純情令嬢は執事の大きすぎる愛に包まれる。

本編

お屋敷のお風呂

ルイside

腕をグイグイ引っ張る女の子。

咄嗟に手を振り払い帰ろうとした。

だけど、そしたら子猫が1人になっちゃう…。
そう思うとどうしても体が動かなくて。

どうしよう…と考えていると、また腕を引っ張られた。

腕に子猫を抱え仕方なく、女の子について行く。

ガチャ。

びしょ濡れのまま、お屋敷の中に足を進める女の子。

｢まぁ！マイラお嬢様！！｣
階段を少し上がったところで女の人の甲高い声が聞こえた。

｢なになさってるのです！風邪引きますよ！｣
｢アリシア。この子もお風呂に入れてあげて｣
｢ま、こんなにびしょ濡れで…｣

さぁさぁ、おいで。
と連れていかれたのは浴室。

｢お嬢様はこちらですよ。あなたはここを使ってね｣

キイッ…と扉を開けるとバスタブにお湯がはられているところだった。

｢お前も綺麗にしてあげる｣

服を脱いで、子猫と浴室に入ると途端に子猫が暴れだした。

ニ゛ャーーー！！？

｢あっ！こら、暴れちゃダメだよ｣

子猫でも暴れる力は強くて、すごい勢いで走って言ってしまった。

と同時に聞こえる悲鳴。

｢きゃーーーー！？｣
｢猫ちゃん！こっちに来たの？｣ 

女の人と女の子の声がする。

子猫を捕まえに行こうと思ったけど、真っ裸な自分の姿を見てとりあえずお湯に入った。

『気持ちいい…』
雨で芯から冷えた体にお湯が染み渡る。

『すごいお風呂だ…』

少し落ち着いて周りを見渡すと教会のお風呂とは全然違うことに気づいた。
どこもかしこもキラキラしていて、どれも新しくて大きくて。

『すごいなぁ…』
そんな事を思っているとコンコン…と壁を叩く音が。

｢ここに着替えを置いておくから、これを着てくださいね｣
女の人の声。

出来ればずっとここに浸かっていたい気もしたが、ザバッとお風呂場を後にした。