可愛いあの子を囲い込むには

まつぼっくり

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第二章

仲良くお買い物

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 シズカもやっと慣れてきたエルフの里を隣り合って歩く。
 まずは家具屋に行って小さくて脚の長い椅子を依頼する。

「あの…!落ちないようにテーブルにここの肘置きがくっつくと良いと思うんですけど、どうですか?」

「あぁっ!良いな!テーブルの高さは?」

「あ…高さ測るの忘れちゃいました……」

 しょんぼりするシズカは可愛いでしかない。

「メモしてきた。」

 紙を渡せば途端に嬉しそうに微笑む。

「ありがとう、リオ。」

「ん。」

 自宅やパン屋の家具もこの家具屋に頼んでいたから色や形はすんなりと決まり、出来たら届けてもらうように頼む。

「次はお洋服かな?」

「だな。シズカの服も新調しよ。」

「僕のは沢山あるからいらないよ?」

 シズカは中々自分の物を買おうとしないから服屋も一緒に行くのは久しぶり。勝手に見繕えば着てはくれるが、出来れば好みのものを贈りたい。俺にとってはマオの服よりシズカの服を買う方が重要である。
 話しながらカランコロンと軽い音をたてる扉を開けて中へ入ればいつもの店員。

「いらっしゃい、どうぞー。あぁ、なんだステラリオか。」

「何だとは何だ。」

「私は可愛いシズカちゃんが好きなのよ。エルフ特有の綺麗な顔はしているけど、貴方は好みじゃないわ。でも、まぁ、貴方が来るって事はシズカちゃんのお洋服だろうから、最高級品を買って行きなさい。」

 この女はうるさい。兎に角うるさいのだ。だがエルフの里ではこの店が一番良い物を取り揃えているから仕方がない。半身がいる身ではあるから危険もないしな。

「こんにちは。」

「はい、こんにちはー。って、あらやだ!シズカちゃんいたのね!もう!ステラリオはちゃんと言ってよね…!」

 俺の後ろからそろりと顔を出して挨拶するこの子は良い子過ぎる。

「今日はどうしたの?何が必要?お洋服よね!?これとかこれなんかが新作でね、シズカちゃんに似合うと思っていたのよ!」

 こいつの圧が強いから押されてはいるが、しっかりと俺の前まで出て見上げる。

「シャルカさんこんにちは。今日は小さな家族が増えたのでお洋服のお願いに来ました。」

「家族…?」

「白いほわほわだったマオさんわかりますか?あの子が小さな人型になりまして…それで、翼が生えていて飛べるんです。」

 このくらいの大きさで…翼を出す穴が…と話しているシズカの説明を聞きながらすぐにスケッチブックを取り出してガリガリ描いているシャルカ。

「小さいわね。」

「小さいんです。お願い出来ますか?」

「当たり前じゃない!小さくて可愛い子は大好きよ!サイズはざっとでも魔法で何とかなるだろうけど…翼の穴はちゃんと測りたいわね。連れてこれる?」

「今日は食べ疲れて寝てしまって…明日でも良いですか?」

「えぇ。デザインだけ考えておくわ。」

 とりあえず五着くらい?と聞かれて頷く。

「明日、リオがお仕事の時に一緒に着いてきても良い?」

「転移で帰るなら、で良いか?」

「うん!ちゃんと転移します。」

 明日も会えるわぁ、と笑顔なシャルカ。

「次はシズカちゃんのお洋服かしら?」

「あ、ごめんなさい。僕は先日リオから贈られた服が沢山あるので…」

「いや、あれは薄手だったから厚手のものを増やそう。……シャルカ。」

 声をかければ小走りで両手一杯に抱えて持って来る。

「ノルマはマオと同じ枚数な?」

「いらないよ?沢山貰ってる。」

「これから寒くなってくるから厚手の服は必要よ?それに…あ、この黒地に銀糸の外套はどう?シズカちゃんの艷やかな黒髪とステラリオの悔しいけど綺麗な銀髪のように綺麗でしょう?」

 シンプルなデザインのそれは確かにシズカに似合いそうであるし、何よりお互いの髪の色というのが気に入った。

「俺の髪はシズカが手入れしてくれているからな。」

「惚気はいらないわ。」

 俺の髪と同じ色と言われて悩むシズカ。

「それシズカのはフード付けれるか?」

「勿論。」

「んじゃ銀ボタンもつけて。」

「あら、良いわね。」

「リオ!」

 勉強家なシズカは物価や市場も勉強しているのだろう、焦ったように袖を引かれるが気にせず艷やかな髪を撫でる。

「俺のはフードはいらないから襟つけといて。」

「あら、お揃い?悔しいけどお似合いでしょうね!銀ボタンは?」

「あー…シズカ、俺のはどういうのが合うと思う?」

「お揃い…」

 うれしい、と呟いてシャルカに招かれて装飾の見本を選ぶシズカは文句なしに可愛かった。





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