79 / 95
第九章
救出
しおりを挟む
取り出したソファーに飛び乗って、エアホーレンに移動する。
シュティレの意識が無いという話を詳しく聞きそびれたが、一体どういう事なのだろう。シュティレがこのまま目覚めなかったら、植物人間のような状態になるのか?それは、俺がヴェルトのシュティレを殺したせいなのか?俺が殺したのは、現実のシュティレ…?
オルクスも責任を感じているのだろうか。シュティレを殺せと言ったのはオルクスで、「ここにいない方が良い」と彼は言っていた。それはヴェルトからシュティレを早く避難させようとしていたからなのかもしれない。だとしたら、オルクスはシュティレが狙われている事を知っていた?つまり、シュティレは無作為に選ばれた人質ではなくて、エーファの目的がシュティレだった?オルクスはまだ嘘を吐いているのか。
そんな事を考えながら教会へと急ぐ。
オルクスはどうして教会に行けと言った?あそこにいるという確信があったのだろうか。どうして俺だけ単独行動なのか、俺に…
俺にしか、出来ない事。
勢いよく扉を開ける。だが、そこには誰もいなかった。
想定内だ。オルクスの考えはもう分かった。
「創造主よ、我に啓示を与えたまえ。」
《…エーファは見付かりましたか、偽りの少年よ》
『いいえ、まだです。』
《では、何故私を呼んだのですか》
『一つ…質問が、あります。』
《どうぞ》
深呼吸をする。今ここで手間取ってはいられない。
『ヨシュカについて、隠している事がありますよね?』
《私が、隠し事?何の事でしょうか》
『ヨシュカである俺達は、レベルが最大になるだけでなく…本来その職業にないはずの能力まで、持ってました。例えば、分かりやすかったのはイデー。どこでも戦う事ができるように、周りにいた人物のhpを表示させるあの力…魔術者全員が持っていたら大変ですよね?勿論、そんな能力があるのはヴェルトでイデーだけです。』
《…》
創造主は沈黙している。
『一人では証拠になりませんか?今なら全員言えますよ、調べましたから。』
と言っても、調べたのはついさっきだ。ソファーに乗りながらネットの掲示板や攻略サイト等、色々な場所で職業について調べた。ファルベには聞かなかった。創造主が介入してくる可能があったからだ。
『フェイの狩人は普通、ぬいぐるみにするだけの能力しかありません。ヴィッツは発明家。発明家は一種類の道具しか改造出来ません。ですが、彼はあらゆる物を改造していました。そして俺は、創造主の"本当の言葉"を聞ける能力。』
フェイとヴィッツは一見すると普通だ。ただ、ヴィッツのような職業があったら、公式が新しい武器を売る前に改造で作られてしまう。フェイは調べるまで分からなかった。
《他のプファラーが聞いた言葉は、嘘だと言いたいのですね》
『俺は聞いた事がないので分かりませんが、恐らくランダムに単語が聞こえるとか、そういうものでしょう。全てのプファラーに創造主自らが答えるとは考えにくい。』
《オルクスが残っていますよ》
『音使いの能力は、一人一曲を選んでその曲を歌うと攻撃できるというもの。しかし俺が聞いたのは二曲以上だったはず。曲の上限が無くなっている。ヨシュカは、レベル以外にもチート過ぎるんですよ。』
《…それで、何が言いたいのですか》
「これはあなたが付けた力ですよね?一人一人に別々の能力を付ける事が可能なら…シュティレにも、何かあるのではないでしょうか。」
《シュティレですか?いいえ、彼女には何の細工も施していません》
読みが…外れた?
「エーファが彼女を狙っています、シュティレは何かが特別なんです。」
《嗚呼、それなら…彼女の身体を乗っ取る気なのでしょう》
「乗っ取る?」
とても嫌な予感がする。
《仕方ありませんから、あなたには教えましょう。偽りの少年よ。ヴェルトの装置は、人の脳をコントロールする事が可能です…いいえ、その実験の為のゲームなのです》
シュティレの意識が無いという話を詳しく聞きそびれたが、一体どういう事なのだろう。シュティレがこのまま目覚めなかったら、植物人間のような状態になるのか?それは、俺がヴェルトのシュティレを殺したせいなのか?俺が殺したのは、現実のシュティレ…?
