俺達がチートであることを知られてはいけない。

無味

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第四章

イデー

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「そうだけど…君は?」
俺が質問すると、少女は突如右手を上げた。
「紅糸。」

【魔術者・メッサー『紅糸』】

紅い糸が少女の足元から生えてきて、俺の手首に巻き付いた。
しかし、何も起こらない。
(…何かこれ、デジャヴだな…あ、オルクスの時もいきなり攻撃してきたな)
今まで戦いで命の危機を感じなかったからか(オルクスの時は薬を貰えたし)ぼんやりとそんなことを考えていた。
「落ち着いているな。流石は『救世主』と言ったところか。」
少女の顔をまじまじと見てみると、あることに気がついた。

紫の瞳。

『君は…ヨシュカだね。』
「そのような機能を使うな。我らの周囲には誰もおらぬ、普通に話せ。」
強い口調からは、敵対心が伝わってくる。
「ご、ごめん。あの…名前を聞いてもいいかい?」
「イデーだ。我は獣人達の長、そして新たな神である。」
魔術者…と心の中で付け足す。魔術者の存在は聞いたことがある、あまり強くないから選ぶ人が少ないと。プファラーとしてどこか親近感が湧いてくる。
「僕に何か用かな?」
イデーは俺の周りを歩き始めた。
「汝はヨシュカを集めているのだとか。かつ、先程我らと一戦を交えた、トゥテラリィの救世主だとか…まことか?」
「…そうだよ。」
彼女は俺を指差した。
「交渉だ。我は汝に協力する。汝はトゥテラリィらをこれ以上我らに干渉せぬよう、指示しろ。」
「…え?」
イデーは俺の顔を見て、悪戯を仕掛けた子供のように笑った。
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