじゃないか、何、オル君一人で解決するつもりだった?』
『貴様が余計なことを言わなければな。』
『…オル君。』
ヴィッツの笑みがすっと消える。
『あれは…君一人では無理だ。断言する。』
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