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第2話

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「ただいま~」

 この声は...

「おかえりなさい、七海姉様」

 3歳違いの七海姉様が帰ってきた。

「おかえり~。じゃあ私お風呂入ってくるね」

 そう言って涼香姉様は七海姉様と入れ替わる形でお風呂に行った。ここ半年、あまり二人の仲はよくない。いや、なにかを夜な夜な話し合っているときもあるが昼はあまり喋らず、喋ったかと思えば皮肉の言い合い。
 正直姉様方には仲良くしてほしいものだ。

「今日も疲れたわ。大知」

「はい」

 今七海姉様が俺に指示したのはお菓子と紅茶を持ってこいといういつも通りの意味だ。七海姉様は俺を家政婦や執事のように扱っている、ひどいぜ。
 なんだか13歳なのにすごい年上に見えるのは身長の差か余裕の違いか。まぁ今俺が考えてもあんまり意味はないように感じるので議論は後に回そう。

「今日も監督が無茶言ってきてね」

「うん」

「でもそれに反論できるのは私だけだから~」

 また始まった。姉様は自慢話が多いというか「こんな私もあるのよ」みたいなのをずっと話してくる。外の世界を知るには有用なのだがすこしめんどくさいときがある。

「大知も現場に来れたらいいのに」

「まぁ16歳越えてからかな」

「大知は芸能界来るつもりあるの?」

「いまのところはないかな」

 俺なんかが行っても芸能界で生きていけるとは思えないし。でもテレビ出てる人たちあんまり顔良い人いないからなぁ。俺の方がましな気はする。自惚れかもしれないが。

「そうなの?大知なら天下取れると思うけど」

「そんなことないよ」

「そもそも男性俳優がすくないしね。私の弟なんだから間違いないわ」

 姉様は自分に自信があると同時に弟の俺にも自信を持っているらしい。いや確かにテレビに出てる俳優よりかはマシだがフツメンである。テレビに出ている人はあまりチヤホヤされてこずテレビに出てやっとチヤホヤされるような人たちだ。
 姉様方が言うには、「テレビに出てない人は監禁されてるか女囲わせて何もしなくても生きていける環境だから出てないだけ」だと。生で芸能界を生きてる人たちは違うなぁ。

「「「ただいま」」」

「「おかえり~」なさい」

 そんな話をしているとお母様と妹二人が帰ってきた。

「おにーさまーだっこー」

 7歳の妹、菜音《なの》が言ってきた。うーんかわいい。

「はいはい」

「大知、申し訳ないけどご飯はもう出来てるかしら?」

「えぇお母様。もう用意しましょうか?」

「お願いするわ」

 なんやかんや話していると7時になっていた。丁度いい時間だな。

「菜音?ご飯の用意するからおりてくれる?」

「うん...」

 そんな悲しそうにしないでくれよ。なんか悪いことしてるみたいじゃないか。


_______________
振られました
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