男女比がおかしい世界に来たのでVtuberになろうかと思う

第3話

　というわけであれから5年経ち、俺は自堕落な生活をしていた。
　いや自堕落というほど変な生活はしていないが、所謂専業主夫のような生活だ。母は数ヶ月間映画撮影のために渡米しているため、家事はすべて俺がしている。俺は家事が嫌いではないため、全然大変だとは思わない。

　姉様と妹達は学校と撮影で家にあまりいないことが多い。七海姉様なんかは三日間家に帰ってこなかったときもあったくらいだ。逆に涼香姉様は今休暇期間らしく、バラエティーの出演以外だと家でWeTubeの撮影をしている。そのWeTubeの撮影を手伝うこともあったりしてそれなりに楽しくやらせてもらっている。

　そんなWeTubeでいま熱いのがバーチャルウィーチューバー、所謂VTuberだ。前の世界にもVtuberというのがあるのは知っていたが、あんまり見る機会がなかったため見る事はなかった。暇を持て余していた俺は少し見てすぐにはまってしまった。
　多分男が見るとは思っていないのでえぐい言葉遣いもよくするし面白い。今ハマっているライバーは風道プロに所属している『鶴留華乃《つるとめはなの》』さんだ。

「みんなおはよう！風道プロ所属一期生鶴留華乃です！」

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こんばんはだぞ
風道プロ唯一男にこびない女
今日は鶴コンか
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　丁度配信が始まった。鶴留さんの配信は基本雑談だが、たまに視聴者から寄せられた色んな作品を評価する鶴留コンテスト、略して鶴コンを開催しており、前回の鶴コンで男が投稿したBGMを佳作にも入れなかったことで男にこびない女という称号を手に入れた。

「そうそう、その前回の男性から何かクレームが来るかと思ってたんだけど、何も来ないんだよね～」

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えまじ？
男性って傲慢な物じゃないの
愛想つかされたんじゃねｗ
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「それなら悲しいなぁ～。その人の作品もいつもなら入賞してたけど前回はレベルの高すぎた作品が多かったからしょうがないかな」

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鶴留先輩流石っす
媚びないキャラでもないのに公平な審査ってすごいな
これが真の男女平等
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　あんまり特別扱いは好きじゃないし本当に信頼できるライバーさんだ。

「というわけで、第6回鶴留コンテスト、今回も始めていきましょう！」

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いえーーーい
888888
8888888
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「今回の作品数は51作品！今日中に処理できるわけないので最悪一週間位伸びるのも覚悟してね視聴者諸君よ」

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いつもより少ないな
80作品近かったのに今回どうしたよ
まぁ期間短かったからしゃーない部分もある
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「そう、短かったからね。じゃあ早速作品を見ていくよ～！今回もいつも通りランダムで選出するようになってるから順番は運次第！最初はこれ！」

　と言って画面に表示されたのは前回落選した男性の作品だった。

「お？これは音楽だね。作者名は...えﾞっﾞ、Touchさん？」

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うそだろ
折れずにまた送ってきたのか
男なのに根性ある奴やな
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「視聴続けてくれてたんだ！とりあえず聞いていこっか」