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第四章
掲示板
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何となく気まずくなり、俺は彼から離れて二階に上がってみた。本来ならば彼が中を案内するべきなのだろうが、彼は狼狽えつつも万一のことを考え一階で待機していることを選んだ。
「広いな、この教会…。」
一階はホールのようだったが、二階は長い廊下が迷路のように張り巡らされていて、それに沢山の部屋が面していた。上への階段はあるので、まだまだ上れそうだ。
近くの窓から外を見てみる。不思議なことに、見える範囲では誰もいない。
ふと、美しい絵画などが飾られている壁にそぐわない、電気的なパネルのようなものを見つけた。
興味本意でタップしてみる。
【掲示板です】
メニューが表示される。避難勧告、という記事に目をとめた。
【避難勧告/中央教会付近の住民は至急避難せよ/エアホーレンに隣接するエアモルデンも危険】
(皆避難して…戦ってる人はエアモルデンに居るのか。ならここは安全…探索でもしようかな?)
窓の外を再び見ると、先程まで誰もいなかったはずの場所に人影があった。
「獣人!?」
獣人は次々と現れる。エアモルデンからテレポートしたのだろうか。
「まずい…!!クライン!」
名を呼びながら急いで下りる。
クラインは俺を待っていた。
「救世主様!ここはボクが行きます!」
「一人じゃ無理だろ!僕も手伝う!!」
クラインは首を振った。
「任せて下さい!ボクを信じてここにいてください!」
そう叫ぶと止める暇もなく飛び出していった。
「クライン…!!」
「メッサー発動!!」
【メッサー発動】
【プファラー・メッサー『ゲナウ』】
強い光と風が俺を襲った。両手を顔の前で構え、なんとか堪える。
クラインがブーフを片手に掲げると、魔方陣の光が増した。光が的確に獣人達の胸を貫いていく。足元から崩れていく獣人らを踏み越えながら彼はゆっくりと前に進み、現れる獣人を片付ける。
(強い…隊長の護衛もしているし、当然と言えば当然だけど…)
彼の表情は見えない。先へ進み続け、とうとう姿を見失ってしまった。
不安だが、後を追って教会を放置する訳にはいかない。
しばらくすると、走って戻ってきた。
「我々の勝利です!獣人達は撤退しました!」
「そうか!良かった…。」
「広いな、この教会…。」
一階はホールのようだったが、二階は長い廊下が迷路のように張り巡らされていて、それに沢山の部屋が面していた。上への階段はあるので、まだまだ上れそうだ。
近くの窓から外を見てみる。不思議なことに、見える範囲では誰もいない。
ふと、美しい絵画などが飾られている壁にそぐわない、電気的なパネルのようなものを見つけた。
興味本意でタップしてみる。
【掲示板です】
メニューが表示される。避難勧告、という記事に目をとめた。
【避難勧告/中央教会付近の住民は至急避難せよ/エアホーレンに隣接するエアモルデンも危険】
(皆避難して…戦ってる人はエアモルデンに居るのか。ならここは安全…探索でもしようかな?)
窓の外を再び見ると、先程まで誰もいなかったはずの場所に人影があった。
「獣人!?」
獣人は次々と現れる。エアモルデンからテレポートしたのだろうか。
「まずい…!!クライン!」
名を呼びながら急いで下りる。
クラインは俺を待っていた。
「救世主様!ここはボクが行きます!」
「一人じゃ無理だろ!僕も手伝う!!」
クラインは首を振った。
「任せて下さい!ボクを信じてここにいてください!」
そう叫ぶと止める暇もなく飛び出していった。
「クライン…!!」
「メッサー発動!!」
【メッサー発動】
【プファラー・メッサー『ゲナウ』】
強い光と風が俺を襲った。両手を顔の前で構え、なんとか堪える。
クラインがブーフを片手に掲げると、魔方陣の光が増した。光が的確に獣人達の胸を貫いていく。足元から崩れていく獣人らを踏み越えながら彼はゆっくりと前に進み、現れる獣人を片付ける。
(強い…隊長の護衛もしているし、当然と言えば当然だけど…)
彼の表情は見えない。先へ進み続け、とうとう姿を見失ってしまった。
不安だが、後を追って教会を放置する訳にはいかない。
しばらくすると、走って戻ってきた。
「我々の勝利です!獣人達は撤退しました!」
「そうか!良かった…。」
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