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01:本編
03:夜会へ
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夜会、う~ん夜会かぁ……
そんな辺りに思考が移ったのは学園帰りの馬車の中。
どうしたものかと頭を捻っていると、執事のセリムよりお父様が領地の視察を終えて帰宅したと言う報告を受けました。
お父様は領地と屋敷を数日周期で行ったり来たりと大変お忙しい方なのです。
しかしその経営手腕は素晴らしく、我が子爵家は一般の子爵の水準よりかなり豊かです。
数日ぶりのお父様に会うべく、私は身嗜みを軽く確認してエントランスへ向かいました。
「お帰りなさいませ、お父様」
ドレスを持ち上げてちょこんとお辞儀します。
お父様からは「ただいま」の返事も無く、早速に婚約破棄の件を尋ねられます。
「あぁ私のリンデ、伯爵様に婚約破棄をされたと聞いたのだが、一体どういうことだい?」
うーん、一方的な破棄なのですがどのように話せば良いのか?
一瞬思案しかけましたが、取り繕っても意味は無いのではっきりと言う事にしました。
「地味な私とは生涯共に過ごしたくないそうです」
父、唖然。
言われた時は私も立ちくらみしましたからね。そのお陰で設定を思い出したのですが……
「それは、なんと言うか……」
言いよどむお父様。
お相手は爵位の上の伯爵様ですから文句も言えませんし、その口ぶりだとお父様もそう思っていたのでしょう。
そんなに地味かなぁ、私……
毎日本を読むか庭で花壇いじってるのがダメなのでしょうか?
「お父様、私はこれを機に社交に出ようと思います」
これが私が、先ほどまで頭を捻って考えた案の『とりあえず夜会』です。
逢えないプレイヤーに逢う為に、彼らが参加する夜会へ私も行く。そして邪魔をしてやるのです。
まぁ夜会と簡単に言っても、自宅で開くには爵位やら、費用の問題で非常に無理がある。
主催者の費用は言わずもなが、子爵が開く夜会に格上の伯爵を呼んでも参加されない可能性がありますからね。それでは本末転倒です。
と言うことは、私が他の夜会に出ればいいじゃない~と言う話です。
実際のところを言えば、ドレスやら貴金属の費用で、本や苗がどれだけ買えることか……と、頭が痛いですが、今回は未来の幸せが掛かってますから、多少の出費は目を瞑る事にしました。
ちなみにこの提案。
お家大好きインドア派な、私が外に出ると言うのだから、お父様はもちろん執事のセリムや侍女まで驚きの表情を見せています。
あちゃー、私ってばそんなにだったのか~
「そうだね、婚約者も居な、じゃなくて、少し自由に過ごすのも良いだろう」
お父様、オブラートに包むのを失敗したみたいになってますけど?
そこまで言ったならはっきり言ってくれた方が……
気を取り直し、自室に戻り再び思案の時間です。
さて夜会ですが、まずは彼らが参加する夜会を知らなければなりません。
目的が目的なので、それ以外まで参加する気はさらさらありません。無駄な浪費は極力避けなければ!
まぁこれらの問題は情報通の彼に頼るとして……
もう一つ問題。
夜会に行くと言う事は、エスコート役が必要と言う事。
今までなら元婚約者にお願いすれば良かった訳ですが、と言いつつも、デビューの年以来一度もお願いした事はありませんでした。
さて、今の私はフリーです。
つまりエスコート役が居ない!!
お父様にお願いするかな……と、少し消極的に考えてみます。
まぁとりあえず、読みかけの本でも読んどこう。
読書をしていると、部屋の扉がノックされセリムが来客を告げてきました。
「来客の予定は無いはずだけど?」
首を捻る私に、セリムは言わなくても知ってますと困惑した表情を見せてます。
地味に失礼だな……
軽く身嗜みを整えてエントランスへ急ぐと、お父様とプレイヤーのお友達的存在のアウグスト様が話しているところでした。
なぜにアウグスト様が?
