俺達がチートであることを知られてはいけない。

無味

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第六章

待機

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「…だけど、君達は…。」
ヨシュカじゃない。しかしもちろんそれは言えない。
『途中まで俺が行く。引き付けるだけならヨシュカでなくとも構わない。』
そう言ったのはオルクスだった。ユスティーツは信じられないといった顔でオルクスを見たが、すぐに目を逸らした。
「分かった、頼むよ。僕はシャル。ええと、名前は…。」
すると少年達は名乗らず逃げるように走っていってしまった。オルクスがそれを追う。
「じゃあシャルさん、準備しようか!」
ユスティーツとフェイはそれぞれの持ち場につこうと椅子を取り出していた。そういえば俺だけちゃんと作戦を聞いていない。
「…捕獲って、どうやるつもりなの?」
「羽交い締めかな!」
ヴィッツの便利道具でも出てくるのかと思いきや、物理的な手段でいくらしい。
「ヴィッツさんとイデーが紅糸改造し終わるまでは、捕まえていないと駄目だよ!」
「分かった、俺はどこに行けばいいかな?」
ユスティーツは地図を空中に映すとフォルストの隅を指差した。
「ここにいて!もしここにバグが来たら、すぐにオレを呼んで!囮の所に必ず来る訳ではないから…そして捕獲したらそのままエアモルデンまで移動して、届いた紅糸を使う!」
エアモルデンでなくても羽交い締めはできるらしい。最初からエアモルデンで誘き寄せればいい気もするが、他のエリアに比べてフォルストは人口が少ないという理由で選ばれたらしい。いるのはほぼイデーの部下達だから少ないというのは当たり前ではある。
「分かった、頑張ろうね。」
ソファーでその場所まで移動する。一段と木が茂っていて、日光すら葉に拒まれて薄暗くなっていた。熱帯のジャングルみたいだ。
「これ、来るまでずっとここで待っているのか…。」
退屈だ。油断してはいけない、バグはいつ起こるのか分からない。
でもずっと緊張したまま待ち続けるのも無理な気がする。俺はソファーに腰掛けたままブーフを読み始めた。
ここまで長かった。ようやくヨシュカが全員揃い、それからどうやって創造主に近付こうか考えていなかったけど…偶然にもこのバグが起こってくれた。上手く利用して、創造主…もしくは他の公式の人間に会う。成功してみせる。
[来たぞ]
突然オルクスからのメッセージが来た。早い。ブーフを閉じて顔を上げた瞬間、茂みが大きく揺れた。
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