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第二章
瓶
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ヴェルト五日目。
今日は学校があったので午後からのログインだ。
「レーツェル?遅くなってすまない。レーツェ…」
彼女の部屋の、机にある紙を見つける。
[さようなら。お世話になりました。]
「レーツェル…?レーツェル…レーツェル!!」
教会を飛び出したが、外には誰もいない。
「どうして…何が駄目だったんだ!?一体何が…。」
必死に記憶を思い出すと、一つの単語が浮かぶ。
『ナイト』
「もしかして…オルクスが!?」
(オルクスがレーツェルを連れて行ったのか…?だとしたらこの置き手紙は何のために…)
とりあえず、シュピッツやユスティーツに聞いてみる。
[ユスティーツ、レーツェル見なかったか?]
相変わらず返信はすぐに来る。
[ごめんなさい!わからないや!]
(ユスティーツはまだ一回しかレーツェルに会ってない…流石に顔も覚えていないか)
シュピッツはまだフロイント登録していないので、直接行くしかない。
【テレポート・エアホーレン 実行します】
「レーツェル?名前は聞いたことないな…。どんなやつだ?」
(そういえばシュピッツはレーツェルと一度も会ってない…)
「髪が白くて、黒いマントを着けているんだ。」
ううん、とシュピッツが唸る。
「…仕事の邪魔をしてすまない。自分で探してみるよ。」
シュピッツはにやりと笑った。
「何だ、彼女か?喧嘩したなら早く謝った方がいいぜ。」
イライラしていたのがその言葉で更に大きくなる。しかし、俺はいつもの微笑みを返す。
「そういうんじゃないよ。突然行方不明でね。何かの事件に巻き込まれてないといいんだけど。」
シュピッツはすまなそうな顔になった。
「そうか…力になれなくて悪いな。お詫びと言ったらなんだが…これやるよ。」
店の棚から小さな空色の瓶を持ってくる。古びていて、ガラスの中に泡が入っている。ごつごつした表面が太陽を反射する。
「もらった物だが、俺には必要ないさ。教会にでも飾ったらどうだ?」
「ありがとう。そうだ、フロイント申請してもいいかな。」
「もちろんだ。…ほい、登録しといたぞ。」
【登録しました】
「ありがとう、何かあったらこれで教えてくれ。」
そう言って走り出した。
「分かった。諦めないで頑張れよ!」
後ろからの声に手を振って答える。
(言われなくても、諦めたりなんかしない…絶対に)
走りながら椅子を取り出す。勢いをつけて飛び乗った。
「テレポート、エアモルデンに!」
【テレポート・エアモルデン 実行します】
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