14 / 47
14:南部
しおりを挟む
領主が領地に戻っていることも考えられたが、どうやら帝都の方に居た様で、ほんの二時間もせずにラースは二人の男性を連れてやって来た。
もちろん先ほどの侍女も連れてだ。
「我らをお呼びと聞いたが?」
挨拶は無く席にも座らず私を見下ろしながらそう言った。向けられている視線はきつくまるで睨みつけるようだ。
ついでに言えば敬語もなしね。
山猿が相手かとため息を吐きたくなった所でふと気づいた。南部と言えば先の戦争の折に避難民がライヘンベルガー王国から槍で突き返されると言う人道に反する様な事をされた地域であった。
それを思えば、その国の王女であった私はさぞかし憎かろう。
どうやら態度を改めるべきなのは私も同じようね。
「まずは座ったらどう?」
ああと言って二人の男が向かいのソファに座った。宰相は後ろに立つのかと思ったが、なぜかテーブルを迂回してこちらの側に座った。
その行動に領主と将軍が驚いて目を見開いている。
大丈夫なのかしら?
「皇妃様、こちらが南の領地を治めています。辺境伯のノヴォトニー侯爵とトロスト将軍です」
ネリウス将軍とは違い、南部は領主と将軍が別らしい。
トロスト将軍の爵位は子爵だそうで、旧クローデン王国の時代からノヴォトニー侯爵の領地で軍事を担当していたそうだ。イスターツ帝国になった後は、ヘクトールにその手腕を認められて〝将軍〟を名乗る様になった。
何にしろ言わずとも将軍を連れて来てくれたのは有り難いわね。
「私は貴方達に皇妃ではなくて、まずはライヘンベルガー王国の王女として、先の戦争の事を謝罪をすべきなのかもしれないわ。
でもここで謝っても私の自己満足しか解決しないのよ。だから止めておきます」
「はあ……」
突然のことに二人とも毒気を抜かれたような顔をしていた。
言葉だけの謝罪にはなんの価値も無い。さらに言えば私は公的に謝罪する様な立場でもない。だから話題には出したが流すことに決めた。
仕切り直しとして、こほんとワザとらしい咳を挟んだ。
「ねえノヴォトニー侯爵。貴方の治める南の領地に入る食糧はどこから来ているか知っているかしら?」
「東の領地からだ」
「その先は?」
「オシュケナート王国だな」
「ええそうね。オシュケナート王国には羨ましい事にただっぴろい平地があるそうよ。お陰で農業がとても盛んだそうね」
国土で言えばライヘンベルガー王国の三倍をやや超えるほど。とても暖かくて雨が多いから農作物がよく育つ。広大な土地を使って大量に作り、収穫した農産物は色々な国へ輸出していた。
何とも羨ましい。寒くて、そして高地ばかりのイスターツ帝国とは大違いだわ。
「それが何か?」
「東の領地はオシュケナート王国から入る荷に高い通行税を乗せているのよ。
それは知っているかしら?」
「もちろん知っていますとも」
「その通行税が乗った荷物は貴方の領地を抜ける時にさらに高くなるの」
「当然の権利ですな」
「それをやめて欲しいのよ」
「何を馬鹿な!
通行税を失くし皇妃は我が領地をどうやって維持しろと仰るか!?」
それを聞いた二人は、小娘が何を言いだしたと侮蔑の表情に変わった。
「通行税は一律で国が管理します。
今後はそれを通行した領地で均等に分けて配るつもりよ」
隣で聞いていた宰相からほぅと声が漏れた。
「そんな事をネリウス将軍が許すとは思えんが?」
その様な質問が出たと言う事は、どうやら南部は真ん中だから自分たちの取り分が変わらないと気付いたのだろう。
彼らの懸念通り、この提案で最も損をするのは東で、最も恩恵を受けるのは西だ。
だが西はマイファルト王国から食料が入ればこの流れに加わることが無くなる。そうなると南が一番得をする取引に代わると言うのはまだ言うべき情報ではないだろう。
「もちろん無理でしょうね」
「ならばこの話は無効ですな」
言い捨てると二人はさっさと席を立ちあがった。
「東を通さないとしたら、どうかしら?」
「はははっ皇妃は商人らに鳥のように空でも飛べと仰るつもりか?」
「違うわ。南部の山を抜ければいいのよ」
「何を馬鹿な、間にある山には道がないではないか」
「今は無いわね。でも狩人はそこを通っているのよ。だったら山からオシュケナート王国へ抜ける道は細くとも存在していると言うことだわ」
