俺達がチートであることを知られてはいけない。

無味

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第七章

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「もう何なんだよ…。」
意識を取り戻すと、辺りは…否、画面は真っ暗だった。死んだのか、落ちたのか?
装置を外してベッドに倒れる。身体が重い。このまま寝てしまおうかと思い目を瞑った。
「いやいやいや待てよ!公式の人間が来るかもしれないのに!」
突っ込みを自分で入れ、虚しい気持ちになりながらヴェルトを再起動した。
再びログインすると、そこはヴィッツのいた洞窟だった。身体は紅糸でぐるぐる巻きにされて動けない。隣には、ぐったりした俺のドッペルゲンガー、バグがいた。
恐る恐る軽く体当たりしてみる。
ぴくりともしない。死んでいるのだろうか。
「誰かいませんかー!」
助けを求める声は洞窟に反響しただけだった。
(どうしよう、このままずっと拘束されたら…)
突然、耳鳴りのような高い音が俺の耳を襲った。地面に緑の輝く線が現れる。それは一面に引かれて、まるで碁盤の目のようだった。バグを見ると、バグの身体にも青い線が浮き出ていた。細かい線で、身体の輪郭がはっきりと見える。高い音がノイズに乱れると、音と共にバグの身体は形が大き崩れて、壊れたテレビの画面が切れたように消えてしまった。
「…今のは…?」
「おい!!大丈夫か!?」
光が差し込む。薄目で見上げると、そこにはシュピッツがいた。
「何でこんな場所に…今助けるからな!」
周りを見回す。線も耳鳴りも消えていた。
「シュティレに教えてもらったんだ、ここに捕まっているってな。」
呆然とした表情の俺を、拘束で疲れたと勘違いしたのか優しく微笑んで来た。俺は何とか返事をする。
「ありがとう…今すぐ、オルクス達を呼んで欲しい。」
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