俺達がチートであることを知られてはいけない。

無味

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第六章

改造

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「シャルは上手くやっているだろうか…。」
ふと、彼女の溢した言葉に僕は作業を続けながら答えた。
「シャル君以外の人も言ってあげたらどう、彼らなら重大な失敗はしないと思うけどね。」
ぶらぶらと揺られている彼女の細い足を視界の隅に入れて、彼女に跪く様なポーズで地面に広げたキーボードに指を滑らせる。この世界ヴェルトでは機械の本体などただの飾りに過ぎない。入力する手段さえあれば後はリアルの機械にお任せだ。
…入力、と言えば。僕は顔を上げて問う。
「君の後ろにくっついて来てた二人は誰だったの?」
イデー嬢は、生意気に感じてしまうほどにんまりと笑った。
「我の護衛だ。今はシャルを尾行している。」
「君の信者はとっくに散ったと思っていたよ…まだいたんだ。」
「オルクスに言っておけ、一度の敗北では我は屈しないと。」
再びキーボードとにらめっこを始めると、無視されたのが許せなかったのか足で脇腹を蹴られた。素足だからそんなに痛くない、良かった。
「…敗北って、聞いた所によると戦う前から降参したそうじゃないか。」
「盗撮の間違いだろう?その辺の監視カメラに我が気がつかないとでも思ったか?」
ふふ、なんて笑って誤魔化すとまた蹴られた。最初に痛がらなかったからか結構強めに入れてきた。痛がっておくのが今後の為ではあるけど、この神様気取りのお嬢さんが調子に乗るところを見るのはあまり好きじゃない。
「さてと、大体の準備はしたから…改造する前に今の紅糸を確認しておきたいかな。」
そう言った瞬間に糸が手首に巻き付く。どうやら待ちくたびれていたらしい。内心ため息をつきつつ立ち上がって、お酒が飲みたいなぁ、なんて考えてしまう。そしたらこんな子守りだって疲れないのに。オル君がお酒飲んだらまた洞窟に連れ戻すと言うからこの子の前でも下手な事は出来ない。人の弱味が大好物なようだし。
糸を握って測定を始めた。また暇になった彼女は足で僕の白衣の裾を弄んでは何が楽しいのか笑っている。一々報告するのも面倒だから勝手に改造を始めてしまう。
「…出来たよ、さぁ行こうか。」
沢山の羅列された文字をしまって、代わりに椅子を取り出した。
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