ノヴォトニー侯爵はその話に興味が惹かれた様で、再びソファに座った。
「つまり皇妃様は、我らに新たな道を作れと言うのだな。
だが道を作るには人手と金が要る。金があったとしても、舗装する石を切る職人は町の復興に追われてどこも人手が足りておりませんぞ」
思い浮かんだのはこちらに来るときの馬車だ。町の道に敷かれていた石が割れてお尻が痛くなるほど揺られた。
そう言った道に使う石は、大岩に油で綺麗な線を引いてから火で焼き、一気に冷やして割ると城から借りた本に書いてあった。
つまり知識としては私も知ったが、綺麗に割るのはきっと長い経験が必要であろう事は容易に想像できる。新しい街道にそれらの職人を回すよりも、まずは町の復興を優先するのは当たり前だろう。
「トロスト将軍は兵を使って樹を切りなさい。
そして切った樹を道に敷きなさい。これなら石が無くとも道になるわ。
それからもう一つ、その樹で商人らが安全に休めて、暖を取れる小屋を均等に作るのも忘れてはダメよ」
「なるほどそれならば職人は要りませんな。
ふむむ、平地を通る東より苦労する分、荷は高くなるが東部の税が乗らないから必然と安くなるか……」
「いいえ山越えの方が距離は近いわ。もしもそこを抜けられるのなら商人は東に大回りする必要はないのよ」
「ほほぉそれは良い。
ですが皇妃様、先に我らにそれを言ったのは失敗ですな。なんせどのように良い案だろうが、聞いてしまえば代金は不要ですからね。
我らが勝手に道を開き、通行税を取れば先ほどの話は反故となりましょうぞ」
「そうかもね。
あっそうそうラース、貴方はもう良いわよ。
約束通りこれをあげるわ、ご苦労様」
「はい確かに頂きました。では」
「おい宰相よ、待たれよ」
「何でしょうかトロスト将軍?」
「いま受け取ったのはなんだ」
「皇妃様に認めて頂いたマイファルト王国への書状ですがなにか?」
「どういう事だ?」
どうしますかとラースが私に視線を向けてきた。筋書きがとっくに見えている癖にワザとらしいわね。
まあ乗ってあげてもいいかしら?
「私がライヘンベルガー王国の第三王女レティーツィアの名で、マイファルト王国に友好の書状を送るのよ。
安心なさい、これで西部には安定した食糧が届く様になるわよ」
「なっ!?」
「あらどうしたの? 西部の民衆の不満が消えるのよ。これで内乱が終わるんですもの、もっと喜んでくれていいのよ、ふふふっ」
「つまり我らが仕入れた食糧は……」
「もちろん南部で消費して貰って構わないわよ」
「つまり我らは皇妃様に助けて頂いたと言うことか」
「そう取るのはご自由にどうぞ。
でもそうね、食糧以外にも東から入る荷は多いわよね。逆に西部から入る荷も多いわ。こちらでちゃんと通行税を均一に管理させてくれるなら、その荷を便宜しても良いわ」
「我らは貴女を子供だと思っていたが、どうやら認識を改める必要あるようですな」
「私を子供と思うのはイスターツ帝国の勝手だわ。
でもね私の祖国ライヘンベルガー王国では、十六歳は立派な成人よ」
「つまりですねノヴォトニー侯爵。年齢と才覚は関係ないと言う事ですよ」
「なるほどな、これは宰相の言う通りだ。分かった我らは皇妃様に力をお貸しすることを誓いましょう」
「あらありがとう。でも公にはまだいらないわよ」
「これは恐れ入った。何とも有り難いお言葉を感謝いたしますぞ」
まだまだ私の味方は少ない。
時期を見て貰わないとネリウス将軍からの風当たりが強すぎるでしょうね……
もちろん先ほどの侍女も連れてだ。
「我らをお呼びと聞いたが?」
挨拶は無く席にも座らず私を見下ろしながらそう言った。向けられている視線はきつくまるで睨みつけるようだ。
ついでに言えば敬語もなしね。
山猿が相手かとため息を吐きたくなった所でふと気づいた。南部と言えば先の戦争の折に避難民がライヘンベルガー王国から槍で突き返されると言う人道に反する様な事をされた地域であった。
それを思えば、その国の王女であった私はさぞかし憎かろう。
どうやら態度を改めるべきなのは私も同じようね。
「まずは座ったらどう?」
ああと言って二人の男が向かいのソファに座った。宰相は後ろに立つのかと思ったが、なぜかテーブルを迂回してこちらの側に座った。
その行動に領主と将軍が驚いて目を見開いている。
大丈夫なのかしら?
