1 / 47
01:プロローグ
しおりを挟む
ライヘンベルガー王国の北側の高い山の向こう。その高地にはクローデン王国があった。なお両国の国の大きさは同じほどで、さらに両国の間に高い山があったから争いは無かった。
さてそのクローデン王国の国王が、王太子と共に事故で亡くなったと言う報告が入ったのは半年前の事だ。
国王がそれも世継ぎと共に亡くなったから政敵の策略か、それとも内乱の始まりか、別段珍しい事ではないと誰もが取るに足らない情報だと聞き流していた。
何故ならその様な不道徳な事を突き詰めて不興を買うよりも、新たな王の即位を祝い親睦を深める方がよっぽど自国の為になるからだ。
そして数週を待たず早々に新王が立っても国間の関係は変わらなかったから、やはりあの時の方針は間違っていなかったと確信した。
しかし新王即位から三ヶ月。隣国クローデン王国の情勢が一気に変わった。
旧王派と新王派が争い内乱が起きたのだ。
すぐに旧王派と新王派共に、『我らこそ正義、共闘を願いたい』と言う打診があったが、どちらが勝つとも知れない戦いでもあり、またこの時点では対岸の火事ゆえにライヘンベルガー王国は静観した。
内乱が三ヶ月目に入った頃、荒れ始めた国に耐えかねた民が山を越えてライヘンベルガー王国に避難してくるようになった。つまり避難民である。
最初の頃は近隣の領主の裁量で受け入れていたが、すぐに難民の数は一領主の裁量を超える人数に及んだ。
その後ライヘンベルガー王国が行ったのは、山を越えようとする民を槍で突き返すと言うもっとも非難されるべき行為であった。
さらに一年。ついに内乱が終わった。
勝利したのは旧王派だ。
しかしここでこの内乱の一番の問題が発覚する。彼らは旧王派と言いながら旧王の血族を誰も持っていなかったのだ。
ただしそれは新王が即位した時に、己の血族を全て殺したから止む無しと言う事情があったからだが……
内乱が終わって持ち上がった問題が誰が〝新たな王となるか?〟だ。
もはや旧王族の血族が居ないのだから誰もに権利がある。こうしてクローデン王国は長い歴史を終えてその名を失い、旧クローデン王国の領土は戦乱の時代に入った。
内乱から戦争に変わって二年ほど経った頃。ライヘンベルガー王国は、隣国を─ただしすでに国と呼べる存在ではなかったが─山猿と呼び馬鹿にするようになっていた。
やれ山猿がどこを攻めただの、山猿のボス争いが西にも飛び火しただのと、完全に馬鹿にする発言ばかりだった。
しかしさらに一年。戦上手な傑物が現れると隣国は一気に平定された。そして誕生した新たな国は自らをイスターツ帝国と名乗った。
新参者のイスターツ帝国は一応は勝利したが、まだクローデン王国の国土を全て掌握してはいない。
いまならば国力の差は歴然。さらに言うならば歴史あるライヘンベルガー王国が、新参のイスターツ帝国に先に挨拶をするなどあり得ない。
ゆえにライヘンベルガー王国は、使者でもないただの伝令に『以前と変わらぬ立場を期待する』とだけ書いた手紙を持たせて送った。
後はお前が訪ねて来いと言う意味を込めて……
イスターツ帝国を勝利に導いた英傑は、その才覚をさらに発揮する。
ほんの一年で旧クローデン王国の領土を全て掌握したかと思えば、その西にある隣国にまで攻めのぼった。
なお戦端を開いた理由は、かの国が新王派に組したからだと言う事であった。
イスターツ帝国は再び戦争の時代に入ったが、たったの二年で西部の国が二つ滅び、イスターツ帝国と名を変えた。
さてこの時点でライヘンベルガー王国とイスターツ帝国の国土の差は、ほぼ二倍になっていた。
ライヘンベルガー王国は即時に会議を開き、今後の国の方針を話し合った。
「イスターツは我が国に攻めてくるであろうか?」
「内乱から戦争、さらに西部へ侵攻。帝国の地は荒れています。これからは国政に力を入れる時でしょう。ですからその可能性は低いと思います」
「しかし明確な条約が結ばれている訳ではなかろう?」
「そうは言うがな、山猿相手に歴史ある我が国が、先に和平の使者を出すと言うのはどうだろう」
「しかし遅れれば奴ら攻めてくるやもしれませんぞ?」
「はははっ山猿は戦争だけは上手いからな。あの山も越えてくるかもしれんな」
「国議の最中に笑うなど真剣みが足りんわ!」
「なにを! お前たちこそ先日まで山猿と言って笑っておったではないか!
