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泣きっ面にスズメバチ
しおりを挟む僕は芋虫。柑橘の葉っぱが大好きな芋虫。家はみかんの木。ここの葉っぱは美味しい。
とげとげが痛くて困るときもあるけれど、それでもこのみかんの葉っぱは美味である。
この辺りにみかんの木は一本だけ。そしてみかんの木を家にしているのも僕だけ。
あとは見渡す限りキャベツの家が広がっている。
右も左も前もキャベツ。キャベツの家には沢山の可愛い青虫たちが住んでいる。
小さくて、黄緑がかった綺麗な緑色。僕は生まれたときは黒くて、皆にうまく馴染めなかった。
気持ち悪いと沢山言われた。いつかあの子は、「ガ」と呼ばれるとっても怖くて恐ろしいものになるのだと影で囁かれているのも知っている。
悲しくて、悔しくて。でも僕みたいなのはどこにもいなくて。気付けば黒かった皮膚や髪は皆と似ている緑色になったけれど、皆より濃い色で、黒いところが斑に残っていて。
それに、何よりも僕は大きい。皆よりむちむちとしているし皆より食べることが好き。
はぁ、とため息をつくが状況は変わらない。
ひとりで眠って、起きて、ごはんを食べる。
少しだけ考えて、よし、と気合いを入れた。僕の家の左右と前はキャベツの家だけど、後ろには森の入り口が見える。ここには可愛い青虫たちは近寄らない。
何でも、僕たちを狙う怖いものたちがいるかもしれないとの事。でも、僕はもう一人でいるのが嫌なのだ。一人が嫌でぐすぐすとする、泣き虫な自分が嫌なのだ。あの森へ入れば、僕と同じようにむちむちとした大きな芋虫がいるかもしれない。大きな不安と、少しの希望。
だけど、びびりな僕は少しだけ。今日行ってみるのは少しだけ、と心に決めて一歩を踏み出したのだった。
あの日、決意をして良かった。
僕は友達を手に入れたのだ。同族ではないけれど、羽があって飛ぶことも出来る凄く格好いい友達。
綺麗で優しい、僕よりお兄さんな友達。
川へ落ちそうになった僕を救ってくれた友達。
今日も僕は歩いて友達の家へ行く。彼はここに住めば良いと言うけれど、僕は何よりもみかんの葉っぱが好き。そう言えばふわりと微笑んで、みかんの葉が要らなくなったら一緒に住もうね、と提案してくれる。
彼の家の周りには色とりどりの花が沢山咲いている。
花が好きなのかと問えば、答えは否。
何でも、将来の為に種を植えたり、森の花を植え替えたりしているのだそう。
彼本人は、「肉食」だそうで、見かけによらないなぁと心の中でぼんやり思う。
彼といるといつもぼんやりしてしまう。
彼は僕とキスするのが好きだ。そして、僕も彼とキスをするのが好き。
「んッ、んぁ、」
何度も繰り返すキスや舌を使って送り込まれる唾液を飲み込むと何だかふわふわとぼんやりしてしまう。
「んむぅッ、ふ、あ。」
はぐはぐと舌を噛まれてぞくぞくと不思議な感覚がする。
彼は僕の体もさわさわとするけれど、青虫の皆よりスタイルが悪いし、良いところなんてないのに彼はなぜ僕をこんなに、壊れ物を扱うように優しく触ってくれるのだろう。
「あぁ。可愛い。生殖器が出来上がるのが待ち遠しいな。」
遠いところで彼の声が聞こえた。でも、僕はキスに夢中で。なんだか体がムズムズとして、だけどどうしたら良いのかがわからなくて、抱きついた彼の体に自分の体を擦り付けるのに忙しかったのだ。
今日は彼が僕にってみかんやゆずの葉っぱを用意してくれていたから、彼からねだられた事もあってお泊まりすることにした。
友達の家に泊まるなんて初めてでドキドキが止まらない。葉っぱも美味しいし、彼といれるだけで嬉しい。
離れがたくて二晩も泊まらせて貰って、まだいるように言われたけれど、家が心配で、反対を押しきって久しぶりに自分のみかんの木に帰って来た。
家へ入る前に異変に気づく。キャベツの家の方から生活音が聞こえない。いつもは聞こえる話し声も聞こえない。
シーンとしているのが怖くて、一番近くの家のチャイムを押すが応答はない。
青虫たちとは仲良くなれなかったけれど、あからさまに無視されることはなかった。
立て続けにチャイムを鳴らして歩くが誰も応答しない。
異様な雰囲気が怖くて、涙が溢れて、ふらふらと歩く。ただ、歩くだけなのに僕は急激に眠くなってきてしまって、頭が重い。体も重くて、上手く歩けなくなってくる。足が縺れて、転ぶ。そう思ったのに衝撃は襲って来なかった。
「もう、だから引き留めていたのに。困った子だね?」
ごめんなさい。もう、とっても眠いの。
声に出せたかはわからないけれど、ここのところ慣れすぎてしまった彼の匂いを胸一杯に吸い込んで、深い深い眠りについた。
パキ、パキ、と固まっていた体が少しずつ解れていく。
視界に入る少し伸びた髪は緑じゃなくて黒色。肌は白っぽいけれど、もう、斑模様は見当たらない。
