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おはよう

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「どうした?」

「いや、なんかもう…凄いなって。」

 お風呂あがりの軽くタオルオフだけしたもふもふシュロ。入浴前までフカフカだった体毛はぺったりと張り付いていて色気がある。そして濡れているからこそ筋肉が浮き出ているのが丸わかり。

「顔を隠して…どうした?」

「直視出来ないと言いますか…」

「……?乾かすところが見たいんだろう?ここに入って、魔力を流すんだ。」

 シュロが魔力を流すとブォーと音を立てて温風が出てくる。風つよいな。僕だったら飛ばされちゃうかもしれない。

 暫くしてフカフカになったシュロ。

「これはこれで反則じゃない…?」

 ふかふか…本当にふかふか…もっふもふ。くるりと後ろを向いて下着と下の寝間着だけ履いたシュロ。あああ、ふかふか。

「ほら。」

「うん?」

「…帰ったら腕に触れたいと言ってくれただろう?」

 その言葉にぽすりとフカフカに埋まる。何これ…しあわせ。

「腕じゃないのか?」

「大きな大胸筋とふっかふかなもふもふ…ここが1番です。」

「爪は当てないから抱き締めても…?」

「うん。」

「動くなよ?」

「ちょっと当たったくらいじゃ切れないよ。手、出してみて?」

 そっとシュロの胸から顔を上げて差し出された手を握る。爪も尖ってはいるけど触れただけじゃ切れない。つんつんしても刺さらない。動けば傷つけるとでも思っているのか緊張の面持ちで微動だにしないシュロ。チッチの事は持ち上げて歩いても普通だったのだから、僕だって大丈夫。シュロが切り裂こうとでもしたら簡単に出来てしまうだろうけど。

「しっぽは羨ましいし好きだけど、手も握りたいよ。」

「…あぁ。」

「ぎゅってしてみて?」

 両腕が背中に回ったのにそこから動いてくれない。

「シュロ?」

「どのくらいまで力を入れて良いのかがわからなくて不安だ。」

「ふふ。じゃあちょっとずつぎゅってして?痛かったらストップって言うよ。」

「痛くなる前に止めてくれ。」

「ん。」

 いや、ゆっくり過ぎる。少しずつすこーしずつ動く腕に痺れを切らしてぎゅうっとこっちから抱き締めた。

「このくらいが良いよ。」

「…痛くないか?」

 同じように抱きしめ返してくれる。
 ぎゅうっとしているから顔はフカフカ胸毛に埋まっているし、背中に回した手でもふもふもできる。そしてもふもふな腕にぎゅうされている。……しあわせ。

「このまま寝室へ行こう。」

 抱き締めていたのが抱き上げられて、足取り軽くのっしのっし。折角だから肩のもふもふも堪能。ここはここでとても良いです。



 寝室へと入ればチッチが寝かせたところから移動している。寝相が悪いのがまた可愛い。
 シュロがベッドに降ろしてくれたから、チッチを抱き寄せる。これでベッドから落ちることはないだろう。

「ヒカル。」

 名前を呼ばれて振り向こうとすれば、背中に当たる温かい熱。

「抱き締めて寝ても?」

「うん。でも、僕もチッチのように寝相悪いかもよ?」

「では寝ぼけてどこかへ行かないようにしておかなくては。」

 お腹に回った腕をぽんぽん。しっぽが足をタシタシとしている。腕の中には小さなもふもふがいて、大きなもふもふに囲われていて…はぁ、凄い。癒やし効果が抜群でうとうとと眠くなる。

「ヒカルに出逢えてとてつもなく幸せだ。ありがとうな、おやすみ。」

「んん。ぼくこそ、あり…がと。」

 髪にシュロの鼻先が埋まってフンフンとされている。あ、首も…ふふ。くすぐったい。クスクスと笑いながらいつの間にか目を瞑ってしまっていた。





「お、おにーちゃん…おきてる?」

「んん、うん?チッチおはよう。どうしたの?」

「ここどこぉ?」

「シュロのお家の寝るお部屋だよ。」

「だんちょーさんのおうち!起きたらしらないところでびっくりした!」

 そっか。寝ちゃったから説明も出来なかったんだ。シュロは…いない。起きたのかな。

「おうちたんけんします!」

「じゃあシュロを探しておはようって挨拶しよう?」

「します!」

 はしゃぐチッチに安心して手を繋ぐ。夜泣きするかと思ったけれど、朝までぐっすりだった。

「おにーちゃん!」

「ふは、朝から元気いっぱいだね。どうした?」

「ぎゅうってしてくれてありがとうね!」

「え?」

「いやなね、ゆめ、見なかったよ!ありがとう!」

「うん、じゃあお礼に沢山ぎゅうともふもふさせて?」

「それはだめぇ!」

 あ、また逃げられた。おいかけっこだな。走るチッチを追いかけようとしたところで寝室のドアが開く。

「ヒカル、チェチリ、おはよう。」

「だんちょーさんおはよぉ!ねんねありがとうねぇ。チッチおうちたんけんしてもいーい?」

「良いぞ。転ぶなよ?」

「はーい!」

 走って行ってしまったチッチを見送って、そっとシュロに近づく。
 ぽすり。

「おはよう。良く眠れたか?」

「シュロおはよう。もふもふに挟まれて朝までぐっすり。」

「ここ、寝癖がついているぞ。」

 昨夜簡単に怪我などしないと伝えたからか、そっと頭に触れる格好良い手。

「ん。んん~!」

 フカフカが気持ち良くて胸元に頭をぐりぐり。

「こら、余計に変な跡がつく。」

 そう言いながらも髪に差し込まれるシュロの鼻先。手を伸ばして頬あたりをさわさわ。首もふかふか。

「はぁ、良いなぁ。」

「本当にそればっかりだな?もう俺の体はヒカルのものだと思って好きに触れてくれ。」

 そう言って首筋にも鼻を擦り付けてくるものだから片手でショリショリと掻いて、シュロの鼻に僕も自分の鼻をちょんとくっつけた。
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