あちらの国土が広がったからとすぐに態度を変えるのか!?」
「おい若いの、血気盛んなのは構わんが建設的な意見を言えないのなら退席せよ」
年配の貴族から窘められて若い貴族二人は謝罪して浮かせた腰を再び席に戻した。
五日ほどの白熱した会議の結果、しぶしぶではあるがライヘンベルガー王国はこちらから使者を立てることに決めた。
ライヘンベルガー王国の使者は、その日初めてイスターツ帝国皇帝ヘクトールを見た。体は一回り大きく頑強で鋭い目に獅子の様な金髪。
目の前に立つとその威圧感にあてられて体が勝手に震える。本能がこの男には勝てないと言っているような感覚を味わった。
戦上手と聞いていたがこれほどとは……
「ライヘンベルガー王国の使者であったな。
戦後の処理で忙しく我の方から打診が出来ずに悪かった」
その威圧感とは裏腹に、ヘクトールの言葉はとても好意的であった。
これならば良い条件で終えられそうだなと外交官は密かに胸を撫で下ろした。
「皇帝陛下におきましては、イスターツ帝国の建国をお祝いいたします。
我が国の国王陛下よりのお言葉をお伝えいたします。皇帝陛下には今後も変わらぬ国交をお願いしたいと申しておりました」
「使者よ。一つ聞いて良いか?」
「はっなんでございましょうか」
「今後も変わらぬと言うが、それは何の話だ?
我が帝国は建国して間もないゆえに、そなたの国と国交を交わした覚えがないのだが、俺の間違いだったか?」
「これは大変失礼しました。
クローデン王国と変わらぬと言うのは失礼だと思いまして、その様な言い回しになりました。重ねてお詫びいたします」
「ほおクローデン王国と変わらぬか……
ライヘンベルガー王国は我らの前身である旧王派に組しなかったと記憶している。つまり困っても手を貸さぬ他人と言う意味であろうか?
それとも……、逃げる民を槍で突き返すと言う非道な行いの事であろうか?」
外交官は絶句した。
眼前の玉座に座るヘクトールの眼が爛々と光り、己を睨みつけていたのだ。
「どうしたなぜ黙る。口が不便ならば使者の役目が果たせまい。
それとも何か、ライヘンベルガー王国は我が帝国とは話す価値無しとして、そなたの様な口が不自由な使者をあえて寄越したのかな?」
「滅相もございません。
祖国に帰り、先ほどの事を間違いなくお伝えします。その後にもう一度改めてお伺いしたいと思っております」
汗をダラダラと流しながらなんとかそう言った。
彼は言わなければ殺されると錯覚するほどの殺気に当てられていたのだ。
「ふん良かろう。次はもっと良い返事を持ってまいれ」
外交官は這う這うの体で逃げ帰った。
再びライヘンベルガー王国の宮廷は紛糾していた。
なんせ持ち帰ったのは攻めてくると臭わせるような発言だ。山を盾に護れば負けることは無かろうが、それはクローデン王国の頃の話だ。
そもそも長い間平和にかまけていた我が国と、先日まで戦続きだったイスターツ帝国では兵の質が違うだろう。
それに加えて相手の国土は二倍。
その二倍がとても問題で、もう一歩だけ先に進めばライヘンベルガー王国とイスターツ帝国の領土は西部で交わる。
山があっても怪しいのに、それが無くなれば国が滅ぶ。
「友好を示す為には贈り物を出すしかありません」
「して贈り物はなんとする?」
「鉄が一番喜ぶでしょう」
戦争の後は武器に使われた鉄が不足する。送れば間違いなく喜ばれるだろう。
「ハッ馬鹿な事を。鉄を贈ればその鉄で武器を作り、我が国を攻めてくるぞ」
「しかし他に何が贈れましょう?」
勿論金銀などを贈るつもりだが量が無く見栄えが悪くなる。それよりも数と量で見た目を圧倒する様な物が望ましい。
「ならば食糧でどうだ」
「帝国の国土は二倍ですぞ。如何ほどを一体贈るのですか?」
「陛下におひとつお願いしたいことがございます」
ここで口を開いたのは、先日ヘクトールと会見した外交官であった。
「申せ」
「皇帝のヘクトールは二十台前半の若者でした。
玉座に一人座っておりましたので、どうやら結婚はしていない様子。そこで陛下にお願いがございます」
「予の娘を出せと申すか」
「ご明察恐れ入ります」
ライヘンベルガー王国の国王には三人の娘が居た。
年齢を聞けば長女のマリアナが二十歳で最も良いのだが、王には息子が居ないから、マリアナは将来の王を娶る義務があるから出すわけにはいかない。
だが次女と三女ならば~と言う事だ。
「二十台前半となれば、次女のアニータであろうな」
次女のアニータの年齢は十八歳。そして三女のレティーツィアは今年の誕生日を迎えれば成人の十六歳になるが、今は十五歳である。成人女性と未成年、どちらがより釣り合うかなど問うまでもない。
「姫には申し訳ないのですが、是非ともご決断下さい」
「よい娘も分かっておろう。我が娘と馬車十両分の食糧とする。よいな」
「ありがとうございます。次こそ必ずまとめて参ります!」
ライヘンベルガー王国の方針は決まった。
それから二ヶ月後、ライヘンベルガー王国の姫はイスターツ帝国に嫁いで行った。
さてそのクローデン王国の国王が、王太子と共に事故で亡くなったと言う報告が入ったのは半年前の事だ。
国王がそれも世継ぎと共に亡くなったから政敵の策略か、それとも内乱の始まりか、別段珍しい事ではないと誰もが取るに足らない情報だと聞き流していた。
何故ならその様な不道徳な事を突き詰めて不興を買うよりも、新たな王の即位を祝い親睦を深める方がよっぽど自国の為になるからだ。
そして数週を待たず早々に新王が立っても国間の関係は変わらなかったから、やはりあの時の方針は間違っていなかったと確信した。
しかし新王即位から三ヶ月。隣国クローデン王国の情勢が一気に変わった。
旧王派と新王派が争い内乱が起きたのだ。
すぐに旧王派と新王派共に、『我らこそ正義、共闘を願いたい』と言う打診があったが、どちらが勝つとも知れない戦いでもあり、またこの時点では対岸の火事ゆえにライヘンベルガー王国は静観した。
内乱が三ヶ月目に入った頃、荒れ始めた国に耐えかねた民が山を越えてライヘンベルガー王国に避難してくるようになった。つまり避難民である。
最初の頃は近隣の領主の裁量で受け入れていたが、すぐに難民の数は一領主の裁量を超える人数に及んだ。
その後ライヘンベルガー王国が行ったのは、山を越えようとする民を槍で突き返すと言うもっとも非難されるべき行為であった。
さらに一年。ついに内乱が終わった。
勝利したのは旧王派だ。
しかしここでこの内乱の一番の問題が発覚する。彼らは旧王派と言いながら旧王の血族を誰も持っていなかったのだ。
ただしそれは新王が即位した時に、己の血族を全て殺したから止む無しと言う事情があったからだが……
内乱が終わって持ち上がった問題が誰が〝新たな王となるか?〟だ。
もはや旧王族の血族が居ないのだから誰もに権利がある。こうしてクローデン王国は長い歴史を終えてその名を失い、旧クローデン王国の領土は戦乱の時代に入った。
内乱から戦争に変わって二年ほど経った頃。ライヘンベルガー王国は、隣国を─ただしすでに国と呼べる存在ではなかったが─山猿と呼び馬鹿にするようになっていた。
やれ山猿がどこを攻めただの、山猿のボス争いが西にも飛び火しただのと、完全に馬鹿にする発言ばかりだった。