オルクスも責任を感じているのだろうか。シュティレを殺せと言ったのはオルクスで、「ここにいない方が良い」と彼は言っていた。それはヴェルトからシュティレを早く避難させようとしていたからなのかもしれない。だとしたら、オルクスはシュティレが狙われている事を知っていた?つまり、シュティレは無作為に選ばれた人質ではなくて、エーファの目的がシュティレだった?オルクスはまだ嘘を吐いているのか。
そんな事を考えながら教会へと急ぐ。
オルクスはどうして教会に行けと言った?あそこにいるという確信があったのだろうか。どうして俺だけ単独行動なのか、俺に…
俺にしか、出来ない事。
勢いよく扉を開ける。だが、そこには誰もいなかった。
想定内だ。オルクスの考えはもう分かった。
「創造主よ、我に啓示を与えたまえ。」
《…エーファは見付かりましたか、偽りの少年よ》
『いいえ、まだです。』
《では、何故私を呼んだのですか》
『一つ…質問が、あります。』
《どうぞ》
深呼吸をする。今ここで手間取ってはいられない。
『ヨシュカについて、隠している事がありますよね?』
《私が、隠し事?何の事でしょうか》
『ヨシュカである俺達は、レベルが最大になるだけでなく…本来その職業にないはずの能力まで、持ってました。例えば、分かりやすかったのはイデー。どこでも戦う事ができるように、周りにいた人物のhpを表示させるあの力…魔術者全員が持っていたら大変ですよね?勿論、そんな能力があるのはヴェルトでイデーだけです。』
《…》
創造主は沈黙している。
『一人では証拠になりませんか?今なら全員言えますよ、調べましたから。』
と言っても、調べたのはついさっきだ。ソファーに乗りながらネットの掲示板や攻略サイト等、色々な場所で職業について調べた。ファルベには聞かなかった。創造主が介入してくる可能があったからだ。
『フェイの狩人は普通、ぬいぐるみにするだけの能力しかありません。ヴィッツは発明家。発明家は一種類の道具しか改造出来ません。ですが、彼はあらゆる物を改造していました。そして俺は、創造主の"本当の言葉"を聞ける能力。』
フェイとヴィッツは一見すると普通だ。ただ、ヴィッツのような職業があったら、公式が新しい武器を売る前に改造で作られてしまう。フェイは調べるまで分からなかった。
《他のプファラーが聞いた言葉は、嘘だと言いたいのですね》
『俺は聞いた事がないので分かりませんが、恐らくランダムに単語が聞こえるとか、そういうものでしょう。全てのプファラーに創造主自らが答えるとは考えにくい。』
《オルクスが残っていますよ》
『音使いの能力は、一人一曲を選んでその曲を歌うと攻撃できるというもの。しかし俺が聞いたのは二曲以上だったはず。曲の上限が無くなっている。ヨシュカは、レベル以外にもチート過ぎるんですよ。』
《…それで、何が言いたいのですか》
「これはあなたが付けた力ですよね?一人一人に別々の能力を付ける事が可能なら…シュティレにも、何かあるのではないでしょうか。」
《シュティレですか?いいえ、彼女には何の細工も施していません》
読みが…外れた?
「エーファが彼女を狙っています、シュティレは何かが特別なんです。」
《嗚呼、それなら…彼女の身体を乗っ取る気なのでしょう》
「乗っ取る?」
とても嫌な予感がする。
《仕方ありませんから、あなたには教えましょう。偽りの少年よ。ヴェルトの装置は、人の脳をコントロールする事が可能です…いいえ、その実験の為のゲームなのです》
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
聖女の紋章 転生?少女は女神の加護と前世の知識で無双する わたしは聖女ではありません。公爵令嬢です!
幸之丞
ファンタジー
2023/11/22~11/23 女性向けホットランキング1位
2023/11/24 10:00 ファンタジーランキング1位 ありがとうございます。
「うわ~ 私を捨てないでー!」
声を出して私を捨てようとする父さんに叫ぼうとしました・・・
でも私は意識がはっきりしているけれど、体はまだ、生れて1週間くらいしか経っていないので
「ばぶ ばぶうう ばぶ だああ」
くらいにしか聞こえていないのね?
と思っていたけど ササッと 捨てられてしまいました~
誰か拾って~
私は、陽菜。数ヶ月前まで、日本で女子高生をしていました。
将来の為に良い大学に入学しようと塾にいっています。
塾の帰り道、車の事故に巻き込まれて、気づいてみたら何故か新しいお母さんのお腹の中。隣には姉妹もいる。そう双子なの。
私達が生まれたその後、私は魔力が少ないから、伯爵の娘として恥ずかしいとかで、捨てられた・・・
↑ここ冒頭
けれども、公爵家に拾われた。ああ 良かった・・・
そしてこれから私は捨てられないように、前世の記憶を使って知識チートで家族のため、公爵領にする人のために領地を豊かにします。
「この子ちょっとおかしいこと言ってるぞ」 と言われても、必殺 「女神様のお告げです。昨夜夢にでてきました」で大丈夫。
だって私には、愛と豊穣の女神様に愛されている証、聖女の紋章があるのです。
この物語は、魔法と剣の世界で主人公のエルーシアは魔法チートと知識チートで領地を豊かにするためにスライムや古竜と仲良くなって、お力をちょっと借りたりもします。
果たして、エルーシアは捨てられた本当の理由を知ることが出来るのか?
さあ! 物語が始まります。
【完結】追放された生活錬金術師は好きなようにブランド運営します!
