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本編
楽しいおしゃべり
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ルイside
それから僕たちは芝生に腰掛けた。
「ねぇ、覚えないかもしれないからもう一度言うわ。私、マイラよ。マイラ…」
「マイラ・チェルシー・ウォールデン、様…でしょ?」
忘れるわけない。
あの日の君との会話、全て覚えている。
「まぁ、あなたすごいわ。」
僕が覚えていたことに驚いた様子のマイラ。
「マイラと呼んで?あなたの名前は?」
「…ルイ」
「ルイ。いい名前ね。」
ニコッと笑うマイラ。
あぁ、その笑顔…。
その笑顔が僕は大好きだ。
花のように可憐で、しなやかで美しい。
どうしてももう一度見たくて…。来て良かった…。
話をしているうちに僕はすっかりマイラに心を奪われた。
好きな花、好きな天気、好きな物、好きな動物、マイラの両親の話、僕の教会での暮らし…
僕とマイラを取り囲むなにもかもが違う。
けれども、それを感じないほどマイラと話すのは楽しかった。
お屋敷の外に出たことの無いマイラは、僕の話をとても楽しそうに聞いてくれた。
コロコロと可笑しそうに笑い、その大きな目で僕をしっかり見つめて。
僕とこんなに真正面から話をしてくれたのは、君が初めてだ。
「ねぇ、前髪長いと邪魔じゃないの?」
ふと、マイラが僕の顔に手を伸ばす。
「あっ…」
パッと顔を逸らした。
「あら、ごめんなさい。」
「ううん…」
じぃっと僕の顔を見つめるマイラ。
「え、と…なに?」
「良かったらまた見せて欲しいわ、あなたの目。」
「…………」
人にこの目を見せた時の反応がどうしてもトラウマになっていて、怖さを感じる。
マイラに気持ち悪がられたらどうしよう。
せっかく楽しかったのに…。
怖いけれど、ワクワクした目で見られると喜ばせたい思いが勝った。
「ん…」
そっと前髪をかきあげ、マイラを見つめる。
「あぁ…やっぱりとても綺麗だわ。」
「綺麗なんかじゃ…」
「ね、だってお日様の光が当たると、キラキラ光るのよ。まるで宝石のようだわ」
ずっと見ていたい。
だんだんと近づいてくるマイラの顔。
鼻が当たるか当たらないかのところで僕の限界は来た。
「……わっ、わ!」
ドテン!と後ろに倒れ込む。
「「……っぷ!」」
あはははは!
マイラがあまりに可笑しそうに笑うから、つられて僕まで可笑しくなる。
「は~…お腹痛い…」
笑いすぎて出た涙を拭いながら、マイラが言う。
君と話すのはこんなにも楽しい。
日が暮れるまで2人で話し続けた。
それから僕たちは芝生に腰掛けた。
「ねぇ、覚えないかもしれないからもう一度言うわ。私、マイラよ。マイラ…」
「マイラ・チェルシー・ウォールデン、様…でしょ?」
忘れるわけない。
あの日の君との会話、全て覚えている。
「まぁ、あなたすごいわ。」
僕が覚えていたことに驚いた様子のマイラ。
「マイラと呼んで?あなたの名前は?」
「…ルイ」
「ルイ。いい名前ね。」
ニコッと笑うマイラ。
あぁ、その笑顔…。
その笑顔が僕は大好きだ。
花のように可憐で、しなやかで美しい。
どうしてももう一度見たくて…。来て良かった…。
話をしているうちに僕はすっかりマイラに心を奪われた。
好きな花、好きな天気、好きな物、好きな動物、マイラの両親の話、僕の教会での暮らし…
僕とマイラを取り囲むなにもかもが違う。
けれども、それを感じないほどマイラと話すのは楽しかった。
お屋敷の外に出たことの無いマイラは、僕の話をとても楽しそうに聞いてくれた。
コロコロと可笑しそうに笑い、その大きな目で僕をしっかり見つめて。
僕とこんなに真正面から話をしてくれたのは、君が初めてだ。
「ねぇ、前髪長いと邪魔じゃないの?」
ふと、マイラが僕の顔に手を伸ばす。
「あっ…」
パッと顔を逸らした。
「あら、ごめんなさい。」
「ううん…」
じぃっと僕の顔を見つめるマイラ。
「え、と…なに?」
「良かったらまた見せて欲しいわ、あなたの目。」
「…………」
人にこの目を見せた時の反応がどうしてもトラウマになっていて、怖さを感じる。
マイラに気持ち悪がられたらどうしよう。
せっかく楽しかったのに…。
怖いけれど、ワクワクした目で見られると喜ばせたい思いが勝った。
「ん…」
そっと前髪をかきあげ、マイラを見つめる。
「あぁ…やっぱりとても綺麗だわ。」
「綺麗なんかじゃ…」
「ね、だってお日様の光が当たると、キラキラ光るのよ。まるで宝石のようだわ」
ずっと見ていたい。
だんだんと近づいてくるマイラの顔。
鼻が当たるか当たらないかのところで僕の限界は来た。
「……わっ、わ!」
ドテン!と後ろに倒れ込む。
「「……っぷ!」」
あはははは!
マイラがあまりに可笑しそうに笑うから、つられて僕まで可笑しくなる。
「は~…お腹痛い…」
笑いすぎて出た涙を拭いながら、マイラが言う。
君と話すのはこんなにも楽しい。
日が暮れるまで2人で話し続けた。
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