しかしさらに一年。戦上手な傑物が現れると隣国は一気に平定された。そして誕生した新たな国は自らをイスターツ帝国と名乗った。
新参者のイスターツ帝国は一応は勝利したが、まだクローデン王国の国土を全て掌握してはいない。
いまならば国力の差は歴然。さらに言うならば歴史あるライヘンベルガー王国が、新参のイスターツ帝国に先に挨拶をするなどあり得ない。
ゆえにライヘンベルガー王国は、使者でもないただの伝令に『以前と変わらぬ立場を期待する』とだけ書いた手紙を持たせて送った。
後はお前が訪ねて来いと言う意味を込めて……
イスターツ帝国を勝利に導いた英傑は、その才覚をさらに発揮する。
ほんの一年で旧クローデン王国の領土を全て掌握したかと思えば、その西にある隣国にまで攻めのぼった。
なお戦端を開いた理由は、かの国が新王派に組したからだと言う事であった。
イスターツ帝国は再び戦争の時代に入ったが、たったの二年で西部の国が二つ滅び、イスターツ帝国と名を変えた。
さてこの時点でライヘンベルガー王国とイスターツ帝国の国土の差は、ほぼ二倍になっていた。
ライヘンベルガー王国は即時に会議を開き、今後の国の方針を話し合った。
「イスターツは我が国に攻めてくるであろうか?」
「内乱から戦争、さらに西部へ侵攻。帝国の地は荒れています。これからは国政に力を入れる時でしょう。ですからその可能性は低いと思います」
「しかし明確な条約が結ばれている訳ではなかろう?」
「そうは言うがな、山猿相手に歴史ある我が国が、先に和平の使者を出すと言うのはどうだろう」
「しかし遅れれば奴ら攻めてくるやもしれませんぞ?」
「はははっ山猿は戦争だけは上手いからな。あの山も越えてくるかもしれんな」
「国議の最中に笑うなど真剣みが足りんわ!」
「なにを! お前たちこそ先日まで山猿と言って笑っておったではないか!
あちらの国土が広がったからとすぐに態度を変えるのか!?」
「おい若いの、血気盛んなのは構わんが建設的な意見を言えないのなら退席せよ」
年配の貴族から窘められて若い貴族二人は謝罪して浮かせた腰を再び席に戻した。
五日ほどの白熱した会議の結果、しぶしぶではあるがライヘンベルガー王国はこちらから使者を立てることに決めた。
ライヘンベルガー王国の使者は、その日初めてイスターツ帝国皇帝ヘクトールを見た。体は一回り大きく頑強で鋭い目に獅子の様な金髪。
目の前に立つとその威圧感にあてられて体が勝手に震える。本能がこの男には勝てないと言っているような感覚を味わった。
戦上手と聞いていたがこれほどとは……
「ライヘンベルガー王国の使者であったな。
戦後の処理で忙しく我の方から打診が出来ずに悪かった」
その威圧感とは裏腹に、ヘクトールの言葉はとても好意的であった。
これならば良い条件で終えられそうだなと外交官は密かに胸を撫で下ろした。
「皇帝陛下におきましては、イスターツ帝国の建国をお祝いいたします。
我が国の国王陛下よりのお言葉をお伝えいたします。皇帝陛下には今後も変わらぬ国交をお願いしたいと申しておりました」
「使者よ。一つ聞いて良いか?」
「はっなんでございましょうか」
「今後も変わらぬと言うが、それは何の話だ?
我が帝国は建国して間もないゆえに、そなたの国と国交を交わした覚えがないのだが、俺の間違いだったか?」
「これは大変失礼しました。
クローデン王国と変わらぬと言うのは失礼だと思いまして、その様な言い回しになりました。重ねてお詫びいたします」
「ほおクローデン王国と変わらぬか……
ライヘンベルガー王国は我らの前身である旧王派に組しなかったと記憶している。つまり困っても手を貸さぬ他人と言う意味であろうか?