加藤伊織
ファンタジー
(全151話予定)世界からは魔法が消えていっており、錬金術師も賢者の石や金を作ることは不可能になっている。そんな中で、生活に必要な細々とした物を作る生活錬金術は「小さな錬金術」と呼ばれていた。
カモミールは師であるロクサーヌから勧められて「小さな錬金術」の道を歩み、ロクサーヌと共に化粧品のブランドを立ち上げて成功していた。しかし、ロクサーヌの突然の死により、その息子で兄弟子であるガストンから住み込んで働いていた家を追い出される。
落ち込みはしたが幼馴染みのヴァージルや友人のタマラに励まされ、独立して工房を持つことにしたカモミールだったが、師と共に運営してきたブランドは名義がガストンに引き継がれており、全て一から出直しという状況に。
そんな中、格安で見つけた恐ろしく古い工房を買い取ることができ、カモミールはその工房で新たなスタートを切ることにした。
器具付き・格安・ただし狭くてボロい……そんな訳あり物件だったが、更におまけが付いていた。据えられた錬金釜が1000年の時を経て精霊となり、人の姿を取ってカモミールの前に現れたのだ。
失われた栄光の過去を懐かしみ、賢者の石やホムンクルスの作成に挑ませようとする錬金釜の精霊・テオ。それに対して全く興味が無い日常指向のカモミール。
過保護な幼馴染みも隣に引っ越してきて、予想外に騒がしい日常が彼女を待っていた。
これは、ポーションも作れないし冒険もしない、ささやかな錬金術師の物語である。
彼女は化粧品や石けんを作り、「ささやかな小市民」でいたつもりなのだが、品質の良い化粧品を作る彼女を周囲が放っておく訳はなく――。
毎日15:10に1話ずつ更新です。
この作品は小説家になろう様・カクヨム様・ノベルアッププラス様にも掲載しています。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~
柚木崎 史乃
ファンタジー
名門伯爵家の次女であるコーデリアは、魔力に恵まれなかったせいで双子の姉であるビクトリアと比較されて育った。
家族から疎まれ虐げられる日々に、コーデリアの心は疲弊し限界を迎えていた。
そんな時、どういうわけか縁談を持ちかけてきた貴族がいた。彼の名はジェイド。社交界では、「猛獣公爵」と呼ばれ恐れられている存在だ。
というのも、ある日を境に文字通り猛獣の姿へと変わってしまったらしいのだ。
けれど、いざ顔を合わせてみると全く怖くないどころか寧ろ優しく紳士で、その姿も動物が好きなコーデリアからすれば思わず触りたくなるほど毛並みの良い愛らしい白熊であった。
そんな彼は月に数回、人の姿に戻る。しかも、本来の姿は類まれな美青年なものだから、コーデリアはその度にたじたじになってしまう。
ジェイド曰くここ数年、公爵領では鉱山から流れてくる瘴気が原因で獣の姿になってしまう奇病が流行っているらしい。
それを知ったコーデリアは、瘴気の影響で不便な生活を強いられている領民たちのために鉱石を使って次々と便利な魔導具を発明していく。
そして、ジェイドからその才能を評価され知らず知らずのうちに溺愛されていくのであった。
一方、コーデリアを厄介払いした家族は悪事が白日のもとに晒された挙句、王家からも見放され窮地に追い込まれていくが……。
これは、虐げられていた才女が嫁ぎ先でその才能を発揮し、周囲の人々に無自覚に愛され幸せになるまでを描いた物語。
他サイトでも掲載中。

オタクな母娘が異世界転生しちゃいました
yanako
ファンタジー
中学生のオタクな娘とアラフィフオタク母が異世界転生しちゃいました。
二人合わせて読んだ異世界転生小説は一体何冊なのか!転生しちゃった世界は一体どの話なのか!
ごく普通の一般日本人が転生したら、どうなる?どうする?

神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

【完結】拾ったおじさんが何やら普通ではありませんでした…
三園 七詩
ファンタジー
カノンは祖母と食堂を切り盛りする普通の女の子…そんなカノンがいつものように店を閉めようとすると…物音が…そこには倒れている人が…拾った人はおじさんだった…それもかなりのイケおじだった!
次の話(グレイ視点)にて完結になります。
お読みいただきありがとうございました。
VRおじいちゃん ~ひろしの大冒険~
オイシイオコメ
SF
75歳のおじいさん「ひろし」は思いもよらず、人気VRゲームの世界に足を踏み入れた。おすすめされた種族や職業はまったく理解できず「無職」を選び、さらに操作ミスで物理攻撃力に全振りしたおじいさんはVR世界で出会った仲間たちと大冒険を繰り広げる。
この作品は、小説家になろう様とカクヨム様に2021年執筆した「VRおじいちゃん」と「VRおばあちゃん」を統合した作品です。
前作品は同僚や友人の意見も取り入れて書いておりましたが、今回は自分の意向のみで修正させていただいたリニューアル作品です。
(小説中のダッシュ表記につきまして)
作品公開時、一部のスマートフォンで文字化けするとのご報告を頂き、ダッシュ2本のかわりに「ー」を使用しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる