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第八章
創造主
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「随分と遅い到着でしたのね。待ちくたびれるかと思いましたわ。」
辺りが闇に包み込まれた。奥から響く声を合図に、青い光が周囲をぼんやりと照らす。そこにいたのは女性だった。
艶やかな黒髪は膝まで伸びていて、目も吸い込まれそうな程黒い。血の気を感じられない青白い肌は、彼女の柔らかな白ワンピースとはまた違った色だった。
「…あなたが、創造主ですか?」
俺が問うと、薄い唇を横に引っ張るように笑った。
「ええ、ええ…そうです、偽りの少年よ。」
その言葉を聞いて確信した。彼女は本物の創造主だ。その呼び名は俺と彼女しか知らないはずだ。
「ヨシュカは、無くなるんですか。」
こちらが苛立つくらいにゆっくりとした動作で、彼女は笑みを含んだ唇に指を当てた。
「その通りです。貴殿方にもう用はありません。ヴェルトの装置はそのまま差し上げますが、今後は料金に関するサポートは致しません。ですが、レベルもそのままご使用可能です。」
「納得いかない、理由はなんです。」
創造主を除いた皆も頷く。
「チートは世界を破壊します。私が開発した人工知能に任せておけば心配ありません。人工知能の私もこれだけのプログラムを作る事が出来るのですから、大丈夫ですよ。」
…彼女も、AI?
「何で私達を作ったのよぉ!壊すなんて失礼じゃないぃ?」
フェイが苛立ちを隠そうともせずに詰め寄る。しかし創造主は動じない。
「ヨシュカを作った事は、決して無駄ではありません。レベル最高値、エーユも無限に使える存在が、この世界にどのような影響を及ぼすのか。これは検証でもあるのです。」
検証。俺は救世主ではなく、被験者だった?
辺りが闇に包み込まれた。奥から響く声を合図に、青い光が周囲をぼんやりと照らす。そこにいたのは女性だった。
艶やかな黒髪は膝まで伸びていて、目も吸い込まれそうな程黒い。血の気を感じられない青白い肌は、彼女の柔らかな白ワンピースとはまた違った色だった。
「…あなたが、創造主ですか?」
俺が問うと、薄い唇を横に引っ張るように笑った。
「ええ、ええ…そうです、偽りの少年よ。」
その言葉を聞いて確信した。彼女は本物の創造主だ。その呼び名は俺と彼女しか知らないはずだ。
「ヨシュカは、無くなるんですか。」
こちらが苛立つくらいにゆっくりとした動作で、彼女は笑みを含んだ唇に指を当てた。
「その通りです。貴殿方にもう用はありません。ヴェルトの装置はそのまま差し上げますが、今後は料金に関するサポートは致しません。ですが、レベルもそのままご使用可能です。」
「納得いかない、理由はなんです。」
創造主を除いた皆も頷く。
「チートは世界を破壊します。私が開発した人工知能に任せておけば心配ありません。人工知能の私もこれだけのプログラムを作る事が出来るのですから、大丈夫ですよ。」
…彼女も、AI?
「何で私達を作ったのよぉ!壊すなんて失礼じゃないぃ?」
フェイが苛立ちを隠そうともせずに詰め寄る。しかし創造主は動じない。
「ヨシュカを作った事は、決して無駄ではありません。レベル最高値、エーユも無限に使える存在が、この世界にどのような影響を及ぼすのか。これは検証でもあるのです。」
検証。俺は救世主ではなく、被験者だった?
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