純情令嬢は執事の大きすぎる愛に包まれる。

本編

テオの牽制

ルイside

眠るマイラ様にそっと、布団をかけ身支度を整えた。

いつまでも眠っているわけにはいかない。
僕にはやる事があるんだ。

部屋を出る。

｢ルイ｣
｢テオ様。どうされましたか。｣

僕を見据えるその目は全てお見通しのようだ。

｢あまり多くは語らない。…マイラをあまり弄ぶな｣
｢………なんの事でしょうか｣

｢お前にマイラの一生を担う実力はあるのか。マイラの全てを奪っておきながら、今後時が来た時に、他の者にすんなり渡せるのか。｣
｢……………｣
｢お前がそんな簡単な男じゃないことは分かっている。けれど、世の中愛だけではどうにもならない事もある｣

｢…………｣
｢離れる覚悟が無いのなら、あまりこの愛を膨らませないようにしろ。それがマイラへの本当の愛だ｣

賢いお前なら分かるな？
テオ様がじっと見つめる。

｢お言葉ですが、｣

｢僕は離れる気など毛頭ないのですよ。なにがあろうと、ね｣

｢｢………………｣｣
しばらく、お互い目線を逸らさなかった。

ふぅ。とテオ様がため息をつく。

｢お前を一目見た時から、その貪欲さを買っていた。俺には分かる。俺と同じ匂いがするからな。野心家で、貪欲で、…欲しいものへの凄まじい執着｣
｢………………………｣

｢いいか。これだけは言っておく。マイラを悲しませるな。兄として、それは許さない。｣
｢もちろんです、言われずとも｣

どちらからともなく、その場を去る。

テオ様のハイエナのような嗅覚。

もう少し時期を置こうと思っていたが、予定を早めよう。

僕がマイラ様と添い遂げるために、なにかが足りないというならば。

僕はそれを手に入れるまでだ。