そして無視できない背中の違和感。
体はまだ自由に動かせないけれど、横向きに寝ている僕の背中側には彼の気配がする。
ここは彼の家の、彼のベッドだ。
「、ス…ピナ」
「シュカ、起きた?体調はどう?」
後ろから覗き込みながら、髪をさらさらと撫で付けてくれるスピナ。
「…ん。だい、じょぶ。でも、うごかない。」
「ふふ。シュカは蛹になって、羽化したんだよ。前もとっても可愛かったけど、今はとっても綺麗。」
少しずつ動かせるようになるよ、と微笑んでほっぺにキス。そこじゃ嫌なのに。じとっと覗き込む瞳を見つめれば、嬉しそうに笑ったスピナに深く口付けられた。
まだ、口も完全には動かせなくて、流れ落ちた唾液が勿体ない。
本当はもっと舌も絡ませたいのに。
「やっとだよ。やっと繋がれる。」
後ろから伸ばした手が、僕の胸に回って、そこを撫でる。ぴくりぴくりと反応する体が恥ずかしくて、スピナの手がおもむろに掴んだそこにもびっくりした。
「ひゃあっ、あ、な、に?」
「ここはね、おちんちんだよ。大人になったシュカの気持ちよくなれるところ。」
ちゅこちゅこと上下に擦られて、濡れた音がする。
「あッ、やあっ、だめ、だめぇ。」
「ダメじゃないよ?このおちんちんはね、毎日こうやって擦ってあげようね。毎日白いのを沢山出すのが体に良いからね。」
「やぁぁっ、何かでちゃうよお。」
いいよ、と強めに擦られてピュクピュクと白い液体が出た。気持ちが良くて、良すぎて体が跳ねる。
「上手にイケたね。可愛い。次はここ。ここは、可愛いシュカにも前からあるよね?でもね、大人になると出すだけじゃなくて、入れるところになるんだよ。」
ここ、と言いながら指先が触れるのは僕のおしりの窄まり。
「や、あ。そこはだめぇ。」
「何で?こんなに可愛くぴくぴく動いているよ?本当にダメ?」
蕾のしわのところに短く整えられている形の良い爪の先を引っかけて、かりかりと優しく引っ掛かれる。
「だ、だめなの!」
「本当に、ダメ?止める?」
一瞬、少しだけ指先が入って直ぐに抜ける。
「ふぁっ、」
「ね、本当にダメ?」
トントン、と一センチ程入って、直ぐに抜いて、と繰り返されて僕は、もう、
「や、だ。スピナ、やめないで…もっと…して?」
「…やばい。今のは、キタ。」
「やぁぁぁッ、アッ、激しいよお」
根元まで突き入れられたスピナの指がぐちゅぐちゅと無造作に動く。
体も大分動くようになって、増やされた指の動きに合わせて上下に動く。
「あぁッ、!!」
スピナの指が僕の中のしこりを刺激するととてつもない快感に襲われた。
「ここが二つ目の、大人のシュカが気持ち良くなれるところ。」
「ひやあ、アッ、アァッー!」
ぴゅくりと先ほどよりも少量の白いものが飛んで、脱力すればコロリと横向きからうつ伏せに転がされる。
「まだ羽化したばかりだから、羽を潰さないようにするからね?」
ぺたりと脱力している僕の上半身の下に枕を入れて、おしりだけ、高くあげられる。
「とっても、綺麗だよ。」
そう言って、羽を優しく撫でられれば体の強張りが和らぐ。
「シュカ、ごめんね。好きなんだ。好きなのに、大切にしたいのに、ずっと本能が疼いて、刺したくて仕方がなかったんだ。」
切なげに、好きだと伝えられて、心が嬉しいと叫ぶ。
「僕も、スピカが好きだよ。助けてくれたときから、ずっと好き。」
そう伝えると同時に指とは比べ物にならない質量のモノが刺し込まれた。
「あぁぁぁぁッ!」
「、シュカ。僕たちの先祖たちは毒を持っていたけれど、今の僕たちが持っているのは、媚毒なんだ。ただ、凄く気持ちよくなっちゃうだけだから…だから…安心して、乱れて。」
ごちゅごちゅと激しく刺されて、最初に注がれた毒が全身に回る。
これは猛毒だ。媚毒なんかじゃない。心が張り裂けそうな程の、恋の劇毒。
ブンっとスピカの背中から腰に響く重低音。
咲き乱れている花たちの中からお気に入りを選んでいたのに。その音を聞くだけで体が疼くなんて。
毒に侵されてしまったのだから、仕方がないよね、
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今度はスズメバチ視点で😄
harumi19661121様
ありがとうございます…!
可愛いと言って頂けて嬉しいです🥺
いもむしさんはおっしゃる通り揚羽蝶になりました。
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スピナ視点、真っ黒になりそうですね😌😌😌
生まれたてでもにょもにょしていたところから狙いを定めていたスピナさん。もし執筆できたらまた投稿するのでその時は読んでやってください~!
すごく好きな話です可愛かった😊
HALU様
ありがとうございます🥺
そう言って頂けて嬉しいです…!