俺達がチートであることを知られてはいけない。

無味

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第七章

有栖涼

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「活動停止?まさか、どうしてそんな急に?」
興味の無いフリを忘れて食い付いた俺に、真は少し驚いたようにスマホから顔を上げた。
「俺だって知らねーよ、あんなにファンがいたら色々面倒くさいんだろ。」
咄嗟にフェイの顔が浮かんだ。フェイが何かをしたのだろうか?あれだけ個人情報を調べていてはいつか犯罪でも起こしそうだとは思った。
「ほらこれだよ、載ってるだろ?」
真がネットのニュースをスマホで見せてきた。思わず奪いとって文字を追う。
[ナイトが活動停止?]
[インターネットでシンガーソングライターとして活躍中のナイトが今日、活動停止を発表した。理由は不明。]
ネット上での様々な反応が記事に付けられていく。
[ナイト様やめないで!][なんで?あんなに人気あったのに][ナイトのファンってキモい][ファンに殺されたんじゃね][スランプとか?][ナイト様ナイト様ってうるさいんだよ][名前ださ][ゆっくり休めばいいと思う。好きにさせてやりなよ]
[曲を出さないナイトに価値無いよな]

言葉を失う俺からスマホを取り返した真は、画面を見ると不愉快そうに顔をしかめた。吐き捨てるように言う。
「やめると言った途端にこれ。最低なやつらだな。」
何故このタイミングで辞めるのか?オルクスの身に何かあったのだろうか?ヴェルトに、今すぐ帰るべきだろうか?
思考がまとまらない。
自分でどうにかしようと思ったことなのに、自分が頼りなく思えてくる。俺はどうしたらいいと誰かに指示を求めてしまう。
(…確か、オルクス本人の名前って…)
フェイが言っていた事を思い出し、自分のスマホで調べてみる。
有栖涼、検索。
出てくるのは有栖財閥の事ばかりだった。しかし、やがてあるサイトにたどり着く。どうやら彼が自殺した時の記事らしい。死因は転落死。学校の屋上から飛び降りた。そして彼の顔写真はどこにも載っていない。卒業アルバムにも無いらしい。当時だけではなく、生まれてから小学生までの写真全てが消えてしまったそうだ。それも、彼の死んで翌日の事だ。フェイが疑う気持ちも分かる、これは明らかにおかしい。事故の話以外は一切有栖涼に関する情報が無かった。まるで…最初からこの世にいなかったように。
「俺…もう帰る。」
「早いな、もう少しいたらいいじゃん。」
「用事思い出した。」
ヴェルトで、シュティレに聞こう。オルクスはいないかもしれないが、シュティレならきっといる。そんな根拠のない自信があった。
俺は部屋から飛び出した。
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