「皇妃様、こちらが南の領地を治めています。辺境伯のノヴォトニー侯爵とトロスト将軍です」
ネリウス将軍とは違い、南部は領主と将軍が別らしい。
トロスト将軍の爵位は子爵だそうで、旧クローデン王国の時代からノヴォトニー侯爵の領地で軍事を担当していたそうだ。イスターツ帝国になった後は、ヘクトールにその手腕を認められて〝将軍〟を名乗る様になった。
何にしろ言わずとも将軍を連れて来てくれたのは有り難いわね。
「私は貴方達に皇妃ではなくて、まずはライヘンベルガー王国の王女として、先の戦争の事を謝罪をすべきなのかもしれないわ。
でもここで謝っても私の自己満足しか解決しないのよ。だから止めておきます」
「はあ……」
突然のことに二人とも毒気を抜かれたような顔をしていた。
言葉だけの謝罪にはなんの価値も無い。さらに言えば私は公的に謝罪する様な立場でもない。だから話題には出したが流すことに決めた。
仕切り直しとして、こほんとワザとらしい咳を挟んだ。
「ねえノヴォトニー侯爵。貴方の治める南の領地に入る食糧はどこから来ているか知っているかしら?」
「東の領地からだ」
「その先は?」
「オシュケナート王国だな」
「ええそうね。オシュケナート王国には羨ましい事にただっぴろい平地があるそうよ。お陰で農業がとても盛んだそうね」
国土で言えばライヘンベルガー王国の三倍をやや超えるほど。とても暖かくて雨が多いから農作物がよく育つ。広大な土地を使って大量に作り、収穫した農産物は色々な国へ輸出していた。
何とも羨ましい。寒くて、そして高地ばかりのイスターツ帝国とは大違いだわ。
「それが何か?」
「東の領地はオシュケナート王国から入る荷に高い通行税を乗せているのよ。
それは知っているかしら?」
「もちろん知っていますとも」
「その通行税が乗った荷物は貴方の領地を抜ける時にさらに高くなるの」
「当然の権利ですな」
「それをやめて欲しいのよ」
「何を馬鹿な!
通行税を失くし皇妃は我が領地をどうやって維持しろと仰るか!?」
それを聞いた二人は、小娘が何を言いだしたと侮蔑の表情に変わった。
「通行税は一律で国が管理します。
今後はそれを通行した領地で均等に分けて配るつもりよ」
隣で聞いていた宰相からほぅと声が漏れた。
「そんな事をネリウス将軍が許すとは思えんが?」
その様な質問が出たと言う事は、どうやら南部は真ん中だから自分たちの取り分が変わらないと気付いたのだろう。
彼らの懸念通り、この提案で最も損をするのは東で、最も恩恵を受けるのは西だ。
だが西はマイファルト王国から食料が入ればこの流れに加わることが無くなる。そうなると南が一番得をする取引に代わると言うのはまだ言うべき情報ではないだろう。
「もちろん無理でしょうね」
「ならばこの話は無効ですな」
言い捨てると二人はさっさと席を立ちあがった。
「東を通さないとしたら、どうかしら?」
「はははっ皇妃は商人らに鳥のように空でも飛べと仰るつもりか?」
「違うわ。南部の山を抜ければいいのよ」
「何を馬鹿な、間にある山には道がないではないか」
「今は無いわね。でも狩人はそこを通っているのよ。だったら山からオシュケナート王国へ抜ける道は細くとも存在していると言うことだわ」
ノヴォトニー侯爵はその話に興味が惹かれた様で、再びソファに座った。
「つまり皇妃様は、我らに新たな道を作れと言うのだな。
だが道を作るには人手と金が要る。金があったとしても、舗装する石を切る職人は町の復興に追われてどこも人手が足りておりませんぞ」
思い浮かんだのはこちらに来るときの馬車だ。町の道に敷かれていた石が割れてお尻が痛くなるほど揺られた。
そう言った道に使う石は、大岩に油で綺麗な線を引いてから火で焼き、一気に冷やして割ると城から借りた本に書いてあった。
つまり知識としては私も知ったが、綺麗に割るのはきっと長い経験が必要であろう事は容易に想像できる。新しい街道にそれらの職人を回すよりも、まずは町の復興を優先するのは当たり前だろう。
「トロスト将軍は兵を使って樹を切りなさい。
そして切った樹を道に敷きなさい。これなら石が無くとも道になるわ。
それからもう一つ、その樹で商人らが安全に休めて、暖を取れる小屋を均等に作るのも忘れてはダメよ」
「なるほどそれならば職人は要りませんな。
ふむむ、平地を通る東より苦労する分、荷は高くなるが東部の税が乗らないから必然と安くなるか……」
「いいえ山越えの方が距離は近いわ。もしもそこを抜けられるのなら商人は東に大回りする必要はないのよ」
「ほほぉそれは良い。
ですが皇妃様、先に我らにそれを言ったのは失敗ですな。なんせどのように良い案だろうが、聞いてしまえば代金は不要ですからね。
我らが勝手に道を開き、通行税を取れば先ほどの話は反故となりましょうぞ」
「そうかもね。
あっそうそうラース、貴方はもう良いわよ。
約束通りこれをあげるわ、ご苦労様」
「はい確かに頂きました。では」
「おい宰相よ、待たれよ」
「何でしょうかトロスト将軍?」
「いま受け取ったのはなんだ」
「皇妃様に認めて頂いたマイファルト王国への書状ですがなにか?」
「どういう事だ?」
どうしますかとラースが私に視線を向けてきた。筋書きがとっくに見えている癖にワザとらしいわね。
まあ乗ってあげてもいいかしら?
