俺達がチートであることを知られてはいけない。

無味

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第一章

最速の出会い

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ドアをゆっくりと押す。木製だが、新しいので音はしない。
そこにはまるで絵画のような光景があった。
中の家具は既に置いてあり、椅子が神父の登場を待つかのように黙りこんでいた。窓から、まだ高い日の光が差し込んで辺りを照らしている。
俺は椅子の一つに手を添えた。柔らかく、暖かい木の感触が返ってくる。
【間取りを表示します】
突然響いた機械的な声で我に返る。
「…懺悔室?そんなものまであるのか…。」
…もしかしたら、これはヨシュカの仕事に利用できるかもしれない。
表示された間取りを見つめて、これからのことを考える。
「…あの。」
「!?」
いつの間にか、入口の所に少女が立っていた。
白く透き通りそうな髪。俺を見つめる赤い目。
…可愛い。というより、美人。
歳は10代後半といったところか。髪とは対照的に黒いフード付きのマントを被っている。
「…ここ、懺悔室ありますか。」
「あ…うん、あるよ。」
反射的に答える。
「使っても、いいですか。」
無愛想で、感情の無い声だ。
「どうぞ。」
なるべく紳士的に案内する。少女はぺこりと礼をした。
「私、聞いてもらわなくて大丈夫です。『一人言モード』使いますから。」
「わ、わかった。」
パタン、とドアが閉じられた。
「…ファルベ。」
《はい。ご用件はなんでしょうか?》
「一人言モードって何。」
《ご説明します。一人言モードとは、その名の通り、一人言のための機能です。吹き出しは表示されますが、内容を見ることはできません…普通なら、の話ですが。》
「ヨシュカには見えるのか?」
《その通りです。返事はできませんが、閲覧は可能です。》
「…ふむ。これは結構使えるな。」
《では、私はこれで。》
ファルベは消えた。
「さてと。早速見てみますか。」
現れた吹き出しをタップする。
『創造主よ、私は…』

『エアモルデンから参りました。』
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