俺達がチートであることを知られてはいけない。

無味

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第三章

リーダー

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「ありがとう。」
『…で、オルクスは他のヨシュカのことを何か知ってるか?』
『全員把握済みだ。』
『全員知ってるのか!?連絡とか…』
『駄目だ。フロイント登録していない。それに、会いたくない。』
会いたくないって…子供かよ。
『何人居るんだ?』
『俺と貴様を含めて6人だ。』
(ということは、俺とオルクスとユスティーツを除いて三人か…)
『おい。これからどうするつもりだ。』
オルクスは苛立ちを隠さずに俺を睨んだ。
『とりあえず全員のヨシュカに会って、協力してもらえるよう頼んでみる。』
『そうか、なら聞くが…今までに何人制裁を下した?』
『…まだだ。』
彼は信じられないといった顔をした。
『経験無しか?それでよく俺に会いに来たな。』
『えっ…。』
『まぁいい、今俺と戦え。貴様の力を見てやる。』
状況が飲み込めず返事をしないでいると、オルクスは後ろで待機していたシュティレに声をかけた。
「下がれ。こいつの力を見る。」
「はい、お兄様。」
シュティレは素直に下がる。
「えっ、ちょっと待っ…」
俺は手を前に出しストップという意思を伝えようとしたが、オルクスはそれを無視して構えた。
「…『じゅつ』。」

おと使づかい・アングリフ発動『術歌』】

(アングリフ?メッサーとか無いのか?)
オルクスは大きく口を開いた。
何が起きるのか分からず、とりあえず衝撃に備えて目を瞑った。
…俺の耳に届いたのは、美しい旋律だった。
目をゆっくりと開けると、オルクスはアカペラで歌っていた。
(流石『ナイト様』。人気なのは声だけじゃないってことか。)
声はリアルのマイクから入れているようだ。息を吸う音も聞こえる。
(…というか、何で歌なんか…)
その疑問はすぐに解消された。
(体に力が入らない…リアルの動作が伝わりにくくなってるのか!)
hpがどんどん削られていく。視界がぼやけ始める。
「お兄様!!もうシャルは…!」
俺の体は膝から崩れ落ち、どさりとオルクスの足元に倒れた。
オルクスの歌が止む。
「なんだ、反撃はないのか?それでは意味がない。…シュティレ。」
「は…はい、お兄様。」
シュティレは小さな瓶を彼に渡した。彼はそれを俺の目の前に突き出す。
「回復薬だ。飲め。」
震える手で受け取ると、口に流し込む。hpが半分まで回復し、立つことができた。
「貴様の番だ。」
俺はシュティレを見る。シュティレは無表情のまま頷く。
「グロース発動。」

【グロース発動】

【プファラー・グロース『十字架クロイツ』】

風が巻き起こる。シュティレは少し険しい顔をした。オルクスは少し目を見開いて、俺の背後の十字架を見上げていた。しかしその姿も光の帯に包まれて見えなくなる。
(倒したか…?)
本来の目的も忘れ、オルクスの姿を探す。
「プファラーのグロースか…威力は悪くない。が、スピードは遅い。」
「!?」
突然背後からオルクスの声がした。振り向くと、彼が何事も無かったかのように立っていた。
「貴様の力は…例えるなら大砲だ。一対一で使えるものじゃない。使いこなすには相当な技術が必要だ。」
一目見ただけの技を、冷静かつ正確に分析する。
「メッサーも似たようなものだと、シュティレから聞いた。」
「あ、あぁ…。」
確かに威力と速さの違いはあれど、基本的な攻撃手段はあまり変わらない。
「なら、俺が貴様を使ってやる。」
「…は?」
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