俺達がチートであることを知られてはいけない。

無味

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第七章

友人

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ヨシュカの皆に報告するべきだろうか。突然、オルクスの視線を思い出す。俺を見下す冷たい目。
(とりあえず、今日は寝よう)
心配そうにこちらを見るミスィオーンに微笑むと、近くの宿に泊まる事にした。教会に行ったら、ヨシュカの誰かが待っているかもしれない。
ログアウトすると、もう夜中になっていた。スマホへの通知も大分溜まっている。画面を眺めている内に、意識を手放していた。

【ログインします】

ヴェルト八日目。
始めてから一週間以上になった。俺はヨシュカには会わない事に決めた。これは、俺と創造主の約束だ。俺は一人でヨシュカを守ってみせる。
そのためには、今日一日誰とも関わらない方がいい。俺は自分の教会へ向かった。
人はいつもいなかったはずなのに、今日はがらんとした教会に寂しさを感じている自分がいる。椅子に腰掛けると、ぼんやりと天井を眺めた。 突然、何かの通知の音がした。辺りを見回すが何も表示されていない。しばらく考えて、現実リアルのスマホの音だという事に気がついた。装置を外し、スマホを確認する。…しんからだった。
〈今暇?〉
短い文章。俺はログアウトすると返信した。
〈暇。どうかした?〉
〈新しいゲーム買ったから来いよ お前が読みたいって言ってた漫画もあるし〉
すぐに返事が来た。余程暇みたいだ。
(夜までヴェルトに居なければ、バレない…か)
〈行く〉

「お、来たか。」
「うん。何だか、久しぶり。」
真の部屋はお世辞にも綺麗とは言えず、あちこちに漫画やお菓子やその他のよく分からないゴミが散乱していた。真はその中の漫画を拾い上げると無造作に突き出した。
「貸すよ、読み終わったから。」
「ん、ありがと。」
そして新しいゲームを一緒にしたり、学校の愚痴を言ったり、お菓子の馬鹿な食べ方にチャレンジしたりした。
(ヴェルトじゃなくても、楽しい…)
俺の居場所はヴェルトだけではないのではないだろうか?
そんな事を考えていると、真が思い出した様に言った。
「…そうそう、ナイトの話知ってる?」
心臓が激しく鳴り出した。笑顔を張り付けると天気の話の様に何でもないふりをして答える。
「知らない、何かあったの?」
彼はスマホを弄りながら返事した。
「ナイトが活動停止するらしい。」
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