俺達がチートであることを知られてはいけない。

無味

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第四章

紅糸

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イデーと別れ、ソファーを取り出す。
「…そうだ。トゥテラリィに会う前に、どうすればいいかオルクスに聞こうかな。」
「テレポート、エアモルデンへ!」

【エラー・応答なし】

「…え?」
その瞬間、激痛が手首を襲った。
「痛…!!!」
「我の指示に背いた罰だ。」
いつの間にかイデーが居た。俺はソファーの上でうずくまることしかできない。
「『紅糸』…我の能力だ。これを着けた者の監視ができて、今のように苦痛を与えることもできる。便利だろう?」
呻く俺を見下ろすと、呆れたように呟いた。
「解除。」
痛みが消えた。
「トゥテラリィの所へ行け。」
彼女の命令に、ただ頷いた。

数分後。
「獣人との戦いを止めろと…?」
「はい、そういうことです。」
ミスィオーンは俺に詰め寄った。
「何故です?あいつらは許されない存在です、私達が消さなければ誰がやつらを罰するのですか?」
同意の声があちこちから上がった。
〈汝はトゥテラリィの救世主だ。発言力は一番ある〉
ふと、イデーの言葉を思い出した。
「僕はメシアス救世主です!!」
急に周りは静かになった。
「創造主は、僕らの争いを求めておりません。…創造主は、平和を。僕らの和解を望んでおられます。」
少しずつざわつき始める。ミスィオーンはしばらく考え込んだ後、俺の目をしっかりと見て言った。
「…分かりました。終わりにしましょう。」
「隊長!?」「本気ですか!?」
野次が飛び交うが、彼女はそれを手で制した。
「私達の本来するべきことは何?獣人と戦うことなの?…違うわ。私達は創造主様を崇め、教えを説き、そしてこの世界を創造主様のお望みのようにする…そうでしょう?」
誰も答えなかったが、目はその言葉を肯定していた。
「獣人達のところへ行きましょう…そして、話し合いましょう。」
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