それとも……、逃げる民を槍で突き返すと言う非道な行いの事であろうか?」
外交官は絶句した。
眼前の玉座に座るヘクトールの眼が爛々と光り、己を睨みつけていたのだ。
「どうしたなぜ黙る。口が不便ならば使者の役目が果たせまい。
それとも何か、ライヘンベルガー王国は我が帝国とは話す価値無しとして、そなたの様な口が不自由な使者をあえて寄越したのかな?」
「滅相もございません。
祖国に帰り、先ほどの事を間違いなくお伝えします。その後にもう一度改めてお伺いしたいと思っております」
汗をダラダラと流しながらなんとかそう言った。
彼は言わなければ殺されると錯覚するほどの殺気に当てられていたのだ。
「ふん良かろう。次はもっと良い返事を持ってまいれ」
外交官は這う這うの体で逃げ帰った。
再びライヘンベルガー王国の宮廷は紛糾していた。
なんせ持ち帰ったのは攻めてくると臭わせるような発言だ。山を盾に護れば負けることは無かろうが、それはクローデン王国の頃の話だ。
そもそも長い間平和にかまけていた我が国と、先日まで戦続きだったイスターツ帝国では兵の質が違うだろう。
それに加えて相手の国土は二倍。
その二倍がとても問題で、もう一歩だけ先に進めばライヘンベルガー王国とイスターツ帝国の領土は西部で交わる。
山があっても怪しいのに、それが無くなれば国が滅ぶ。
「友好を示す為には贈り物を出すしかありません」
「して贈り物はなんとする?」
「鉄が一番喜ぶでしょう」
戦争の後は武器に使われた鉄が不足する。送れば間違いなく喜ばれるだろう。
「ハッ馬鹿な事を。鉄を贈ればその鉄で武器を作り、我が国を攻めてくるぞ」
「しかし他に何が贈れましょう?」
勿論金銀などを贈るつもりだが量が無く見栄えが悪くなる。それよりも数と量で見た目を圧倒する様な物が望ましい。
「ならば食糧でどうだ」
「帝国の国土は二倍ですぞ。如何ほどを一体贈るのですか?」
「陛下におひとつお願いしたいことがございます」
ここで口を開いたのは、先日ヘクトールと会見した外交官であった。
「申せ」
「皇帝のヘクトールは二十台前半の若者でした。
玉座に一人座っておりましたので、どうやら結婚はしていない様子。そこで陛下にお願いがございます」
「予の娘を出せと申すか」
「ご明察恐れ入ります」
ライヘンベルガー王国の国王には三人の娘が居た。
年齢を聞けば長女のマリアナが二十歳で最も良いのだが、王には息子が居ないから、マリアナは将来の王を娶る義務があるから出すわけにはいかない。
だが次女と三女ならば~と言う事だ。
「二十台前半となれば、次女のアニータであろうな」
次女のアニータの年齢は十八歳。そして三女のレティーツィアは今年の誕生日を迎えれば成人の十六歳になるが、今は十五歳である。成人女性と未成年、どちらがより釣り合うかなど問うまでもない。
「姫には申し訳ないのですが、是非ともご決断下さい」
「よい娘も分かっておろう。我が娘と馬車十両分の食糧とする。よいな」
「ありがとうございます。次こそ必ずまとめて参ります!」
ライヘンベルガー王国の方針は決まった。
それから二ヶ月後、ライヘンベルガー王国の姫はイスターツ帝国に嫁いで行った。
0
お気に入りに追加
200
あなたにおすすめの小説
【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
【完結】捨てられ正妃は思い出す。
なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」
そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。
人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。
正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。
人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。
再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。
デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。
確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。
––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––
他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。
前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。
彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。
私のことは気にせずどうぞ勝手にやっていてください
みゅー
恋愛
異世界へ転生したと気づいた主人公。だが、自分は登場人物でもなく、王太子殿下が見初めたのは自分の侍女だった。
自分には好きな人がいるので気にしていなかったが、その相手が実は王太子殿下だと気づく。
主人公は開きなおって、勝手にやって下さいと思いなおすが………
切ない話を書きたくて書きました。
ハッピーエンドです。
そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
【完結】偽物と呼ばれた公爵令嬢は正真正銘の本物でした~私は不要とのことなのでこの国から出ていきます~
Na20
恋愛
私は孤児院からノスタルク公爵家に引き取られ養子となったが家族と認められることはなかった。
婚約者である王太子殿下からも蔑ろにされておりただただ良いように使われるだけの毎日。
そんな日々でも唯一の希望があった。
「必ず迎えに行く!」
大好きだった友達との約束だけが私の心の支えだった。だけどそれも八年も前の約束。
私はこれからも変わらない日々を送っていくのだろうと諦め始めていた。
そんな時にやってきた留学生が大好きだった友達に似ていて…
※設定はゆるいです
※小説家になろう様にも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる