俺達がチートであることを知られてはいけない。

無味

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第九章

救出

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取り出したソファーに飛び乗って、エアホーレンに移動する。
シュティレの意識が無いという話を詳しく聞きそびれたが、一体どういう事なのだろう。シュティレがこのまま目覚めなかったら、植物人間のような状態になるのか?それは、俺がヴェルトのシュティレを殺したせいなのか?俺が殺したのは、現実のシュティレ…?
オルクスも責任を感じているのだろうか。シュティレを殺せと言ったのはオルクスで、「ここにいない方が良い」と彼は言っていた。それはヴェルトからシュティレを早く避難させようとしていたからなのかもしれない。だとしたら、オルクスはシュティレが狙われている事を知っていた?つまり、シュティレは無作為に選ばれた人質ではなくて、エーファの目的がシュティレだった?オルクスはまだ嘘を吐いているのか。
そんな事を考えながら教会へと急ぐ。
オルクスはどうして教会に行けと言った?あそこにいるという確信があったのだろうか。どうして俺だけ単独行動なのか、俺に…
俺にしか、出来ない事。
勢いよく扉を開ける。だが、そこには誰もいなかった。
想定内だ。オルクスの考えはもう分かった。

 「創造主よ、我に啓示を与えたまえ。」

《…エーファは見付かりましたか、偽りの少年よ》
『いいえ、まだです。』
《では、何故私を呼んだのですか》
『一つ…質問が、あります。』
《どうぞ》
深呼吸をする。今ここで手間取ってはいられない。
『ヨシュカについて、隠している事がありますよね?』
《私が、隠し事?何の事でしょうか》
『ヨシュカである俺達は、レベルが最大になるだけでなく…本来その職業にないはずの能力まで、持ってました。例えば、分かりやすかったのはイデー。どこでも戦う事ができるように、周りにいた人物のhpを表示させるあの力…魔術者全員が持っていたら大変ですよね?勿論、そんな能力があるのはヴェルトでイデーだけです。』
《…》
創造主は沈黙している。
『一人では証拠になりませんか?今なら全員言えますよ、調べましたから。』
と言っても、調べたのはついさっきだ。ソファーに乗りながらネットの掲示板や攻略サイト等、色々な場所で職業について調べた。ファルベには聞かなかった。創造主が介入してくる可能があったからだ。
『フェイの狩人は普通、ぬいぐるみにするだけの能力しかありません。ヴィッツは発明家。発明家は一種類の道具しか改造出来ません。ですが、彼はあらゆる物を改造していました。そして俺は、創造主の"本当の言葉"を聞ける能力。』
フェイとヴィッツは一見すると普通だ。ただ、ヴィッツのような職業があったら、公式が新しい武器を売る前に改造で作られてしまう。フェイは調べるまで分からなかった。
《他のプファラーが聞いた言葉は、嘘だと言いたいのですね》
『俺は聞いた事がないので分かりませんが、恐らくランダムに単語が聞こえるとか、そういうものでしょう。全てのプファラーに創造主自らが答えるとは考えにくい。』
《オルクスが残っていますよ》
『音使いの能力は、一人一曲を選んでその曲を歌うと攻撃できるというもの。しかし俺が聞いたのは二曲以上だったはず。曲の上限が無くなっている。ヨシュカは、レベル以外にもチート過ぎるんですよ。』
《…それで、何が言いたいのですか》
「これはあなたが付けた力ですよね?一人一人に別々の能力を付ける事が可能なら…シュティレにも、何かあるのではないでしょうか。」
《シュティレですか?いいえ、彼女には何の細工も施していません》
読みが…外れた?
「エーファが彼女を狙っています、シュティレは何かが特別なんです。」
《嗚呼、それなら…彼女の身体を乗っ取る気なのでしょう》
「乗っ取る?」
とても嫌な予感がする。
《仕方ありませんから、あなたには教えましょう。偽りの少年よ。ヴェルトの装置は、人の脳をコントロールする事が可能です…いいえ、その実験の為のゲームなのです》
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