「ようこそアウグスト様」
動揺を出さないようにドレスをちょこんと持ち上げて、顔は笑顔で挨拶です。
「やあ、ディートリンデ嬢。急に訪ねてしまってすまない」
と、ニコッと笑顔です。
アウグスト様は相変わらず糖度の高い笑顔でいらっしゃる……
「実は僕の屋敷で夜会を開くのだが、良ければエスコートを受けて貰いたいんだ」
アウグスト様の突然の申し出にお父様が驚き、
「えっ家の娘でいいんですか!?」
と、酷い言い様です。
確かに根暗な地味っ子ですけど、もう少し言い方があるでしょう。
私の方は、取り繕いつつ
「侯爵様主催の夜会に、私なんかでよろしいのでしょうか?」
と、暗になんで誘うんだよとオブラート攻撃です。
そもそもホスト側に、エスコートする令嬢は必要ないのです。夜会の目的の一例に嫁探しと言うのもありますしね。
そんなアウグスト様のプロフィールは、侯爵家の長男なので世継ぎです。年齢は適齢期ばっちりとこれまた良い年齢。さらに言うならお付き合いされている特定の女性(かた)は居ません。
ここでホスト側のアウグスト様にエスコートされると言う事は、ほぼ婚約披露の扱いになってしまいます。
私が返答に渋っていると、アウグスト様が言葉を続けます。
「実はモーリッツが我が家の夜会に出たいって、初めて声をかけてくれたんだよ!」
アウグスト様が超興奮されてます。
とても嬉しそうですが要訳しますと、初対面の相手から「お前んちの夜会でるわー、あとしくよろ~」って事ですよね。
ゲーム補正万歳ですか、そうですか……
きっとお話したこと無くてもお二人は親友なのでしょうね。
そう言えば妹ルートでは、友人のアウグスト様が開く夜会でTRUE END用のフラグ回収イベントがありましたね。
ふ~ん、つまりそう言うことね。
もちろん私は、
「喜んで、参加させて頂きますわ!」
そう、満面の笑みで返事しました。
そんな辺りに思考が移ったのは学園帰りの馬車の中。
どうしたものかと頭を捻っていると、執事のセリムよりお父様が領地の視察を終えて帰宅したと言う報告を受けました。
お父様は領地と屋敷を数日周期で行ったり来たりと大変お忙しい方なのです。
しかしその経営手腕は素晴らしく、我が子爵家は一般の子爵の水準よりかなり豊かです。
数日ぶりのお父様に会うべく、私は身嗜みを軽く確認してエントランスへ向かいました。
「お帰りなさいませ、お父様」
ドレスを持ち上げてちょこんとお辞儀します。
お父様からは「ただいま」の返事も無く、早速に婚約破棄の件を尋ねられます。
「あぁ私のリンデ、伯爵様に婚約破棄をされたと聞いたのだが、一体どういうことだい?」
うーん、一方的な破棄なのですがどのように話せば良いのか?
一瞬思案しかけましたが、取り繕っても意味は無いのではっきりと言う事にしました。
「地味な私とは生涯共に過ごしたくないそうです」
父、唖然。
言われた時は私も立ちくらみしましたからね。そのお陰で設定を思い出したのですが……
「それは、なんと言うか……」
言いよどむお父様。
お相手は爵位の上の伯爵様ですから文句も言えませんし、その口ぶりだとお父様もそう思っていたのでしょう。
そんなに地味かなぁ、私……
毎日本を読むか庭で花壇いじってるのがダメなのでしょうか?
「お父様、私はこれを機に社交に出ようと思います」
これが私が、先ほどまで頭を捻って考えた案の『とりあえず夜会』です。
逢えないプレイヤーに逢う為に、彼らが参加する夜会へ私も行く。そして邪魔をしてやるのです。
まぁ夜会と簡単に言っても、自宅で開くには爵位やら、費用の問題で非常に無理がある。
主催者の費用は言わずもなが、子爵が開く夜会に格上の伯爵を呼んでも参加されない可能性がありますからね。それでは本末転倒です。
と言うことは、私が他の夜会に出ればいいじゃない~と言う話です。
実際のところを言えば、ドレスやら貴金属の費用で、本や苗がどれだけ買えることか……と、頭が痛いですが、今回は未来の幸せが掛かってますから、多少の出費は目を瞑る事にしました。
ちなみにこの提案。
お家大好きインドア派な、私が外に出ると言うのだから、お父様はもちろん執事のセリムや侍女まで驚きの表情を見せています。
あちゃー、私ってばそんなにだったのか~
「そうだね、婚約者も居な、じゃなくて、少し自由に過ごすのも良いだろう」
お父様、オブラートに包むのを失敗したみたいになってますけど?
そこまで言ったならはっきり言ってくれた方が……
気を取り直し、自室に戻り再び思案の時間です。
さて夜会ですが、まずは彼らが参加する夜会を知らなければなりません。
目的が目的なので、それ以外まで参加する気はさらさらありません。無駄な浪費は極力避けなければ!
まぁこれらの問題は情報通の彼に頼るとして……
もう一つ問題。
夜会に行くと言う事は、エスコート役が必要と言う事。
今までなら元婚約者にお願いすれば良かった訳ですが、と言いつつも、デビューの年以来一度もお願いした事はありませんでした。
さて、今の私はフリーです。
つまりエスコート役が居ない!!
お父様にお願いするかな……と、少し消極的に考えてみます。
まぁとりあえず、読みかけの本でも読んどこう。
読書をしていると、部屋の扉がノックされセリムが来客を告げてきました。
「来客の予定は無いはずだけど?」
首を捻る私に、セリムは言わなくても知ってますと困惑した表情を見せてます。
地味に失礼だな……
軽く身嗜みを整えてエントランスへ急ぐと、お父様とプレイヤーのお友達的存在のアウグスト様が話しているところでした。
なぜにアウグスト様が?
「ようこそアウグスト様」
動揺を出さないようにドレスをちょこんと持ち上げて、顔は笑顔で挨拶です。
「やあ、ディートリンデ嬢。急に訪ねてしまってすまない」
と、ニコッと笑顔です。
アウグスト様は相変わらず糖度の高い笑顔でいらっしゃる……
「実は僕の屋敷で夜会を開くのだが、良ければエスコートを受けて貰いたいんだ」
アウグスト様の突然の申し出にお父様が驚き、
「えっ家の娘でいいんですか!?」
と、酷い言い様です。
確かに根暗な地味っ子ですけど、もう少し言い方があるでしょう。
私の方は、取り繕いつつ
「侯爵様主催の夜会に、私なんかでよろしいのでしょうか?」
と、暗になんで誘うんだよとオブラート攻撃です。
そもそもホスト側に、エスコートする令嬢は必要ないのです。夜会の目的の一例に嫁探しと言うのもありますしね。
そんなアウグスト様のプロフィールは、侯爵家の長男なので世継ぎです。年齢は適齢期ばっちりとこれまた良い年齢。さらに言うならお付き合いされている特定の女性(かた)は居ません。
ここでホスト側のアウグスト様にエスコートされると言う事は、ほぼ婚約披露の扱いになってしまいます。
私が返答に渋っていると、アウグスト様が言葉を続けます。
「実はモーリッツが我が家の夜会に出たいって、初めて声をかけてくれたんだよ!」
アウグスト様が超興奮されてます。
とても嬉しそうですが要訳しますと、初対面の相手から「お前んちの夜会でるわー、あとしくよろ~」って事ですよね。
ゲーム補正万歳ですか、そうですか……
きっとお話したこと無くてもお二人は親友なのでしょうね。
そう言えば妹ルートでは、友人のアウグスト様が開く夜会でTRUE END用のフラグ回収イベントがありましたね。
ふ~ん、つまりそう言うことね。
もちろん私は、
「喜んで、参加させて頂きますわ!」
そう、満面の笑みで返事しました。
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