「私がライヘンベルガー王国の第三王女レティーツィアの名で、マイファルト王国に友好の書状を送るのよ。
安心なさい、これで西部には安定した食糧が届く様になるわよ」
「なっ!?」
「あらどうしたの? 西部の民衆の不満が消えるのよ。これで内乱が終わるんですもの、もっと喜んでくれていいのよ、ふふふっ」
「つまり我らが仕入れた食糧は……」
「もちろん南部で消費して貰って構わないわよ」
「つまり我らは皇妃様に助けて頂いたと言うことか」
「そう取るのはご自由にどうぞ。
でもそうね、食糧以外にも東から入る荷は多いわよね。逆に西部から入る荷も多いわ。こちらでちゃんと通行税を均一に管理させてくれるなら、その荷を便宜しても良いわ」
「我らは貴女を子供だと思っていたが、どうやら認識を改める必要あるようですな」
「私を子供と思うのはイスターツ帝国の勝手だわ。
でもね私の祖国ライヘンベルガー王国では、十六歳は立派な成人よ」
「つまりですねノヴォトニー侯爵。年齢と才覚は関係ないと言う事ですよ」
「なるほどな、これは宰相の言う通りだ。分かった我らは皇妃様に力をお貸しすることを誓いましょう」
「あらありがとう。でも公にはまだいらないわよ」
「これは恐れ入った。何とも有り難いお言葉を感謝いたしますぞ」
まだまだ私の味方は少ない。
時期を見て貰わないとネリウス将軍からの風当たりが強すぎるでしょうね……
0
お気に入りに追加
200
あなたにおすすめの小説
【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
女の嘘で島流しの刑に処されることとなってしまいましたが……。~勝手に破滅へ向かうのを眺めるというのも悪くないですね~
四季
恋愛
アイリーン・ルーベンは王子イリッシュ・アーボンと婚約していた。
しかし彼には他に女がいて。
ある時その女ウルリエがついた嘘によってアイリーンは婚約破棄されたうえ島流しの刑に処されることとなってしまう。
私のことは気にせずどうぞ勝手にやっていてください
みゅー
恋愛
異世界へ転生したと気づいた主人公。だが、自分は登場人物でもなく、王太子殿下が見初めたのは自分の侍女だった。
自分には好きな人がいるので気にしていなかったが、その相手が実は王太子殿下だと気づく。
主人公は開きなおって、勝手にやって下さいと思いなおすが………
切ない話を書きたくて書きました。
ハッピーエンドです。
そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
大好きな旦那様はどうやら聖女様のことがお好きなようです
古堂すいう
恋愛
祖父から溺愛され我儘に育った公爵令嬢セレーネは、婚約者である皇子から衆目の中、突如婚約破棄を言い渡される。
皇子の横にはセレーネが嫌う男爵令嬢の姿があった。
他人から冷たい視線を浴びたことなどないセレーネに戸惑うばかり、そんな彼女に所有財産没収の命が下されようとしたその時。
救いの手を差し伸べたのは神官長──エルゲンだった。
セレーネは、エルゲンと婚姻を結んだ当初「穏やかで誰にでも微笑むつまらない人」だという印象をもっていたけれど、共に生活する内に徐々に彼の人柄に惹かれていく。
だけれど彼には想い人が出来てしまったようで──…。
「今度はわたくしが恩を返すべきなんですわ!」
今まで自分のことばかりだったセレーネは、初めて人のために何かしたいと思い立ち、大好きな旦那様のために奮闘するのだが──…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる