俺達がチートであることを知られてはいけない。

無味

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第八章

接点

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「…プファラーが読む事の出来るブーフ。そこにはこう載っている…エーファとアーダムが、創造主を生んだと。」
俺は肯定として頷く。
「エーファとアーダムの正体は…AIだ。」
この場にいた、オルクスを除いた全員が息を飲む。二人の正体が、AI?
オルクスは続けた。
「それを開発したのは、俺の親の会社だ。世界を創り替えるAI。父の口癖だった。俺は全く興味が無かったから、詳しくは知らないが…生み出された二つのAIは、様々な技術を与えられたらしい…そして、その二つ…二人のAIは脱走した。所謂いわゆる制御不能だな。会社はその事を隠し続けているが…去ってから数年後、ヴェルトが現れた。ネットでプファラーがブーフについて話していた内容を見て確信した。これはあのAIが創った、と。」
非現実的な話に頭がついていかない。皆の顔を確認するが、真面目な様子だった。俺もこの話に嘘があるとは思えない。思えないからこそ、混乱する。
「…でも、この世界ヴェルトを創ったのは、創造主だよな?」
ようやく発言した俺に、オルクスは視線も向けずに頷いた。
「…説明は充分だろう、ヴィッツ。」
「あ、あぁ…そうだね。じゃあ、そろそろ行きますか。皆準備は良い?」
ヴィッツが声をかけると、ユスティーツが頬にこびりついた血液を腕で拭いながら答えた。
「遅いよ、さっさと壊そう!この先に創造主がいるのなら、直接聞けば良いのに!」
「待て。」
止めたのはイデーだった。険しい顔でオルクスを鋭い目で見た。
「先程逃げたというのは、何者だ?」
「エーファだ。」
オルクスは自らに向けられた視線にも動じない。
「追わなくて良いのか?彼奴あいつの目的は何だ?…何故汝は、殺されかけた?」
「イデー嬢、オル君は今…」
「黙れ、我に触れるな!!汚らわしい!」
止めようと肩に手を置いたヴィッツを、イデーは忌々しそうに払い落とした。ヴィッツは目を丸くしたが、特に何も言わない。
妹がヴェルトで死に、更に自分も死にかけた。表面に出さなくても、オルクスはかなり疲れているに違いない。しかしイデーとしては、この状況をしっかり理解したいと考えているらしい。
「目的は本人に聞け。俺を殺そうとした理由は…敵だからだろう。」
敵、と聞いた瞬間にユスティーツの目が輝く。
「じゃあ殺そうよ!悪い人は消さないと!!」
フェイが痺れを切らしたのか口を挟む。
「ねぇねぇ、いつになったらこのヒビを壊すのぉ?」
「そうだね…さぁ、もういいかな?」
二度目のヴィッツの問に、一斉に構えた。


ユスティーツの剣。

イデーの紅糸。

フェイのアーベント

ヴィッツの銃。

オルクスの歌声。

そして、俺の十字架クロイツ


ヒビから大きな音がしたと思うと、壁が崩れ落ちた。
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