純情令嬢は執事の大きすぎる愛に包まれる。

本編

ルイの計画

ルイside

『やっぱり言って下さらなかったか…』

盗み聞きなんて、褒められたことではないけれどつい。

分かってはいた。
誰が悪いわけでもない。

マイラ様は家族を悲しませたくないんだ。

もし、逆の立場だったら僕は迷わず公言するが。

相手にそれを求めても仕方がない。

｢ルイ様｣

ボーイが駆け寄ってきた。

｢ルイ様、見つけました。｣
｢そうか。お相手はなんと？｣
｢ぜひ一度お会いしたいとのことです｣
｢なるほど…ご苦労。｣

マイラ様と初めて口付けを交わした時から、進めていた計画。

家柄が足りないなら、探せばいい。
僕の盾を。

幸い、僕の素性は明らかじゃない。

どこぞの貴族の一族に紛れこもう。

無謀な計画かと思われた。

しかし、パーティで割と言われるこの言葉。

“貴方の目の色、どこかで見た事あるわ”
“ホーキング侯爵の色に似ているわ、その藍色の瞳”

ホーキング侯爵……。

存じ上げないが、ここを利用するしかない。

僕に忠誠心を誓ってくれているボーイ達に、居場所を突き止めさせた。

絶対に他の人に知られてはいけない計画。

マイラ様のために、やるしかない。


……僕は、ホーキング公爵の子孫になりすます。


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｢レオン様。少し休暇を頂きたいのですが｣

早速、取り掛かった。

｢うむ。いいだろう。存分に羽を広げておいで｣

少し、というのは言葉のあやだ。

ホーキング侯爵に取り入るのにかかる時間は未知数。

僕は、一旦ウォールデン家から身を引かなければならない。

なんの疑いも持たずに、了承して下さるレオン様に罪悪感を感じつつも部屋を後にした。